衝動に駆られ
背中からぶっ刺して、グリグリと刃先を前に進めれば痛い痛いと彼女が泣いて、私も心を痛めて泣いて、それでも止めるなんて選択肢は無くてひたすら前に進んでいく。
別にこんな事をしたって心の傷は埋まらないし、埋められないし、何かを満たせるわけでもないが、刃先を伝う血と跳ねた血が私を汚し、床を汚し、辺りが赤色に染まっていく光景を視線の傍らに捉えれば、ほんの少し安堵した。
本当は彼女だって喜んでいるんじゃないだろうか。そう思えばそう見えてくるから心ってものはなんて都合が良いものなんだろう。
もっと苦しめ。もっと喜べ。
私の頬に涙はもう流れていない。暈されていない視界でははっきりと彼女を見詰められる。
緩む口角が上へ上へと上がろうと疼くこの感じ、ああ、もう耐えられない。
ほら、私は不敵に笑う。