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プロローグ②

こちらの更新は22時にしようと思います。

よろしくお願いします。



 何故、こんなことになってしまったのだろうか。

 何が、いけなかったのだろうか。



 日も射し込まない暗い森の一本道を、ゆらゆらと歩く少女が一人いた。その目は焦点が合っておらず、生気すら感じられない。

 まるで、絶望の二文字を体現しているかのようだった。




「どうして……何がダメだったの……」




 後悔の行き場を探すため、働かない頭で宛もない過去の過ちを振り返った。



◆◆◆



『はぁ……はぁ……や、やったよ! お父様!』



『ハハハ、さすがは私の娘だ。まさか十四歳で衛兵最強と言われた男を倒すなんてな』



『イテテテ……さすがは勇者アゲロス様の娘さんだ……この若さでここまでの才能を開花させるとは』




 とある城の訓練所に、片膝を付く兵士長、筋肉質な黒髪の中年男性に囲まれて無邪気にはしゃぐ少女がいた。

 その少女は、今から二年前の私、レイナで、その光景を優しい笑顔で見詰めている中年男性が、父のアゲロスだ。



 勇者の一族にして魔王を倒す旅をしていた父と、一国の王女で、綺麗なブロンドの長髪を持ち、絶世の美女と例えられ、さらには魔法の才まであったという母、レイアとの間に生まれたのが、私になる。



 父は王女であった母を連れ出し、二人でしばらく旅を続けていたら私が生まれたため、一時的に旅を中断、最寄りの城下町に住むこととなった。



 勇者の息子ということで、当然勇者としての力を保持していた私は、六歳になったと同時に父から勇者になるための英才教育を受けることになった。



 剣術、魔法は勿論のこと、魔王、魔物、勇者のこと、世界地図、いろいろな国の交友関係など、父が旅をしてきた知識とともに、ありとあらゆる事を教えられた。

 そして、兵士長を倒してから一年後。私が十五歳の時。とうとう勇者としての才能が開花した。




『レイナ……まさか、それは!』



『なんかお父様の真似したら出来たんです』




 勇者のみが使えるとされる魔法系統、光系統魔法を、修行中に出会(でくわ)した魔物に父が使用したのを見て、真似してみたら出来てしまったのだ。



 私は、父が喜んでくれると思っていた。



 祝福してくれると思っていた。



 祝福してほしかった。



 なのに、それからというもの、父は一人で出掛けることが多くなってしまい、私を見る視線も冷たくなってしまった。

 理由は、分からない。

 けど、考えてみればその時から何かが狂い始めた。



 最初は朝に出掛けて夜に帰ってくる、というものばかりだったのだが、気がついたら一日、二日、と長くなっていったのだ。

 母に理由を聞こうとしても、「知らない」と言うだけ。



 その間も一人で勇者としての修行は積み続けたのだが、やはり一人では限界というものがある。勇者としての才能を開花させてからというもの、実力が伸びたという実感がなかった。



 そんなある時、父が一週間、二週間経っても帰ってこなかった。

 母は口では心配していると言っているが、態度が伴っていなかった。

 二週間待てど、三週間待てど、父は帰ってこなかった。

 もう、戻ってこないのだろうか、という考えが頭の中を巡った。



 しかし、そんな私の心配を全く知らない父は、家を出てから一ヶ月後に何事もなかったかのように帰ってきたのだ。




『お父様! 何処に行ってたんですか!?』




 その時、生まれて初めて、父に強い口調で叫んだ。

 それほどまでに、私は父の安否を心配していたのだ。




『今からすぐ引っ越すぞ』




 だが、届いているはずの私の心の叫びは、衝撃の言葉とともに呆気なく無視されてしまった。

 何を聞いても、答えてはくれない。

 慣れ親しんだ家から引っ越すのも、いやだった。



 しかし、私は両親に半ば強引に連れていかれた。

 私たちが新居のある森の中、最南端の城下町、レグニカの近郊についたのは、つれていかれてから約一ヶ月後、一昨日の夜のことだ。



 疲れた私は、荷物を下ろしてその中から敷き布団を取りだし、自分の新しい部屋の床にそれを敷いて寝てしまった。



 不安や不満なことばかりではあるのだが、その時は安心もしていた。

 何のために引っ越しをしたのかは分からないが、今まで家を出ていたのはこれのためだったのだと、納得が言ったからだ。

 納得するしかなかった。

 でも、納得したからなのだろうか。



 寝ているときに身体中の力が抜けていったのを感じた。

 心配のしすぎで、気張っていたのかもしれない。

 そのためなのだろうか。昨日、私が起きたのは昼だった。



 ボヤける視界が、部屋を少しずつ鮮明に映し出していく。部屋の中は、ただ一点を除いて昨日と全く変わらない。変わった部分、それは出した記憶の無いテーブルだ。



 そして、その上に白い四つ折りの紙が一枚あったのだ。寝ていた場所は部屋の真ん中で、机は部屋の隅に置かれていた。

 非常にダルく重たい身体を動かして、机の上に置いてある紙を読んでから、私に記憶はない。




『レイナ。お前にもう勇者の力は残っていない。そして、私もレイアもこの家に戻ってくることはない。さよならだ』



◆◆◆



 気がついたら、今日の朝になっていた。

 家に、両親の姿はなかった。

 そして、勇者としての力も、一切感じることが出来なかった。

三話目は、もう一つの作品と共に朝7時に投稿できるように頑張ります。


文量は次から増えますので、ご安心を。

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