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放蕩息子達の故郷4

 超広域魔法〈炎の魔剣〉を横目に、私はこれからの作業について前提条件の確認から開始することにした。

 もしも見当違いだったら何もかもが台無しになってしまうからだ。

 ここからは何一つ間違えることは出来ない。


「と言う訳でまずは、ハロルド。いいかしら?」

「……何?」


 訝しげに私を見つめてから返事をしたハロルドに、私は問いを投げる。


「錬金術によって無から創造される物質は、この世に短時間しか固定化されない。

 これって、アレにも通用する話なの?」

「ああ、特に貴金属や貴石、質量が大きいモノなんて精々が五分程度だよ」

「五分。やっぱり五分程度なのね」

「溶岩は五分程度だけど燃え移った炎のほうはもっと長い時間この世界に残って悪質な災害を引き起こすだろうよ」

「そう。分かったわ」


 良かった。

 ハロルドの答えに私は安心する。

 これなら、私の思いついた方法でどうにかする事が出来るだろう。


 私は次にティルナノグに問いかける。


「では〈炎の魔剣〉はいつ落ちるとあなたはどう思う?」

『これほど巨大な魔法構築の呪文だが、構成速度は速い。

 例の文献の記述も踏まえて推測すると、そうだな……今から完成まで四十分程度だろう』


 それだけの時間では、市民の避難は難しい。

 一つの魔剣の下から逃れたとしても、別の魔剣の落下地域に巻き込まれてしまう。

 だから先ほどティルナノグは彼にしては珍しく言いよどんだのか。


「……って、何でそんな事を今聞くんだよ!」


 ハロルドが苛立った様子で私に詰め寄った。

 よし、怒れる程度には元気そうで良かった。

 ハロルドにはこれから沢山働いてもらうつもりなので、無気力状態じゃなくて本当に良かった。


「ハロルド、あなたなら、いえ、私達ならこの街を救えるかもしれないからよ」

「……どういう……ことだよ?」

「あの〈炎の魔剣〉は触れたり解体したり解呪できないけど、私達にとれる方法がたった一つあるの」

「な、なんだよ、それ。勿体ぶらずに、はやく言ってくれって!」


 じれたハロルドが急かす。

 オーギュストもティルナノグも私の言葉を待って静かに私を見つめていた。


「魔剣の完成は防げないけど、完成した魔剣が溶岩として街に降り注ぐ前に、広域魔法で防げばいいの」

「そんな無茶苦茶な! 広域魔法を展開するためにはハーファンの魔法使いが何十人も必要なんだ。

 そんなに大勢、どこからどうやって連れてくるんだよ!」

「ここにいる三人……私と、ハロルドと、オーギュスト様がいれば充分だ、と言ったら?」


 ハロルドは言葉を忘れたように押し黙る。

 オーギュストやティルナノグもはっとした様子で私を見つめていた。


「ハロルド、あなたには今から大量充填を行ってもらうわ。

 込める呪文は浮遊(レビテート)。充填数は九百九十回」


 ハロルドの表情が、驚愕を経てゆっくりと落ち着いたものに変わっていく。

 技術屋としての本分が刺激されているのだろう。

 私はハロルドの変化を読み取って、口元に笑みを浮かべた。


「できるわね?」

「……できる。できるさ。作った事は無いけど呪文の構築は知ってるよ。

 でも、浮遊(レビテート)なんかで、何を……あっ!」


 ハロルドが目を見開く。

 幼い頃から魔法や杖に慣れ親しんできたハロルドには、もう分かったらしい。


「そうか、溶岩が実体化している時間は五分、一般的な浮遊(レビテート)の効果時間は十分前後。

 浮遊は増幅すればするほど上昇効率が上がる特性も持っている。

 効果範囲を短杖拡張(ワンド・オルタレーション)で広域化して包み込めば……!!」

「その通り。魔剣一つに六十六回分使用するとして、それが十五本で九百九十回必要なのよ」

『なるほど、杖の力を際限なく拡張できるエーリカならではの方法だな』

「拡張……アウレリア公の得意技のようなものか……うん、いいアイディアだと思う」


 ティルナノグとオーギュストも頷く。

 でも実はこれだけではまだ足りないのだ。

 そして、それに真っ先に気づいたのも、ハロルドだった。


「待てよ……照準はどうするんだ? 十五ヶ所に同時照準、しかもノットリード全域だぞ。

 ここから普通に見ただけじゃ絶対に無理だから、猛禽の魔眼(ラプターサイト)で……いや、ダメだ。

 二本も大量充填してる時間なんてない」

「だから、もう一人必要なのよ」


 私はゆっくり頷き、オーギュストに視線を移した。


「なるほど、照準……それが私の役目か」

「話が早くて助かります。もちろん、この企みに乗ってくれますよね」

「私が断るなんて微塵も思っていないんだな。いいぜ。私もお前に賭けよう」


 作戦の全てを理解したオーギュストに私は微笑んだ。

 これで準備は整った。

 ここからは、ハロルドを信じるだけだ。


「では私はあの魔法に変化が無いか監視している。

 魔法の準備が整ったらいつでも、エーリカ、お前に竜の眼を提供できるようにしておく」


 オーギュストはそう言って空を睨む。


 私はティルナノグの持って来てくれていた自分の鞄から一本の杖を取り出す。

 浮遊の魔法が既に百ほど詰まった浮遊(レビテート)の杖。

 杖頭を持って、ハロルドに差し出す。


「あなたなら出来ると思うのよ、いえ、あなたしか出来ないと思うの、ねえ、相棒(・・)。そうでしょう?」

「……なんだよ、その丸投げみたいな適当で雑な信頼感」


 はあ〜〜、と長いため息をはいたハロルドは、私を真剣な目で見つめる。


「でも俺は、そんなあんたを信じ返してやらなきゃだよな」


 そのハロルドの瞳にはわずかに涙がにじんでいた。

 彼はそれを隠すように拭ってから、杖を受け取る。

 ハロルドは塔の石床にしゃがみ込んで、仕事道具を広げた。


「さあて、俺の仕事を始めるとするか!」


 ハロルドは腕まくりをして、黒革の手袋をはめる。

 仕上げにゴーグルのような道具をバチンとかける。


「本来百発分しか入らない杖に千発も充填すれば、杖にかかる負荷は十倍どころじゃない。

 まずは魔力を全部解放して、魔力の圧縮形式を一から変更しないと」


 ハロルドは短杖の石突を緩め、地面に向ける。

 自分以外の全員が杖から離れたのを確認し、彼は充填された魔力を解放した。

 ストロボのような強い閃光。

 一気に放出された魔力が地面を抉った。


「うっ!」


 暴走した魔力が一筋、ハロルドの右頬に跳ね返る。

 青白い火花の纏い付いた傷口から、鮮血が垂れ落ちていく。


「ハロルド、大丈夫なの?」

「はは、これで時間が短縮できたんだ。この程度の怪我、安いもんさあ」


 ハロルドは軽口を叩きながら、機械のような精密な動作で短杖を組み変えていく。


「へえ、これは……」

『どうした、ハロルドよ』

「いやあ、こんなところで〈来航者の一族〉の最高の仕事が見れるなんてさ」

『お前というヤツは……案外、余裕そうだな』


 ティルナノグが呆れたように言うと、ハロルドは八重歯を剥き出して不敵に笑った。


「だって、こんな凄い杖、滅多に弄れるもんじゃないよ。

 耐久性も精密性も、そこらの既製品とはわけが違う。

 でも、流石に十倍の内容量増幅なんて破天荒な使い方は考慮しちゃいないね。

 他の杖もバラさせてもらうよ。使えるもんは、何でも使わせてもらわなきゃだ」


 言うが早いか、ハロルドは跳躍(リープ)軟着陸(フェザーフォーリング)の杖を分解し始めた。

 軟着陸の軸材のグリフィンの骨を三分の一ほど折り取り、鉤形に削る。

 浮遊の軸材の飛竜(ワイバーン)の骨も同じ形に削って組み合わせ、膠で隙間なく接着する。

 次に彼は犢皮紙(ヴェラム)を取り出し、細い帯状に切っていく。


「確か長腕のエルンストの短杖(ワンド)には、〈来航者の一族〉の古い詩文が刻んであるんだよな?

 流石の俺も〈来航者の一族〉の詩文は記憶してないけど俺の故郷(くに)の古い詩文だって、効果は同じはずだ」


 何種類かの薬品を混ぜ込んだ特殊なインクにペンを浸す。

 犢皮紙に詩文を書き込み、膠を塗り付けると、軸材の上から巻き付けた。

 確かに、これなら刻み込むより早い。


 組み上がった軸材に、元通りに琥珀の杖頭と真鍮(イエローブラス)の持ち手をつける。

 芯材の素材が同じことを利用して、伸長された軸の分だけ軟着陸の芯材を添加。

 最後に、跳躍の杖頭に使われていた磁鉄鉱(マグネタイト)で石突に封をする。


「無骨になったけど、耐久性は折り紙付き。あとはこいつを信じて充填するだけ、時間との勝負だ」


 ハロルドは真剣な顔で杖を見つめると、充填する呪文を構築していく。

 一つ、二つ、三つ──

 正確無比に為される呪文構築に、いつの間にか息をするのも忘れて見入っていた。


 百個目。

 魔法構造が乱れて、放出された魔力がハロルドの右の頬をかすめる。

 魔力の奔流が、最初の傷に交差するように彼の頬を灼く。


「大丈夫、ハロルド!?」


 しかし、ハロルドはうめき声を上げるどころか、瞬き一つせずに充填に没頭していた。

 凄まじい集中力だ。

 私はハンカチをそっと彼の頬に当てる。


「あの街は俺の育った街だ。俺の街の人たちを傷つけることなんて絶対俺は許さない」


 そう呟きながら、彼は粛々と作業を続ける。

 一瞬たりとも止まる事の出来ない高速の呪文構築と充填作業だ。

 もはや画像を焼き付けるような速度で呪文が構築され杖に充填されていく。


 二百、三百、四百、五百、六百、七百、八百、九百。


 彼の右腕の古傷が赤く染まって浮き上がって来た。

 その傷跡は燃え立つような炎の奔流のようだった。


「エーリカ、ハロルド。空の様相に変化が現れ始めた!」


 空の視点から〈炎の魔剣〉を観察していたオーギュストが声を上げる。

 時間を確認すると、あと残り三分ほどだった。


「待ってくださいよ、殿下。あと一個で終わりですから」


 ハロルドの言葉を聞いて、私はオーギュストの横に並び、彼と手を繋ぐ。


「辛くないか?」

「むしろ少し慣れてきました。オーギュスト様、出来れば魔法の状況も知りたいのですがよろしいですか?」

「ああ、いいぜ」


 竜の眼を借りた状態で霊視の魔眼(グラムサイト)を乗せる。

 おそらく脳に負担が高い行為だけど、今は仕方がない。

 私は霊視の魔眼(グラムサイト)の杖を使った。


 目前には黄昏の街を、異常な明るさで照らす巨大な炎の群れ。

 うっすらと夜霧に覆われはじめたノットリードの街の空は、幻想の炎に染められて真っ赤に染まって見えた。

 上空からみると、〈炎の魔剣〉は燃え盛る炎のリボンで構成された大きな魔法陣そのものだった。


 人と竜の二重視覚情報に霊視の魔眼(グラムサイト)を行使していると激しい頭痛が私を苛んできた。

 苦しい。

 ものすごく苦しい。


 ああ、でも。


 目下にはあの人々が暮らす街があった。

 環状運河によって構成された幾何学的な街の姿が見える。

 朱色の屋根に白い壁のこまごまとした建物がお行儀よくならぶ広大な運河の都。


 こんな時でもノットリードの街はいつも通り活気のある夕方を迎えていのだ。


 仕事を終えた彫金師が、目を暖めていた。

 商売の真っ最中の立ち飲み屋の女主人がビールを運んでいる。

 店先で加工肉を焼く店主の顔には汗が流れていた。

 疲れきった人々は酔い止めの水薬(ポーション)を買ってから酒場に向う。


 調香師のベルが樽を追いかけていた歩道が見える。

 その歩道を横切って工房勤めらしい少女が貴婦人の看板の下がってる香水店に入って行った。


 迷子の小さな男の子がやっと母親に見つけてもらっていた。

 母親は優しく男の子を抱き上げて蜂蜜色の飴を口に放り込む。

 男の子は幸せそうに微笑んだ。


 馬車からおりた公証人はギルドホールの前で空を凝視している。


 トゥルム短杖店が見える。

 やっと父親に会いに行ったギルベルトは今頃どんな会話をしているのか。

 あのトゥルム老は帰って来た息子をどう出迎えたのだろうか。

 彼らが幸せであるといいな、と思う。


 〈水の宮殿〉は黄昏の中で、とても美しく照り映えている。

 あの中でニーベルハイム伯爵はギルベルトの磁器を使って交渉ごとを有利に進めてるに違いない。


 まるでミニチュアのように見える、美しい街の眺め。

 そこで暮らす沢山の人たち。


 そして、それら全ての上に浮かぶ〈炎の魔剣〉は、美しい炎の芸術のようだった。

 けれども、あれは忌むべき兵器の成れの果ての姿でしかない。


「よおおおし!!! 出来たさ、相棒!!」


 ハロルドの絞り出すような叫びが耳に届いた。

 駆寄ってくる彼に合わせて静かに右手を差し出すと、そこに勢い良く短杖(ワンド)が渡される。


 私はそれを握りしめる。

 これは切り札だ。


『エーリカよ、お前は必ずやこの街を救うだろう』

「……ありがとう、ティル」


 ティルナノグはまるでおまじないのような言葉で私の心を軽くしてくれた。


 さあ、今度は私が私の仕事をしなければ。


 ハロルドが呪文を構築し魔法を充塡した浮遊(レビテート)の杖。

 緊張のあまり冷たくなった指先で、その杖を空に向って構えた。


 短杖(ワンド)の先を〈炎の魔剣〉の中心に向ける。

 やるべきことは分かっている。

 あとは、それを素早く、正確に行うだけ。


 私は〈虹の革紐〉に触れたときのことをイメージしながら、杖の中に眠っている魔力をたぐり寄せる。

 最初はするすると引き出されてくれたけれど、すぐに強い抵抗にぶつかった。

 手放さないように気をつけながら、ゆっくり確実に魔力を紡ぎ、細かく解いていく。


 選り分けた糸のうち数本に当たりをつけ、別の形に編み直していく。

 軟着陸(フェザーフォーリング)の中にあった範囲指定箇所と同じ形へ。


 本当にこれで大丈夫だろうか。

 もっと上手い方法があるような、そんな不安に駆られた。

 私は杖を振る手を一瞬躊躇する。


「心配するな、エーリカ。お前にならできる」


 オーギュストはそう囁き、繋いだ手に力を込めた。

 私は頷き、決心して杖を振る。


浮遊(レビテート)──」


 街の中心に近い箇所の上空に、軟着陸(フェザーフォーリング)のものに似た金色の魔法陣が形成される。

 射程延長と形状変化は成功したらしい。

 とりあえずは一安心だ。

 まだ魔力の経路も繋がっているので、あとは範囲を拡大していくだけだ。


 杖に残った魔力を魔法陣に向けて流し込む。

 魔力を流し込んだ分だけ適切に魔法陣を拡大させ、同時に魔力の引き出しを続ける。

 焦れば呪文を歪め、壊してしまう。

 まるで二次元のシャボン玉を膨らますように、慎重にゆっくりと膨張させていく。


 金色の光が街を覆っていく。

 竜の眼を通して、街の人々がざわめいているのが見えた。


『エーリカよ、始まったぞ』


 ティルナノグに指摘され、〈炎の魔剣〉に焦点を合わせる。

 溶岩の実体化が始まっていた。

 予定より早い?

 いや、集中しすぎて時間の経過に気づかなかったのか。


「大丈夫だ、相棒。俺の短杖(ワンド)を信じてくれ。俺も、あんたを信じてる」


 ハロルドの言葉に私は小さく頷き、少しだけ強く魔力を引っ張った。

 まるで悲鳴をあげるように、杖は激しい魔力振動を起こす。

 しかし、短杖は何とか負荷に耐えてくれた。


 完全に実体化した〈炎の魔剣〉が落下を始める。

 ほぼ同時に、魔法陣が最後の魔剣の落下予測地点に届く。

 限界まで高まった反動を自身の阻害体質で無理矢理抑え込みながら、私は魔法を完成させた。


「──起動!」


 〈炎の魔剣〉の先端が魔法陣に接触した瞬間、魔法陣は砕け散って黄金の羽毛のような破片に変わる。

 その一瞬、時が止まったかのように、零れ落ちた全ての溶岩が空中で静止した。

 ストップモーションからスローモーションへ。

 時間の流れを遡るように、溶岩は上に向かって流れ始める。


 灼熱に煌めく〈炎の魔剣〉は無数の赤い雫となって藍色の空へと昇っていく。


 天灯(スカイランタン)のように、藍色の空に散った溶岩の雫がノットリードの街を照らしていた。

 その灯りは全ての運河に光を落とす。


 誰も彼もがその光景に見とれていた。

 私も例外ではなかったけれど、はっと気づいて、すぐに霊視の魔眼(グラムサイト)で詳細情報を確認する。


浮遊(レビテート)は正常に起動……持続時間、十分……成功よ」

「やった……やった……、やったよ……」


 ハロルドは腰が抜けたようにその場にしゃがみ込んで泣き出した。


『エーリカ、よく頑張った。素晴らしい魔法だったぞ』


 ティルナノグは大きな手のひらで私の頭を撫でる。

 オーギュストは額に大粒の汗をいくつも浮かべながら、冗談めかしてウインクした。


 私は、何だか不意に、足元の地面が消えたように錯覚した。

 足にも、膝にも、腰にも、背中にも、全く力が入らない。

 軟体動物にでもなったかのような気分。

 転倒しかけた私を、オーギュストが慌てて抱きしめるように支える。


「エーリカ!?」

「あれ……なんだか……力が……?」


 力が入らなくて、こんな時に、オーギュスト様も疲れてるはずなのにすいません。

 そういう意味の言葉を言ったつもりだった。

 しかし、私の口からは意味の通らない、むにゃむにゃという呟きだけが漏れた。

 みんなが、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。


 私は大丈夫。

 それよりもハロルドは鼻をかんだほうが良いんじゃないかな。


 そう言いたかったけれど、既に私は意識を保つことすら限界だった。

 瞼がずっしりと重くなって、視界が闇に包まれる。


 やり遂げた心地よい疲労感の中、私は深い眠りに落ちていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ティルとエーリカ、ハロルドとエーリカの友人相棒コンビがとても好きです。それに、オーギュストからエーリカへの態度というか、接し方も好きです。 (いつか星に手が届きますように。 [気になる点]…
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