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54ページ目、マイヤーさんの授業

翌朝、魔法と武術の授業で、早くも目標が提示されました。

クラス別対抗で魔法、武術、それぞれ3人1組でトーナメント式の試合をする、言わば運動会のような大会?が初夏頃にあるそうです。

それに優勝したチームは学校別の大会に出るそうで、そこで優勝した者は更に、一般の大会に先生付き添いの元参加するそうです。

それに向けて、座学はもちろん実技も多く取り入れられるそうです。

以前は1年生は座学寄りで、実技は2年から。大会なんて3年生以降じゃないと参加出来なかったそうなのですが、どうやら最近になって大会が繰り下がってしたそうです。

そもそも、大会も例年は秋頃に行うそうなのですが。


こうやって実技寄りで詰めた授業を行うのには理由があるはずです。


昨晩、収納袋からカンナさんの手紙が一通出てきました。

中には「今私は王国よりも随分と西に来たところにあるアウルランドという国にいる。ここのふたつ隣の国で、魔族が治める魔帝国との戦争が勃発したそうだ。長年外界の情報に触れていなかったが、どうやら数年前から魔帝国に下った人の国がチラホラとあったそうだ。そう遠くない未来、この戦火はソルラヴィエにも飛び移るかもしれない。ひょっとするとそちらも既に動いているかもしれないが、まぁ、気を引き締めておいてくれ」といった内容の事が書かれていました。


随分と物騒な話――というか魔帝国なんてあるんですね――ですけど、恐らくこの為に学園の生徒を戦力にしようとしているような気がします。

真偽は定かではありませんが、マイヤーさんあたりにでも聞いてみたら分かるでしょうか。


ただ、目を輝かせながら授業に取り組むアメリアちゃんやメリッサちゃんを見ていると、こんな幼い時から軍人に調教しようとしている(かもしれない)学園に若干の嫌悪が湧いてきます。あ、王立学園ですし、実質王国の方針なのかもしれません。


とはいえ実技は好きです。なぜなら、皆が私に尊敬の目をもって見てくれるから。

前世では全くの無能と言っても良かった私です。体育の授業でも、野球は打てませんしサッカーもできませんでした。ドッジボールも中盤〜終盤になってようやく頭数を減らされるためだけに狙われ、呆気なく外野へ行くような人間でした。

高校ではテニスや卓球をしましたが、打つ相手がいなくて片隅でお山座りをしておりました。


ですから、若干力を振るって注目を浴びるのがなんとも心地よいのです。少し疲れる気もしますが、なんだか鼻が高くなっていったものです。


「これから剣の授業をしばらくし、その次盾、その次に弓、そして最後に槍と斧をやっていきたい。剣と盾なら扱った者も多いだろうが、戦場では一方的に攻撃が出来て威力の高い弓、リーチに長けた槍、盾を砕く事ができる斧の方が、人によっては扱いやすい」


校庭でマイヤーさんが声を張り上げます。実技の授業は魔法、武術問わず危険なのでお外でやります。

てか今こいつ「戦場」って言いましたね?隠す気ないのかしら?


「――だが、1対1となると剣はやはり扱いやすい。それに、魔法や武術を使うと一概に武器種だけで有利不利は分からない。そうだな。見本として……エリザさん。前へ出なさい」


「は、はい!」


突然の名指しでビクリとし、声が上ずってしまいました。生徒達の間を駆け足で抜け、マイヤーさんの元へ着くと満足気に頷きました。


「諸君。今日は初めての武術の授業だということもある。よって、君達の目指す所を今から示そうと思う。私とエリザさんで1対1をする。あくまでこれは1対1だが、ここまでこなせるようになったら一対多もこなせるようになるだろう。君達には、願わくばこれを目指して欲しい」


皆の視線がマイヤーさんから私に集中するのを感じ、ぞくりとしました。

緊張感は当然ながら、得意げな満足もありました。


気の緩みは事故を起こすと叱責をし、両頬をぱんと叩きました。

昨晩、不快な思いをさせてしまったかもしれないです。申し訳ございません。私の注意不足でした。今後、極力ああいうことのないように善処致しますが、それでも同じ事してたら、どうぞ笑ってください

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