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プロローグ
西大陸の西端より少し離れた所に僕たちの住むイングラルド島はある。
イングラルド島、西部の小国ブリティニア王国、王都中央広場。
「ィヨォッシャァァァァァ‼」
広場の中心、大きな雄叫びをあげながら僕の目の前の男が剣を空へ向け突き上げている。
「抜いてやったゾォォォォォ‼」
男は興奮を抑えきれず雄叫びをあげ続ける。
「ウオォォォォォ‼」
「「「「「「ウオォォォォォ‼」」」」」」
男の雄叫びに合わせて広場に集まる人々も声をあげる。
それもそのはずだ、男が持つ剣の名はエクスカリバー。れっきとした勇者の剣だ。
今ここに、新たなる勇者が誕生したのだ。先代の勇者が死没して48年、英雄の双像の前にある台座に突き刺さり封印されていた勇者の剣が新たな使用者を得たのだ。
新たなる勇者の名はアーサンド・フューザー。南の山を縄張りにしていた元ならず者だ。
そして、その勇者を見つめる僕の名はランス・ロッドー。勇者の従者だ。