表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/92

58ページ目、大会へ

一転、魔法の授業では座学も実技も私にはやりづらく、そもそもカンナさんがろくな詠唱を教えてくれなかったので一からの勉強になりました。

おかげで、魔法唱えられないのにふとした時に魔法を使っている変なやつ、みたいな位置付けになってしまいました。

そして、魔法の授業ではアメリアちゃんが水を得た魚の如くその才覚を発揮していきました。

メリッサちゃんも魔法は上手な方のですが、それでもアメリアちゃんに比べると随分劣りました。

驚いたのがナンナちゃんです。魔法は、それこそメリッサちゃん程度で、武技もそこまで上手くないのです。席次3番なのですから、もっと上手にこなすものだと思っていました。とはいえ、アメリアちゃんに次ぐ洞察力と知識の持ち主で、仕草さえちゃんとすればどこかのお姫様にも見えなくはないです。



私含め皆が学校に慣れてきた頃には、アメリアちゃんの表情も柔らかくなってきたように感じました。はたまた、私がアメリアちゃんに慣れてしまったのか。

想像と違ったのは、食堂の料理があんまり美味しくはなかったところですかね。まぁ、慣れましたが。

しかしながら彼女たち以外の生徒とはあまり交流がありません。用事があるのに放課後に掃除をさせられている子と当番を代わったり、授業中に話しかけられたならレクチャーしてあげるというくらいでした。

自ら助けに行こうと心がけていたのですが、「ありがとう」「どういたしまして」で会話が終わってしまうのです。


春も終わりになると、クラスは大会出場者の話題で持ち切りになっていました。

その頃にはアメリアちゃんはともかく、ナンナちゃんやメリッサちゃんもだいぶ魔法が安定してきて、もしかしてこの三人が仲良く選ばれるのではないかと期待してしまいます。

あれ?私は?


「えー、では大会の出場者については私から見て力のあると判断した者を選ぶ」


ホームルームにてマイヤーさんがそう言うと、皆の間に緊張が走りました。


皆自分が選ばれるのではないかと期待したり、不安がったりしています。


「まず、魔法部門の方から発表する。名前を呼ばれた者は前へ来なさい。まず、アメリアさん」


「はい」


アメリアちゃんは当然だ、というような余裕ある顔で机の間を進んでいきました。

私の席を横切る瞬間に目力が強まった気がするのは気のせいでしょうか。


「ナンナさん」


「はい!」


そして、若干意地悪く間を開けてから最後の出場者を呼びました。


「そして最後は……マルコ君だ」


「はい!」


一切接点のない子でした。誰やねん。いや、一応クラスの書記をやっている子ですが。

マルコ君はメリッサちゃんに向かってドヤ顔しており、メリッサちゃんも悔しそうにマルコ君の顔を睨んでいます。

知り合いでしょうか。


メリッサちゃんも魔法、とても頑張ってはいたんですけどね。遠くから見ていて、マルコ君とメリッサちゃんは同じくらいの技量だと思ったんですけどね。

どうやら彼も平民らしく、若干の文句が貴族の子達から溢れました。

マイヤーさんはその声をかき消すように口調を強くします。


「3人とも、見事だ。選ばれたからにはこれから1ヶ月、更に腕を磨いて欲しい。これは私が見て考えた公平な選別だ。文句のある生徒は、後で私の元まで来なさい」


そう言うと何人かはまだ文句を呟いているものの、ぐっと静かになりました。


「次は武術部門だ。この学校はどちらかと言えば魔法に力を入れているとはいえ、私のクラスというからには是非優勝を狙って欲しい。まずは、マシュー」


「おう」


マシューと呼ばれた少年は比較的体が大きく、斧を扱うのが上手なようです。

私も授業中、なんか凄く力の強い子が居るなとは思っていました。


「次にヘンリー」


「はい」


武術部門は身体能力がものを言う分、男子が多いようです。とはいえ、このヘンリーという子は(喋った事はありませんが)とても才能溢れる少年で、貴族ではありますが今まで剣を握った事すらなく、それなのに授業で習った分でその才覚を表してきました。

この2人は他の生徒とは頭1つ抜けているなと納得の采配です。


あともう1人と言うと……名前すら知りませんが、教室の隅でいつも寝ている子でしょうか。というか、今も寝ています。

体力はありませんが瞬発力があり、今は剣を使っていますが刀の方が似合いそうなタイプです。


「あと一人は…」


マイヤーさんは眉間に皺を寄せ、少し迷ったような顔で言いよどみましたが、踏ん切りをつけたように言いました。


「あと一人はエリザさんにします」


あ、私でしたか。盲点…!

にしても、どうして躊躇ったのでしょうか。普通にこのクラスの中で一番強い自負はあります。

私の不可解そうな顔を読み取ってか、マイヤーさんは「君相手だと他の子と高め合う事が出来ないと思ってね」と苦笑しました。


いや、試合なのでは?


その日以来、放課後に3人で集まって練習やら訓練やらをするようになりました。

せっかくだから魔法組とも連携し、男子陣営の友達も集まり、最終的に大所帯になってしまいました。

お節介ですが私も知識を使えるのは好きですし、アメリアちゃんは完全に自分の世界に入り浸って小難しいことをつぶやいていますが内容はためになるものも含まれていました。


皆が向上するというのは良い事のはずですが、私はどことなく嫌な感情を抱きながらそれを見ていました。

お久しぶりです。どんどん内容やタイトルが適当になってきた気がします。申し訳ねぇ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ