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灯台下暗し

掲載日:2025/12/07

 ある一家の父親が、最近、パソコンを購入した。パソコンが古くなって重くなったので、新しく買い替えた。妻と子供も、このパソコンを共用する。あまりパソコンに詳しくないが、セキュリティソフトを入れて、インターネットを使えるようにした。最近は便利な時代で、口座管理もインターネットを使って行うことができる。

 でもあるとき、身に覚えのない支払いが出ていることに気がついた。何だろう、こんな物買ったかな、と思いつつ、詳しく確認はしていなかったのだが、月が変わるごとに、不審な支払いが増えていった。父親が使っている電子マネーは、彼しか使わないので、家族の他の人間が使うことはない。妻は昔、IT企業に勤めていたことがあって、こういうことにも詳しい。それで聞いてみたが、わからない、電子マネーの運営会社に聞いてみた方がいいかもしれない、と言われた。

 言われた通り、運営会社に連絡してみると、身に覚えが無いなら、誰かに悪用されている可能性があるから、使用を中止した方が良い、ということだった。

 それで、電子マネーの使用は止めて、現金を使用するようにした。すると今度は、口座から直接、お金が引き出されるようになった。銀行に連絡し、誰がお金を引き落としているのか、確認してもらった。月に働いてもらう給料の半分が、引き出されていた。

 子供はいつもゲームをしていて、妻は家事をしている。でも、今の状態じゃ、金が全部無くなってしまう。

 銀行に調べてもらうと、どうやら、海外から、引き落とされているらしいことがわかった。その口座も閉めて、違う口座を使うことにした。

 この1月で、銀行とかに関する書類が山のようにたまった。世の中には、お金を不正に盗まれている人が数多くいるらしかった。口座を変えたら、しばらく、不審な引き落としは無くなった。でも、ある時から、また、お金が引き出されるようになった。父親はもう、銀行を使うのは止めて、全部、家のタンスの中に現金を入れておくことにした。銀行も電子マネーも、使えたもんじゃない。現金を置いて、毎日のように、札束の数を数えた。自分のお金を盗んでいた奴は誰なのか、知る由もない。だが、現金にしてしまえば、盗まれることはない。

 そう思って、毎日札束を数えていたけど、それも止めた。ここに置いておけば盗まれることは無いだろう。

 しかし彼は気づかなかった。月に1枚、2枚、と、札が減っていくことに。彼の子供はインターネットを使って、海外に住む男とチャットでやり取りしていた。言葉は自動的に翻訳される。

「うん。大丈夫。もう、金は家にあるから」

「ちゃんと報酬は払うんだろうな?」

「もちろん、払うさ。まぁでも、いきなり全部は払えないよ。ちょっとずつじゃないと、ばれるからね」

「次のターゲットは決まっているか?」

「あぁ、大丈夫。見つけてある。だけど、次はちょっと手強いかも。パソコンとかITとかに、ちょっと詳しいから」

「金が手に入るなら、何でもいい」

 チャットはここで終わった。子供は自分の部屋から出て、居間でテレビを見ていた自分の父親に、言った。

「お金盗まれても、大丈夫だよ。お金が無くなっても、僕が大きくなってお金を稼げるようになったら、いくらでも貸してあげるから」

 彼の父親は笑った。「有難う。でも大丈夫。もう、お金は盗まれないようにしてるから」父親は言った。

「そっかー」彼の子供は言った。「じゃ、遊びに出かけてくるー」

「遅くなるなよー」

「うん。行ってきます」

 玄関のドアが、がちゃりと閉まる音がした。子供は財布を持ち、ゲーセンに向かった。

 母親は、玄関から出て行った子供を見た後、首を傾げ、居間にいる父親を見て、言った。

「ねぇ、あの子、いつもゲーセンに行っているみたいだけど・・・私たち、あの子にそんなにお小遣いあげてるかしら。あなた、何か知らない?」


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