九日目~十七日目: 遠距離恋愛とまではいかないけれど
注記: 本格的にやる気が無くなったらしく、あまり書いてくれないので、9日分を纏めました
(個別投稿は短すぎて不可能でした)
Dear Diary,
有給は残り9日。 長い。 長いったらありゃしない。 本格的にやる事が無い。 冬眠ならぬ春眠でもやってやろうか。 朝と夜のみ起きれば良い訳だし。 しかし三日ぐらいで飽きそうだ。
-------------------------------------
Dear Diary,
残り8日。 時間がたつのが遅い。 一日は24時間のはずだが、そんなレベルじゃない。
-------------------------------------
Dear Diary,
7日。 書く事がない。 朝夜だけじゃ物足りない、ご主人様に会いたい。 見たい。 感じたい。 お声を賜りたい。 触れたい。 お側に在りたい。 どうでもいいが、お側と思うと“お蕎麦”が先に脳内に出てきてしまう。 食べたい。 というか生たまご飯が食べたい。 オレンジ色でぷっくりと膨らんだ新鮮な黄身と透明な引き締まった白身、中心をくぼませた白色のご飯、そしてそこにちょいと垂らす“お醤油”。 熱々の白米によって微妙に温められた、卵と“醤油”の入り乱れた高厚な味。 ふわりと漂う、なんとも言えぬあの香り。 ちょいと掬い、口内に含んだ際、広がる蕩けた口当たり。 そこに惜しげも無くすり胡麻をふりかけ、そのまま胡麻の高らかな香気が混ざったその芳香を鼻と咥内で感じつつどろどろのそのアンブロージアを自分だけの所有物にするその喜び、その愉悦、その快楽! まさに幸福とは、天の国とはこの事ではなかろうか。
私はいったい生たまご飯なんぞで何を語っているのだろう。 とりあえず寝よう、寝ればそれだけ時間が飛ぶ。
-------------------------------------
Dear Diary,
6日。
-------------------------------------
Dear Diary,
5日。 もはや朝と夜にしか行動意欲が湧かない。 ここまで来ると逆に己が笑えてくる。 朝と夜、二回も会っているのだ。 それで十分だろうに。
-------------------------------------
Dear Diary,
4日。 後もう少し。
-------------------------------------
Dear Diary,
3日。 後たった3日。 されど3日。 朝食を取りに行った際、食堂の料理人さんに、この間自分で作って食べてたのは何かと聞かれた。 “サンドイッチ”とは何かを簡単に教えたら、何やらショックを受けていた。 遠い国から来た旅人さんは知っていたんだから、この世界でもすでに開発済なのは確定していたのだが知らなかったようだ。
そういえば私の日記よ、最近検証したのだが、やはり魔族というものは、何かを積極的に取り入れたり開発しようとする気概が無い、あっても薄い。 己が強すぎるせいか魔術が便利すぎるかなんなのかまではまだ分からないが、とかく見ていて歯がゆい。
ついでに化学系統の技術もほぼ無い。 どころか“車”や“電話”どころか馬車すら珍しいのにはびっくりした。 人間の大陸の方ではそうではないらしいが、こちらは転移陣やらなんやらが凄い発達していて、駅から最寄りの陣まで飛んでから歩いて行ったりするのが主流だ。 ただ、遠い距離を飛ぶ場合は街の設備に影響を及ぼさないよう、馬の足で最低半日ぐらいの距離を開けて、閑所などが設けられる。 そこから行きたい場所に最も近い場所まで飛ぶのだ。 そこからまた頑張って移動する。 めんどくさいったらありゃしない。
ちなみに私は人間なので、魔術はほぼ使えない。 そのために首輪が支給されている。
-------------------------------------
Dear Diary,
2日。 もう良いのではなかろうか。 数えてる奴なんて居ないんじゃないか? ならバレないんじゃ? どうせご主人様は怒らない。
-------------------------------------
Dear Diary,
怒らないとはいえ、生来がチキンの私に何が出来よう。 今日で最後だし、まあがんばろう。
さて私の日記よ、今日の夜はお好み焼きをキッチンの方々と一緒に作って食べた。 あと少しという事実が行動意欲を湧かせた模様。 しかし粉と出汁とキャベツと肉と卵と牛乳と水さえあれば作れるこれは、コスパ的にも本当に素晴らしい。 その上美味しい。 お好みソースをどうしようかと思ったが、そこはさすが、うちのキッチンスタッフ。 私が語る妄想を若干の情報のみで、余裕で形にしてくれた。 かなり改良の余地がある、ただの甘辛ソースではあったが、これはこれで良い。
ちなみに私は、鰹節を粉状にしてタネに入れる方を好む。 ぱっさぱっさはあまり好きではない。