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果たされる野望


 絵里子が発した意外な言葉に、輝蘭も瞬も真夢も戸惑いの視線を彼女に向けていたが、それ以上に男は驚きの心情を色濃く浮かべ、やがて肩から力を抜くように大きな笑い声を上げた。


「驚いた。まさか状況だけで、あの憎きソロモン王とのつながりまで導き出すとは。」

「マムから聞いたけど、クンヤンの人間っていろんな超能力があるんだって?普通の人間なら、アンタらのことを神か悪魔だって思うのも当然だよね。アンタは本物のフォルネウス?それとも子孫?」

「我々は地上人に比べ遥かに長命だ。」

「そうか・・・。それじゃやっぱり、本人なんだ・・・。」


 絵里子とフォルネウスの会話は、到底輝蘭たちには信じられないものだった。

 特にソロモン王の件については、詳しい事は知らないが何百年も昔の話であるということだけは理解出来る。そしてその人物と実際に共に過ごした男が目の前にいて、しかもその正体が悪魔だと言うのだから、そう簡単に信じられるものでは無い。しかし絵里子たちのやり取りには疑いを挟む余地は無く、輝蘭たちはただ呆然と異常な真実を受け止めることで精一杯の状況だった。


「悪魔のオッサン。悪いけどナミは返してもらうね。アンタもやりたいことがあるのかも知んないけど、それはまた今度にしといてよ。」


 絵里子の態度は、およそ驚異と思われる存在を前にしても揺らぐ気配は無い。その度胸に輝蘭も瞬も感心しながら耳を傾けていたが、その時不意に男の表情が豹変した。フォルネウスは今までは多少なりとも微かな笑みを浮かべてはいたのだが、絵里子の言葉を境にそれが完全に消え去っている。おそらく絵里子の言葉を挑発と受け取ったのだろう。結んでいたはずの口の間から太いトゲのような牙を覗かせ、目は完全に四人を敵視したものになっている。

 瞬は何かを始めようとしているフォルネウスに備えるために、姿勢を低く構えた。


「来るよ、リコちゃん。挑発しすぎじゃ無い?」

「大人しく聞いてくれる相手じゃ無いでしょ。どっちにしろ、こうなるんだよ。」

「作戦とかあるの?」

「あるはず無いじゃん。まさか居ると思わなかったんだからさ。」

「やっぱり・・・。」

「とにかくシュンが囮になりな。その隙にリコとキララがなんとかしてみるよ。」

「囮?どうやって?」

「とりあえず殴りかかってみたら?」

「ええ〜!?ボクけんかもしたこと無いよ〜!」

「うるさい!黙ってやるの!!」


 絵里子は輝蘭に目配せすると、彼女もコクンとうなずいた。どうやら二人の作戦は固まってしまったようで、こうなると彼には反論の余地は無い。

 瞬は渋々頭を下げると拳を握り、これから起きるであろう想像を超えた争いに向けて、自分の意思を強く固めた。


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