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39ページ目、月日は流れて

ギルベルタさんが、心做しか今日は優しい。

昨日までのいらついた雰囲気は無く、なにか憑き物が落ちたようあな顔をしています。


私の言葉がその一助になった、なんて傲慢でしょうね。きっと、あの言葉足らずな激励(のつもり)から自分の答えを導き出したのでしょう。


前世と今世合わせても20に満たない若造が年上の大人にあんな口を聞いてしまって、申し訳ないような、恥ずかしいような気分になりましたが、そこはまぁ立場的にはこちらが上なので大丈夫でしょう。


昨日のギルベルタさんは色々と変でした。

好きなように好きな曲を弾けと言われたので、弾いたら突然泣き出したので何とか励まそうとしたら逃げられてしまいました。


読みが違ったか?とか、お節介だったかな?とか心配になりましたが、どうやら大丈夫そうで安心しました。


それから何日かして、ギルベルタさんが帰っていく時期になりました。

その頃には私もなんとか上達して、某動画投稿サイトで見かける人達くらいには上手く弾けるようになりました。


あまり間違えずにすらすらと弾けると何とも気持ちの良いものです。


ギルベルタさんは去り際に、目を情熱に燃やしながら力強く言いました。


「エリザさん。私はあなたの事をなんにも分かりませんでした。しかし、私があなたにピアノを教えたように、あなたもまた私に気付きを与えてくれました。私は私の道を見つけましたわ。ありがとう。そして、また何処かでお会いしたら一緒にピアノを弾きましょう」


去っていく彼女の背は大きく見えました。

私は、外部から人を呼んで自分に磨きをかけておりますが何か目標がある訳ではありません。

私も彼女のように目標を持って生きたいな、と思いましたが目標なんてそうそう見つかりませんよね。


きっといつか見つかる。その日を夢見て今は日々の鍛錬あるのみです。




基礎と復習を繰り返し、応用やカンナさんのオリジナルの魔法を見せてもらったり、時にはカンナさんと模擬戦をしたりと楽しくやっていただけですが、1年、また1年と月日は矢のように流れてゆきました。


慣れなのか、日に日に時間の流れが早くなっていくようで、少し恐ろしくも思います。


歳を重ねるごとにに目標を見つけなくてはという焦燥が湧き上がりました。


そして、何故か年明けにしか合わないアメリアちゃんが私と少しずつ距離を取ろうとしているのが気になります。もしかすると仲の良い友達でも出来たのでしょうか。これならそれで良いのですが……

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