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転生騎士  作者: 如月厄人
第五章 出揃い
173/176

コールサイン

「「ぶっ殺す!!!!!」」


 二人の声がこだまする。

 潜水艇での爆発後、三人はクラウディオによって引き上げられ、医務室に転がされていた。

 身体的損傷はユニットによって修復されているものの、爆発の規模が大きすぎてユニット自体に傷がついたため、修復と粒子の補充もかねて安静を言い渡された。


 直撃を受けたクロウに関してはことさら重傷だった。普段から食事などをとらずに粒子の量が足りておらず、傷もふさがり切っていなかった。今も目を覚まさないため、ビアンカは内心気が気でなかった。

 そのクラウディオは潜水艇の船員を見殺しにしたとして人間至上主義側から抗議を浴びている。


 仕方のないことではある。


 人間ではない三人はあの爆発を直撃したとしても生きていられるが、あの船に乗っていた船員たちにはユニットなどない。爆発に当たらなかったとして、潜水した船が割れてしまえば彼らに生きるすべはないのだ。

 とはいえ、爆発後に三人を回収するような手段があるのであれば、あの場にいた何人かは追加で助けられたことだろう。それもしなかったことに対して疑念の声が上がっている。


「はぁーあ、ワイもおらんとだめかいな…。手のかかるやっちゃな」

「うるさい! あのまま押し込めれば二人は持っていけたはずだったのに…!」

「なら、失敗の原因はわかってるな」


 普段柔和なハクの声が冷える。

 わかっている。やる気のない人間がいて、戦闘慣れしていない者が単身で手練れの相手をする。

 どれだけいい手札を持っていようが、いくらでもやりこめられてしまう。


 今この瞬間、クロウは弱点であることが露呈したのだ。


 もはや、庇いようもないほどわかり切ってしまった事実だ。


 クロウが意識を変えるか、後方支援に回すしかない。本来の彼の力であればそれも可能だ。それをしないのは彼が彼の力を知らないからに他ならない。知らないこともそうだが、知ろうともしていないことも問題だ。

 人にとっての恐怖の集合体であるはずのその力を一割どころか一分、いや、一厘も使いこなせていない。彼にとっては役に立たない事こそクラウディオに対する反抗なのだろうが、巻き込まれる側からすればたまったものではない。


 現に、巻き込まれた人間は全て死んだのだから。


 当然ながら抗議の目はクロウにもに来ている。元々反抗的な態度で非協力的な男が、敵にいい様にされた挙句味方を殺したのだから、目の敵にされないわけがない。


「ま、しょーじきソイツが大人しゅうしてくれんのはワイも助かるわ。面倒見んで済む。なんならソイツのユニット剥いで別のにつけたらええわ」

「■■■___」


 ゴッッ!!


「その名で呼ぶなビアンカ・バルトリ」


 ブラックカラーに届かないほどの声で口を開いたビアンカの頭をパイプベッドのヘリに叩きつけながら、ハクは表情を消した。

 ミシ、と頭部パーツから嫌な音が聞こえてきたところで、ハクは力を弛めず、後ろに声をかける。


「んで、オッサン、アイツはどうすんねん。アイツだけ傷の治りが遅い、粒子の補給もさっきっから止まっとる。アイツが心の底で起きたくないっつってんのやろ。とっととバラして、ココのヤツらに回したらんと、せっかくできたアレも壊されんのとちゃうか」


 ハクが入ってきた扉から長い髭を撫でつつ、クラウディオはゆったりとした足取りで入ってきた。クロウの前で、見えぬ身体を見下ろす。ユニットはほぼ稼働しておらず、生命維持装置としての役割しか果たしていない。

 ハクの言う通り、生きる気がないのだろう。


「潮時か」

「待って…お願い待って…!」


 ビアンカの声が震える。ハクの抑える力が僅かに弱まり、ビアンカが話しやすくなる。


「約束したの、その子は私が貰うって、私が顔を見るって。殺さないで…お願い…」

「ふむ…、ならお前が持っていけ」


 クラウディオが手袋を嵌めた手をユニットにかざすと、ユニットが強制的に起動し始める。中に残っていた粒子が吐き出され、一つの小さな球体を作った。真白な球体はてクラウディオの手のひらで浮いており、クラウディオは押さえ付けられていたビアンカのユニットに押し込んだ。


「そのまま抑えておけ。発狂したら殺せ」

「へいへい」


 ユニットに球体が入り込み、閉じた瞬間、ビアンカの体が跳ねる。ハクは激しく動く前に、パイプを溶かし、曲げて、手足をベッドに固定した。


「あぁああああぁああああああ………!!!イヤっ、いヤッ!!いやぁあああああああああ___」


 絶叫が部屋に響く中、ブラックカラーはクロウの顔を覗き込む。

 窪んだ眼窩、痩せこけた頬、最早最低限の皮しかないほどに痩せ細った身体。

 見えると言うことは、彼の力の源はもう無いのだろう。恐らく、今ビアンカが見ているのは永らく彼が見ていたもの。訓練を受けたエージェントでさえ、アレだけ取り乱すのだ。その精神的負担は想像に難くない。


 生きたくないと願っても、良いほどだろう。


「コイツも満足やろ、惚れた女に貰われるんやからな」


 ま、その女も死にそうやけど。


 ハクがブラックカラーに並ぶ。クロウの顔を拝んでから、くわばらくわばらとベットの空いてるところに座り、はタバコに火をつけた。


「これで鬱憤が晴れるとええんやけどなぁ」

「磔刑にでもかけて晒してやれ。死んだ者に口はない。魂は、その女に移った。」

「阿呆、そんなんしたらビアンカが全員殺してまうわ。まぁ、できて死亡報告やな。鬱憤は晴れんやろうが、最低限の義理は守ったやろ」


 あ、せや。


「卵、孵るで」

「…いつだ」

「もうすぐやて。ワイも見てきたんやが、正直、近づきたくないわ。全部持ってかれそうや」

「神…か」


 ビアンカの叫びをBGMにしながら、二人はクラウディオが手掛けた最後の作品に思考を巡らせる。


 かつては自分達を廃し、自分達も廃した存在。


 しかして確かにそれは存在した。いや、存在したと言って良いのかはわからないが、彼らがそう言うのであればそうなのだろう。


 人工的なものでなければ、彼もその存在を信じられたかもしれないが、クラウディオが作ったものであるからこそ、そこには疑問が生まれる。人が作ったものは果たして神なのであろうか。


「ま、眉唾物やな」


 隣の男は、見透かしたようにそう言った。


「無神論者のワイが言うんや、間違いないわ」


 お前もせやろ。


 ハクは新しいタバコに火をつける。


 そうか。


「そうだったな。危うくドツボにハマるところだった。感謝するぞ、好敵手よ」

「まぁだそんなん言うとんのかい。良い加減真似っこはやめぇや気色悪い」

「ヤツと同じにするな。最早俺は俺だ。この身も、心も、俺のモノだ」


 言い切った彼に、ハクは面白そうにタバコを燻らせると、彼にとっては今日二度目の問いを投げた。


「へぇ、お前、名前は?」


 胸元のユニットが赫く燃ゆる。



「エクスだ。覚えておけ」




§






 第十区画を正式に取り戻した騎士団は、その後の復興作業に追われていた。特にナガツキとビアンカが暴れたことによって建設されていた建物はおおよそ倒壊しており、最早更地に近い状態であった。治安維持にあたる第四騎士団を筆頭に民間業者を含めて多くの騎士達が復興に当たっている。


 その中には当然、壊した本人も含まれていた。


 ナガツキは瓦礫を粉々に砕きミキサーの中に流し込んでいる。コンクリートの再利用のため、崩れた瓦礫を一度粉末にする必要があるのだが、粉末にするには一度工場に持っていく必要があった。しかしいつまた人間至上主義が襲ってくるかわからない現状で悠長に工数を取っている場合では無いと判断され、その場で可能な限り砕き、小型の粉砕機を利用して粉末状にすることで、その場での再利用をすることにしたのだ。

 その作業には力自慢の騎士たちの協力が必須であったために、騎士の数が多いのである。

 当然普通の騎士よりも出力の高いミカグラユニットを持ったナガツキは粉砕する側である。最初は難儀していたが、コツを掴んだと思われたタイミングから、三倍近い速さで瓦礫を処理している。粉末が舞うのでいつものバイザーではなくフルフェイスの兜だが、ときおり鼻歌が聞こえてくるので、本人も楽しんでいるようだ。


 そこへ、粉砕側に更に騎士が投入された。


「ナガツキ姉さん、お手伝いしますよ」

「あ、カンナちゃんだぁ、元気してた?」

「はい、姉さんこそ、元気そうで何よりです」


 カンナヅキが新しく結成されたミカグラ部隊を引き連れてやってきた。初任務が復興作業と知って不貞腐れた顔もチラホラあるものの、仕事と割り切っている者も多そうだ。


「あははー、ちょっと元気過ぎたかもだけどね。その子達がお手伝いさん?」

「えぇ、パワーが有り余ってるので発散させに来ました。全員、作業内容はわかっていますね、瓦礫から優先的に処理して、崩れかけている建物は周囲の確認を行ってから崩すように。では、始め!」


 カンナヅキの掛け声に二人ほど勢いよく飛び出していく騎士がいたが、他の騎士たちは近場から瓦礫を粉々に粉砕しようと試みる。案外すんなりとは粉々になってはくれないため、試行錯誤も含めて、隊員たちには良い息抜きになりそうだ。

 カンナヅキも近くにあった瓦礫をトンファーで粉々にしていく。


「そういえば、フォルクローレ中尉とは最近どうなの?良い感じ?」

「いっ! 良い感じとは…?」

「ちゃんとイチャイチャしてるのかなーって。ほら、あたしは学校以外だと会えないけど、カンナちゃんは同棲もしてるし、部隊も一緒でしょ? ずっと一緒にいられるんだから、その分甘〜い生活してるんじゃ無いかなってね」

「…まぁ、確かに一緒にいる時間は長いですけど、その…、主に私が甘やかされているので…フォルが満足しているかどうかはわかりません」


 周囲にいた部下たちは心の中で思う。


 んな訳ねーだろ。


 常々フォルクローレがカンナヅキを大事にしている様をまざまざと見せつけられている彼らにとって、カンナヅキが大事にされていない訳がなく、それでいてあの柔らかい表情からして満足してない訳がないのだ。

 彼の昔を知る騎士たちからすれば尚更、今のフォルクローレがどれだけ幸せそうかがわかるというものである。とはいえ、当人同士のことだ、カンナヅキも何か思うところがあるのかもしれない。これ以上甘い雰囲気を撒き散らされると砂糖が口から出そうだが、二人のことを応援しない騎士はミカグラ部隊には存在しない。

 特にカンナヅキは少し硬いところはあれど、年齢も含め、フォルクローレに甘やかされている様は歳を重ねた隊員たちにとっては癒しの一つである。

 普段はキリッとした副隊長が、フォルクローレが絡むと途端に表情が緩む。その後思い出したようにキリッとしなおすのが、妹味を感じるところであり、恨みを買わない程度のイチャイチャに収めて、その表情を引き出しているあたり、フォルクローレもなかなか慣れたものである。


 なので、ミカグラ部隊の誰もがナガツキに安心して欲しいとの言葉をかけたかったが、そこは皆大人、姉妹の会話に口を挟む者はいなかった。


 二人の会話が続く中、開始地点から円形に更地が広がり、騎士団が出動するためのエレベーターも掘り起こされる。瓦礫に埋もれたり、ひしゃげて使えなくなっている箇所は念入りに整備する必要があるため、見つけたところからマッピングをしていく。

 まだ使えるエレベーターからは、支援物資と人員が次々と送り込まれ、更地にはいくつかのプレハブ小屋が建っていた。都市計画を行うための拠点と男女別の休憩所、との事らしい。朝から作業をしていたナガツキたちが先に休憩に入る。

 外面は簡素な四角い箱だが、中を覗くと、鎧やアンドロイドの整備のための工場といって差し支えない設備が揃えられていた。

 今回はどうしても細かい粒子が舞うため、駆動系の隙間の点検、掃除をこまめに行う必要があったのだ。すでに整備を受け始めているものもいるようで、エアダスターの噴射音と、汚れを洗い流す水音、乾かすためのドライヤーの音など、整備設備の音でごった返しており、なかなか騒々しい。


 ゆっくりできそうもないなと思いながら、給水所で水をもらう。懐から騎士章を取り出し、本来受ける予定だった講義の資料を開く。

 今日の講義は、以前行った脳から発せられる微弱な電気信号の読み取りから発展して、その信号を使用した機械操作ができる物を作る、と言うもののようだ。操作するものは何でもよく、信号を読み取って動いたことがわかれば良いらしいので、以前ナガツキが作った電気信号を感知して色の出し分けを行う装置でも問題なさそうだ。


 任務でモノを作る時間が無ければ最悪前回作ったモノを一部改造して出すしかないだろう。出来れば一から作りたいが、本業はコチラなので時間を作るのも楽ではない。

 かといって最初から諦める必要はないので、どういったものがいいか頭を捻る。


 よくある、というかわかりやすいのは嘘発見器だろう。嘘をついた時の電気信号の変化は比較的わかりやすいと言われているため、改造だけでも事足りてしまえそうだ。

 新しいモノを、と考えると、どうしても自分の身体に役に立つモノを考えてしまう。

 ミカグラ粒子を通さずとも、彼女の手を離れてもなお、彼女の信号を受け取り駆動するもの。


 例えば、コーネリアのライフルに備えられていたビット。


 あれは本人の電気信号ではなく、ライフル側からシステム補助を行い、プログラムを実行する、と言うもので、直感的な操作はできず、あらかじめ組んだプログラムでしか動かせない。もちろん、その場でプログラムを書き換えて動かすことが出来ればより自由度は高まるが、結局二人分の人手が必要になるため、専属オペレーターを作る必要がある。

 もっといえば、そのオペレーターもコーネリアのレベルまで熟練度を引き上げていなければ、ビットが本体の足を引っ張る事になりかねない。


 そうなるとやはりビットと本体を別の人間が操作するのは現実的には実現し難い。だがビットの自由度は上げたい。上げてみたい。一人で作り上げる超重厚な弾幕。浪漫が溢れるではないか。

 現実的な路線まで引き上げるにはミカグラ粒子に頼らざるを得ないだろうが、試作という意味では作ってみるのはありだろう。


 端末にその辺のペンを芯を出さずに画面に走らせる。求めている機能は三つ。一つ、信号を受け取り思い通りに動かせる受信機。二つ指示がない場合に座標を維持するオートパイロット機能。三つ、座標を維持するための機構。

 受信機は既にあると言っていい。有線を無線に変えるために少し形を変えなければならないが、有線を無線に切り替えるための設計テンプレートがデータベース上にあるため、流用は効く。そのテンプレートを使って、まずは一つ、動かしてみる。


 テンプレートを呼び出してメモに残しつつ、理想を描きながら必要な図面を起こしていく。


 無意識に、彼女のユニットが駆動を始め、思い描いているソレをゆっくりと作り始めた。少し細長い八面体の頂点をそれぞれ削ったような形のソレはふよふよとナガツキの側で浮かんでおり、一緒に図面を覗き込んでいるようにも見えた。


(動かせるのはいいけど、動かしたあとのオートパイロットをどうするかだよね。実際の座標をし維持したままだったら、あたしが動いたら置いてっちゃう訳だし…。あたしをゼロとして、三次元的座標軸を維持するのが正解かな? あ、コレ、自分が配置したものがどこにあるのかもわからないと動かせないから、ビット側にも発信させて今いる位置を頭に流し込ませないといけないなぁ…。頭パンクしそー…)


 一つのビットの位置を頭に入れておくだけなら、感覚的には手がひとつ増えたようなものだろう。それでも後付けの手なのだから、慣れるには相当な時間を要するはずだ。自分を動かしながらビットを動かしつつ、地形を把握しなければならないとなると、かなりの空間把握力が必要だろう。

 ビットに障害物回避機能をつけてもいいが、意図通りの場所に配置されなかったことによる意図しない銃撃が発生した場合、二次被害の発生も起こりうる。やはり、ここは自分頼りにするしかない。


(…お兄ちゃんなら何かヒントくれるかな)


 兄の顔を思い浮かべながら、彼ならどうするかを考えてみる。

 突拍子もない事を平然と言ってのけ、それを実現できる自信がある彼の顔は、ナガツキにとっては希望そのものだ。

 設計図の試作案を書き起こした後、うーん、と顔を上げる。画面を覗き込んでいたそれと目(?)があった。


 お互いにぺこり。


「………、ハッ!」


 思いつく。


 オペレーターが人である必要はない(・・・・・・・・・)


 必要なのは彼女の意思を汲み取って意図通りに動いてくれるモノだ。それならば、


「キミが意志を持ってくれればいいんだ!」


 ナガツキの言葉に、それは頷いた。もう既にこ基礎は組み上がっているようだ。無意識に稼働させていたとはいえ、どうしたいかを考えながら作り上げたものなのだから、ナガツキの要望はほぼ叶えられていると言っていい。

 ナガツキが動いて欲しい所へ、ナガツキの言葉を必要とせず、思った事を読み取り、それは宙を滑空する。


 ナガツキの目が輝く。


「浪漫!ロマンだね!! うふふ、お兄ちゃんってホントに不思議! 考えてるだけで出来ちゃった!」


 早速ナガツキは目の前に戻ってきたソレを抱き抱えると、いろんな角度からソレを見回す。

 筒、というには少し角張っている。角は八つ、少し丸みはあるが、曲面ではなく平面だ。頭にして飛んでいった方が細く、拳程度の直径だ。背面、底面と呼ぶべき方に向けて徐々に大きくなっており、底面は拳二つ分ほどの直径だ。

 これだけでみると、少し無機質が過ぎる。ナガツキは頭の中でソレを改造してみる。


 八面体なのはいい。横から見た時に、上部が長くなるような台形へと頭部と底面部をカット。底面側は筒状になるように窪みをつけ、噴射口をつける。飛ぶ時はここから粒子でも散らしてみればカッコいいに違いない。

 頭部側は銃口だ。と言っても、穴はあえて空けていない。何もないところから不意に現れる弾丸。浪漫ではないか。


 また色んな角度から見回し、納得のいくディテールになった事を確認してから、もう三つほど浮かべてみる。

 一つは最初のものと同じ形、残り二つはシールドを持たせた。シールド、と言っても重騎士が持つようなものではなく、カイトシールドを一回り小さくしたものだ。

 攻防一体、自身に備えた銃口も含めて、二十門の銃口が一斉に火を噴く。


 硝煙ロマンの香りがした。


 と、そこまで作って、本来の目的に立ち返る。この課題においては、このビット達は提出できない。ミカグラ粒子を利用したソレらは完全にナガツキ専用のため、他人の電波信号が受け取れるようにはなっていない。いや、想定すればできるのだろうが、この課題に対してミカグラの力を使うのはズルだろう。


 自身の手で、一から作るべきだ。


 そう考えたナガツキは、早速、他人を頼ることにした。

 これから、きっと、最も身近になるだろう彼へのラブコールだった。

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