57ページ目、授業再開
校庭に戻ると周りから賞賛の声や困惑の声が小さく聞こえ、少し背筋が伸びるような思いをしました。
アメリアちゃんを筆頭に、メリッサちゃんとナンナちゃんもやってきます。
「何よそれ。そんなの――」
「すごいすごい!あなたそんなに強かったの?入学式の時に名前も呼ばれてなかったからそんなだと思ってたけど、まさか先生相手にあんなに戦えるなんて!」
「そうですよ!魔法が上手そうって思ってたけど、武術でもこんなによく動けるんだ!」
アメリアちゃんが不服そうな顔をしながら、メリッサちゃんとナンナちゃんに言葉を遮られていました。
「そ、そんなこと…」
「そんなこと!?」
謙遜しようとするとアメリアちゃんが噛み付いてきます。あまり謙遜しすぎも良くないものですよね。
「ま、魔法だったらアメリアさんも、先生と渡り合えるだけの技術と知識があると思いますよ!むしろ、難しい技能が必要な分、魔法の方がすごいと思います」
アメリアさんはすごいですよ、と言い加えると、若干満足したようで顔を横に向けました。
「さぁ、休憩は終わりだぞ。皆集まれ」
マイヤーさんが手を叩き、散らばっていた生徒たちが集まりました。
「さて、先程の戦闘でどちらが勝ったか分かった者」
マイヤーさんが質問をすると、皆不思議そうな顔をして「先生じゃないの?」とざわめいています。
その中で私の隣から腕が伸びました。
「はい、アメリアさん」
アメリアちゃんはいつもの怒ったような顔をしながら、冷静な口調で述べました。
「勝者は先生です。しかしそれは《試合で》という条件だったらの話です。戦闘でと言うなら、与力のあるエリザの方が有利でした」
アメリアちゃんの突然の賢そうな発言に私は面をくらい、マイヤーさんは口笛を吹きました。
「素晴らしい。まさかそこまで完璧な答えが出るとはな。今年は優秀な生徒が多いな。では、先程の戦闘で私が使った武技とエリザさんが使った武技を答えなさい」
「スラッシュ」「飛燕斬」
このふたつは口々に聞こえましたが、誰もリフレクションの事に気づいていないようでした。もしかして、マイヤーさんも飛燕斬を使ったと思われているのでしょうか。
「り、リフレクションも、だと思います」
ナンナちゃんが自信なさげに言いました。
「そうだ。あまり有名な物ではないがよく知っていたな。ええと、ナンナさんだね?」
「はい」
そう言えばナンナちゃんも席次3番でした。できる奴が多くてなんかちょっとムカつきますね、このグループ。メリッサちゃんが頭を悩ませながらうーん、と唸っているのを見て少しほっとしたほどです。
再びアメリアちゃんが手を挙げ、堂々と発言します。
「先生が使っていたスラッシュは正確にはパワースラッシュ、だと思います。破壊力が普通のスラッシュとは違いました」
「そうだ。まぁ、スラッシュでも正解で良かったんだがな。よく気づいた」
マイヤーさんがこの3つの武技について詳しい説明とコツを解説している間、アメリアちゃんに寄って「凄いですね。洞察りょ…ものを見る力が」と言うと、得意げに鼻を鳴らしていました。
すみません、次の更新は時間が空くかもです。あと、10分程いつもの時間をオーバーして申し訳ないです




