22.再会
隠密部隊の部屋があるその一つ上の階の一室に、その足を向ける。どんな顔をしているだろう。どんな風に育ったんだろう。むしろ、どんな顔をすればいいのだろう。
期待と不安が入り混じった胸の中を吹き飛ばすように、ドアを開けた。
ザッ!
6人が合わせて此方に敬礼している。そして一人一人が大きな声で、名乗った。
「ミナヅキ・ミカグラ新兵、着任しました!お久しぶりです、兄さん!」
「フミヅキ・ミカグラ新兵、着任しました。来ないから、来たよ」
「ハヅキ・ミカグラ新兵、着任しましたわ!恩は返しますわよ!」
「ナガツキ・ミカグラ新兵、着任したよ!お兄ちゃん!」
「カンナヅキ・ミカグラ新兵、着任。ご指導ご鞭撻、お願い仕る」
「シモツキ・ミカグラ新兵、着任したぜ!腕鈍ってねえよな兄ィ!」
その後ろにはヘベルハスとドライドが、話していいぞ、と促した。
ヤヨイは、全員の顔をしっかりと見た後で、その場にしゃがみこんでしまった。心配そうに敬礼の手を緩めた全員を制し、彼は目頭を押さえながら言った。
「あー、あれだ。お前ら、大きくなったなぁ…」
その一言で、全員の涙腺が決壊した。
「あいたがっだよおにいちゃぁぁあああ……!」
ナガツキが真っ先にヤヨイに抱きつき、それに続くように、全員がヤヨイにのしかかるように抱きついた。
「そうですよ兄さん!お金だけだなんてあんまりです!」
「待ってた、みんな、会いたかった」
「もうあんた一人に苦労はさせねえからな兄ィ!」
様々な言葉を受け取りながら、ヤヨイは全員を抱きしめて、晴れ晴れとした笑顔で、ありがとう、と言った。
「良い兄妹に恵まれたな、ヤヨイは」
「全くだ。ただ、騒がしくはなりそうだがな」
「良いじゃないですか。それより、後二人はどなたを?」
「ロートスだ。お前も同僚が一人いた方が気が楽だろ。ただ急な異動だから来るのは明日になる」
「非常に不本意だが、シャーロット・シャーロイドを招集した。あいつは潤滑油としては最適だろう」
「なら呼ばなくても良かったんですよー?」
「っ!シャーロイド、何処から入ってきた」
「正面が塞がっていたので、ダクトから」
あそこ、と指さした方には、何事も無かったかのようにダクトに蓋がされていた。
さすが、潜入のプロ。苦い顔のドライドは、ため息だけついて、手を二回叩く。
「…まぁいい。おい、そろそろ良いだろう。各自自分のデスクに座れ。会議を始める」
数人が返事をし、名残惜しそうにくっついている兄妹達を剥がして席に着かせた。ヤヨイも体を起こし、ドライドの向かいの席に座る。もしかすると机が飛んでくるかもしれない。
ヘベルハスが普段用の一本目線の兜から戦闘用の十字目線に切り替え、全員の顔を見渡して、大きく頷いた。
「良い顔つきだ。ここにいる者の大半はまだ実践経験の浅い新兵ばかりだ。だが、だからこそ、俺たちの経験を吸い取って頂きたい。この先の世代、更にその先の世代へと、騎士団の意志を受け継いで頂きたい。我々に回される任務は過酷を極めるだろう。その中でこそ、人は育つと私は思っている。諸君、大いに育ってくれたまえ。そして大いに、我々を糧にしてくれたまえ。
ではここに、威力強襲部隊の発足を宣言する!」




