11ページ目、カンナさんVSお父様
お父様ら不格好な大剣を取り出しました。対するカンナさんは、いつの間にか腰に日本刀のようなものを帯刀していました。
え?真剣勝負なの?危険すぎない?
私は少し、いえ、だいぶ離れたところから観戦しています。前世は眼鏡を付けていたので、眼鏡がなくとも遠いところもくっきり見れる、我が身の健康体に少しびっくりしたりもしました。
最初に動いたのはお父様でした。私ほどはあろうかという大きな剣を、まるでナイフでも振るかのように軽やかに振り下ろしました。
カンナさんはその場から左に飛びます。
お父様が振り下ろした剣は地面には触れず、V字に跳ね上がると、カンナさんを振り抜きました。
キラリと何かが光ると、お父様の大剣が弾かれました。
カンナさんの刀はいつの間にか抜かれており、弾かれました大剣にダメ押しの追撃を放ちます。
バランスを崩したお父様は、咄嗟に弾かれた方向に身を任せて大きく飛び下がりました。
果たしてその判断は正しく、先程お父様のいた所を白い光が弧を描きます。よく見ると峰の方で振り抜いており、万が一当たっても切らないように配慮している事が分かりました。
いつも優しく、余裕そうにしていたお父様の額は汗が光っています。
カンナさんは深追いをせず、その場で剣を構え直しました。
仕切り直しです。またお父様から動きます。先程より素早く近づき、今度は左下から切り上げました。
右腕しかないカンナさんは、左下から攻撃こカバーが難しいと踏んだのでしょう。
ですがカンナさんはそれを右に避けるとくるりと後ろを向き、返す大剣の振り下ろしを刀で受け流す……そう思った刹那、キィンと高い音がなりました。
何事かと思うと、カンナさんはお父様と向き直っており、お父様の大剣がスッパリと斬られていました。
何をしたのか目でも追えませんでした。
武器をなくしたお父様は両手を挙げ「降参だ」と言いました。
途中までは高度そうな駆け引きをしているように思えましたが、最後の最後で突然の理不尽な決着が着きました。
これが…異世界剣術……
とはいえこんな、剣を斬るようなのは異世界でも珍しく、お父様も賛称しています。
「凄いな。まさか俺の大剣が真っ二つに斬られるなんてな。それに、最初に俺の剣を弾いたあの力。片腕のしかも女からあんな反撃を食らうとは夢にも思わなかった。というか、最後のは俺ですら剣筋が見えなかったぞ?俺が見ていなかったこの6年で、世の中のそんなに技術があがっているのか?」
「あー、いや、ですから我流ですし、自慢じゃないですけど、私、だいぶ強い部類だと思うので」
ともあれカンナさんはお父様の合格ラインを大きく上回ったようで、剣を……いや、刀を教えてもらいました。
刀は、キョウ国ではポピュラーな武器で、剣や大剣に比べ「斬る」という事に重視を置いた物です。
むしろ重さを乗せて叩き切る長剣のようなものより、今の私は刀の方が良いのかも知れません。
私も手加減したカンナさんと模擬戦をしましたが、圧倒的に何もかも足りないなと実感しました。
昼食をとり、一休みしてから今度は魔法の練習です!