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僕はまっすぐに彼女を見た。静かに告げる。
「ごめん。もう、会えない。いや、会わない方がいいんだ」
生まれて初めてする、本気で本当の、さよなら。
「どうして?」
彼女の目から、涙がこぼれた――。
目覚めてみると、僕はひとりぼっちだった。
「戻ってきたのか……」
ベッドの中で何度も、彼女の残像を視線でなぞる。そうすれば、現実でも彼女に会えると思った。けれど、頭の隅っこでは、ちゃんとわかっている。そんなこと、あるわけがない。会わないと決めたのは、僕が先なんだからって。
でも、やっぱり。少しだけ、つらくて苦しい。
夢の中で知った彼女の名をつぶやく。
「はるか……」
くちびるをきゅっと強くかみしめた。