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12ページ目、植物魔法って何に使うんだろう

魔法の練習をする上で、1番大事なのはイメージだそうです。出来るならばその過程までイメージすると、魔法の完成度は格段に上がると言います。


「1番わかりやすい例は、高難易度魔法『植物魔法』だ。魔法はその人にとって身近なものを発動するのが一般的。雪国の人々は水――特に氷魔法が得意で、岩山をねぐらにする民族は土魔法。風を崇める遊牧民族なら風魔法が得意だ。だが、植物となると実は世間の関心が低い。それに、知らないうちに育ってるもんだから過程がイマイチ分からない者が多く、使えるものは少ない。暇な才能ある魔法使いが蕾から花を開かせる、程度はたまに聞くし、花屋の娘が枯れかけた花を治したりするとかもまれに聞く。だが、苗木から大木まで成長させるような植物魔法は、それこそエルフくらいしかいない」


「エルフ、ですか?」


エルフ。ゲームだと耳がとがってて森にいるようなイメージが定着している。弓や魔法が得意というイメージあります。

そりゃ、ロードラン領ですら獣人もいたのですからエルフなんかもいるだろうけど、何だか現実味のないような感覚を覚えました。


「エルフってのは、森や樹上の民だ。木と共に過ごし、木と共に死ぬ。寿命が非常に長く、それこそ木と同じくらい長生きするという。そんな彼らが植物魔法が得意なのは、植物の成長の過程を知っているからだ。花を咲かせるのと大木を生やすのは、他の魔法に比べると……火球をぶつけて火傷を負わすのと魔物を燃やし尽くすくらい違う」


「でもね」カンナさんは話を続ける。


「私も出来るんだけど難しい割に効果が無い。木が生えました。だから?っていう魔法で、エルフの中でも術者が減ってきているそうだ」


そう言うとカンナさんの足元の草がぐんぐんと背をのばし、膝に届いたところで満足したように枯れていきました。

そして、下から新芽が顔を出し、元の背丈まで成長をしていきます。

青々とした元通りの芝生が戻ってきました。


「………これは…確かにだから何だって魔法ですね」


「私もそう思う。なんでこんな魔法使えるんだろって我ながら思う。一応何か使い方を模索しているのだが、私の硬い頭ではなんとも出来ん」


と、整った眉を八の字に曲げました。


庭師とかなら…随分と助かりそうな魔法ですね、と思ったが魔法の才能があるなら他の魔法を覚えた方がよっぽど注目されるだろう。

何とも微妙な間があってから、練習を再開しました。



水を出す時は、川の湧き水をイメージすると、だいぶ簡単に出来ました。飲んでも大丈夫みたいです。

無から有が生まれるのか?魔法で発生した物体は果たしてそこに存在するのだろうか。そう思いましたが、カンナさんは「神の御力の一部だから」とゴリ押してきました。

神様、人間に権限を与えすぎでは……


そんな調子でとりあえず全属性の魔法を使ってみて、下級魔法を何度も繰り返し、感覚をつけていきます。


「この調子なら4年もあれば大丈夫か」


カンナさんは呟きました。4年後?何かあったでしょうか。


そうして毎日少しずつ、でも確実に手応えを感じつつ魔法を習得していきました。

中級魔法もあらかた発動できるようになった頃、ようやく剣の講師がロードランに着きました。

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