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同期  作者: SHIRO
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 自慢ではないが、僕は嘘が下手だ。

「一之瀬、ナニ食いたい?」

 今日が給料をもらったばかりの金曜日だった事もあり、関本は当然の如く撲が断らないと言う前提の下、今晩の腹具合を聞いてくる。あの時の一件さえなければ、「今日は豪華に焼肉にするか? じゃ、工藤にも声をかけとくよ」と、言うのが何時ものパターン。

でも、なんだか二人で行く事にあれほど拘った工藤の手前、関本にはそれが言い出せなかった。咄嗟にやったことが、止せばいいのに日頃吐きなれてない嘘を吐くことだった。

「ごめん、今日はちょっと」

「なんかあったのか?」

 関本は気遣うように僕を見た。

誘われて断るなんて滅多にないから、仕事絡みで何かあるのかと余計な心配まで掛けさせたようだ。嘘をつくのは心が痛い。

「違うんだ。大学の友達と……久しぶりに飯でもって話になって」

 なんだかソワソワとして、変な汗を掻きそうになる。

関本は勘が鋭いから、一瞬胡乱な眼つきをした。

生きた心地がしないとはこう言うことか。

 でも、そこは僕と違って大人の彼は、「そうか、それじゃしかたないな。愉しんで来いよ」となにやら含んだような笑みで、案外あっさりと無罪放免にしてくれた。

第一段階はクリア。


僕に断られた関本は、当然の如くもう一人の同期を誘いに行く。工藤の席も、僕の所から見渡せる位置にあるから、その様子が逐一見て取れる。

残念ながら話の内容までは聞こえて来ないが、嘘をついている身としては、内心ドキドキもので、こっそりと二人の動向を伺ったりする。

なにやら楽しげに笑っている二人。

工藤が一度だけ僕の方をチラリと見た。

言ってないよ、関本には。

ちょっと恨みがましい眼で工藤を睨む。

暫くして、「ちぇ、あいつにもフラれたよ」と、関本が肩を落として戻って来た。

 そうか、工藤も言わなかったんだ。

 なんだろう、このコソコソとした感じは。

これではまるで、社内恋愛みたいじゃないか。

一瞬、そんな風に考えた自分が馬鹿みたいに思えた。取敢えず工藤と二人で行くのは決まったとして、約束の時間までに火曜の会議資料作成に頭をシフトする。出来なければ、休日出勤は免れない。

 仕事の遅い僕は焦る、慌てる、そして行き詰まる。




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