五話 奈落へ
俺は突如出現した、機械の様なもので出来た天使を見て呆然とした。
天使は女性で神話に出てくるような言い表せない程の美貌だ。白い布一枚で自らの体を覆っており、背中には八枚の翼、背後には神々しい程の光を放つ螺旋状のナニカがあった。
だがその天使は目が虚ろで、まるで死んでいるような表情だ。
俺が体の痛みも忘れ、ただ見つめているとその天使が動きを見せた。
その天使が右手を振り上げた、その時、
鮮血が舞った。
「……は?」
見ると、俺の右足が無くなっていた。
それを理解すると同時に先程まで忘れていた痛みがさっきの何倍にもなって、こみ上げてきた。
俺が声にもならない悲鳴を上げていると、天使がまた腕を振り上げた。
俺は命の危機を感じて、必死に痛みを我慢しながら、左手で無理やり体を右に移動させた。
するとスパッとという音がし、自分がいた所を見ると、そこは刃物で切られたかの様にバラバラになっていた。
俺はそれを見て、恐怖し、同時に分かってしまった。
あの虎を殺ったのはこいつだと。
怖い!怖い!怖い!怖い!怖い!
俺が今までに無いほどの恐怖を感じ、無様にもあぁという声を出し、逃げようとすると、
天使の背後にはあった螺旋状のモノが歪な形をした杖に変わり、そへを天使が握り、何かを唱えた。
すると俺の周りで突如爆発が起こった。
そして、その爆発によって地面が崩れ落ち、俺は地面と共に遥か底へと落下した。
「う、うわぁあああああ!」