52ページ目、お部屋
ナンナちゃんのコミュ力に脱帽。その言葉につきます。
あの後ナンナちゃんが間に入り、会話を促し、一日で皆柔らかい表情をするようになりました。
自然な流れで自己紹介も促し、一人一人をよく観察しているようでした。実はナンナちゃん、とっても賢いのかもしれません。いや、三席取ってる時点でだいぶ賢いんでしょうけどね。
そしてその後、部屋を私たちの私物でアレンジしました。
ご覧下さい。
部屋の東側一段目のベッド。ベッド自体にはものを置かず、枕元に小さな書き机を設置しました。一段目と二段目を繋いでいる支柱に荷物を吊るし、寝る前に枕元でものを書いたり読書をできるようにしました。
我ながら機能的であることに重きを置きすぎて、面白みがないなと思います。
とはいえ私のだらけた性分では、すこしちらけるとGが湧きそうなのでこのくらいで良いのです。
さて、私のベッドの上段。アメリアちゃんのベッドは、布団からして違いました。見るからにふわふわで、宿舎の備え付けではなく持参してきた物だとひと目で分かります。
本人がツンケンしてるのに、柄は明るい色の花で、穏やかで可愛らしいです。
そして枕元、重力を無視して小さな台が浮いています。その上に私物を置いてあるようですが、なんだその机は。私が自分のベッドで仰向けになると視界の上端の方にちらりとそれが映り込む配置で、若干気になります。
魔道具の類でしょうか。
ちゃぶ台を4人で囲めそうな幅の空間を挟み、反対側。
西側上段は備え付けの布団に枕ですが、壁に切り紙や鏡等が貼ってあり、物ではなく空間がメリッサちゃんカラーになっています。
メリッサちゃんは背が低いので、仕切りを立てて無理やり足元に空間を作り出し、そこに色んな持ち物を詰め込んでいました。
西側下段はナンナちゃんのベッド。壁に両親と思われる男女とナンナちゃんが写った写真を貼り、それ以外は予定表や暦等の実用的な物を貼っています。枕元にはちょっと台とランプがあり、その横置いてある教材はナンナちゃんの努力家っぷりの片鱗が垣間見えます。
……村と言っていましたが写真があるのが気になります。この世界の写真は正確には「写真」ではなく「念写」というのに近いです。
はい。そういうスキルです。
特別なスキルですし、あまり多い訳でもないので写真を撮るのは非常にお金がかかります。余程裕福な村の、村長の娘とかでしょうか。
本人自体も落ち着きがあり教養のありそうな雰囲気ですしね。
さて、北側には廊下へ続く扉が引っ付いており、南側には共有の大きな机が1つ、どかっと置いてあります。その右横にはゴミ箱が置かれ、左側には観葉植物が置かれています。どうやらナンナちゃんの私物らしいです。
各々が好きな空間を作り、その出来に満足しているようでした。
アメリアちゃんも最初こそ乗り気ではありませんでしたが、満足気に部屋を見渡しています。
月並みな表現ですが、沢山の出来事があって疲れた私達は、日が沈む頃には泥のように眠ってしまいました。




