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21ページ目、武技

春が近づいて来る頃には、もう上級魔法というものもかなり習得出来ていました。


私は、慣れと感覚派なので言い表すのは苦手ですが、毎日使っている上で上達していってるのが自分でも分かります。


最近、「身体強化」や「武技」というものについて教わり始めました。

本来なら最初に習うべきものだそうですが、カンナさんは考えがあって後回しにしたと言います。


「身体能力を異常なまでに伸ばす『身体強化』や、魔法ではないが金属のように硬い敵を切り裂いたり、遠くの物を見つけたり、気配を察知したりする「武技」というものがある。というか、身体強化は武技の一部らしい。これは魔法の使えない者達がよく使うものだが、実は魔法によく似ている。というのも、体内の魔力を使うからだ」


彼女の説明によると、武技とは魔力を使い超人地味た技を使えるようになるものだそうだ。身体強化も、身体中の魔力を血のように循環させることで、言わば擬似的に魔物のような身体能力になるという。


魔物は生まれながらに血液中に魔力が流れているそうで、常に身体強化がかかった野生動物という雰囲気であった。話を聞く限りでは。


さて、武技が魔法とは別に見られるのには理由がある。武技こそが、いわゆる無属性の魔法なのだそうだ。だが、他の魔法のように無いものを生み出したり、シンボルがある訳では無い。何となく、発動する。そんな感じのもので、ここだけの話武技が無属性魔法だと気づいている者は極めて少ないという。

そして、気づいた者はわざわざ自分の発見を人に知らしめたくなく、独り占めするのだとか。


ですが、共通点もいくらかあります。

魔法で言う詠唱にあたるものが、武技の技名だそうです。技名を叫ぶことで体に染み付いた動きと共に武技を発動させやすくなるらしいです。



「故に、実の所魔法の感覚を磨いてから武技に移った方がやりやすいと思うのだ。それに、身体強化に頼ってばかりでは、いざと言う時に何も出来なくなる」



なるほど、これでお父様の怪力やカンナさんの見えないくらい素早い斬撃に納得がいきました。

そして、驚くべきことに気づきました。


「マイヤーさんって身体強化してませんでしたよね?」


「そうだね、もし、彼が子供に身体強化を使って勝負を挑むような人間なら、エリザは負けていたかもね。さすがにそんな大人気ないことはしないけどね、普通」


そう。つまりはマイヤーさんは本気だったけど、禁じ手が残っていたと言うことでした。彼が身体強化したら私よりも強くなる。つまりは私が体感したよりもずっとマイヤーさんは強かっのでしょう。

なるほど、元副団長がこんなにあっさり小娘に負けるわけないですからね。


武技とは魔力そのものに干渉して効果を発現するので、魔法のような明確なイメージが湧きづらいそうです。

ポピュラーなものは常識として、技名だけで発動可能だそうですが、個人で作ったようなマイナーで複雑な技は継承が難しいそうです。


代表的なのが、素早く小さな斬撃を飛ばす「飛燕斬」や、武器の切れ味を増す「スラッシュ」などである。有名である上にイメージしやすく、応用もきく。最もポピュラーな武技である。


初めは飛燕斬と身体強化の2つを極めることにしました。

他にも魔力の波長に干渉して相手の強さが分かるとか、思念だけで会話が出来るものもあるそうですが、難しそうなのでまずは簡単なものから。


体の魔力を循環されているのを、更に早く動くように意識します。すると、驚く程に激しく加速していき、体の中でカーレースでもしていそうな勢いを感じました。


「お、出来たかな?ちょっとこれを強く握ってみて」


そう言い、カンナさんが差し出したのは近くにころがっていた石でした。

言われた通り力を込めて握ると、なんと石が砕け散りました。


「え、なにこれ…」


化け物じゃないか……と自分の力に引いているとカンナさんは「そんなもんだよ」と笑っていました。


「じゃあ、これは物を壊さない程度で後は自主練習しておいてね。飛燕斬いこうか」


「はーい」


ということで、イメージとしては振った剣の先から一直線に飛んで行くのだそうですが……刃が飛んでくのかしら?斬撃が飛ぶってどういうこと?


おおよそ現代日本では原理の分からぬ物で、結局その日は発現には至りませんでした。


「私もそれは苦手だったなぁ」


とカンナさんもぼやいていました。

まぁ、焦るものではありません。今は時間がたっぷりあります。何度も繰り返して少しずつ身につけていけばいいじゃありませんか。

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