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転生騎士  作者: 如月厄人
第二章 邂逅
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6.ヤヨイ&カタルペア(2)

 それならば、とヤヨイが姿を見せながら敵陣に突っ込む。


 弾丸が脇を掠める。臆せず正面の一人に拳を叩き込む。前に出した足を軸に回転、側にいたもう一人に回し蹴りをかます。その隙を補うように弾丸が背後の敵に打ち込まれる。


 しかしそれを物ともせず、銃を鈍器として殴りかかってくる。それを裏拳で弾き、一旦距離を置く。


「もう好き勝手させねえぞ!新しい俺の身体を思い知れぇえええ!」


 巨漢の右手が左手を引っこ抜く。


「っ!ミカグラユニット…!」


 左手首の先には赤い粒子が棒の形を保っている。しかし保っているだけで現出はしてない事から、恐らくは粗悪なユニットをはめ込まれたのだろうが…。


(こんなボランティアまで始めたのか博士は。しかしこれじゃあ色々と分が悪い)


 柱の陰に隠れ、他の攻撃をやり過ごしながら神経を研ぎ澄ませる。


「ォオア!!」

「フッ!」


 側面から柱ごと棒で殴りつける。それを屈んでかわし、身体の中心に向かって拳を握る。


「シッ!!」

「ぐぅうう!」


 すんでのところで棒に阻まれるが、衝撃でサイボーグが壁に叩きつけられる。


(ならガードごと…!)


 追撃。


 微量の粒子を拳に集め、踏み込む。


 ゴシャッ!!

「ウゴッ!!ぁ…ぁあ…!」


 拳が棒ごと心臓を貫通する。すぐさま拳を引き抜いて盾にして突っ込む。


『カタル!援護!』


『了解!』


 壁に隠れながらサイボーグと相対していたリウノが飛び出してヤヨイの背後につく。突っ込んでいったヤヨイを狙うサイボーグ達を手早く撃ち抜いていく。


 ヤヨイが巨漢を投げ飛ばし、他のサイボーグを巻き込ませる。だが、脳殻以外を撃ち抜かれた者はすぐに立ち上がって此方に向かってくる。全員が全員、一様に先程と同じ棒を持っていた。


(おいおい冗談だろ…!どんだけここに投資したんだ?!)


「うぐっ!」


「! カタル!」


 リウノがフルスイングを受けて外まで弾き出される。ホバーを上手く使って地面との接触は免れたようだが、やはり彼女にはまだ厳しい。


 だが不完全とはいえ自分と同じ馬力が残り8人、中にまだ居るとするなら、別働隊も危険だ。


 8人がヤヨイを囲い込む。


(その前に、この状況を打開しなきゃな)


 青い粒子を放出、両の一の腕に装甲を現出させる。腕の外側に大きく開いた刃がコートを割いて姿を現わす。


 ヤヨイは、物単体を現出させることが出来ない。彼に与えられた破拳の装甲は、拳を奮う上でその拳を強化する為の物しか現出させられない。


 しかし拡大解釈は受け入れてくれる。この様に、拳を奮う事で敵を切り裂く為の装甲は現出させられるのだ。


 カラカラカラ…。


 ミカグラの足下に、コツンと何かが当たる。


「ッッッ!!!」


 外部情報を遮断。


 カッ!!!


 閃光。


 爆音。


 足下で爆発したのはスタングレネードだった。爆音は兜を貫通し、三半規管をぐらつかせる。だがこの好機を逃すわけにはいかない。


 外部情報を受信、視界と聴覚が復活する。囲んでいた8人はうずくまっている者もいれば、目を抑えて彷徨っている者もいた。


『突撃』


『了解!』


 思考で合図を送りながら、自分も身体を動かす。ユニットを斬り裂きながら、四人を処理。残りの四人は正確に脳殻を撃ち抜かれていた。


『上出来だ』


『えへへ』


 未だにグラつく足を抑えながら、治安部隊に合図を送る。それから、他の二班に合図を送った。


「正面玄関制圧。治安部隊制圧の維持をお願いする。我々は更に奥へ進む」


「了解。しかし少し休憩した方が良いのでは?」


「いや、そうはいかない。気掛かりが…」


「いえ、少し休みましょう。他の人より頑丈とは言っても、スタングレネードをゼロ距離で当たったんですから、無理は禁物です」


 カタルに止められ、その兜を指で小突く。


「当てたのは何処の誰だったかな」


「あ、あはは」


 わかりやすく目をそらすカタルに、仕方ないという風にその場に座り込み、他の班の状況を確認することにした。

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