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二度と潤わない
私と彼が会話をすることはあの後、二度と訪れなかった。
混乱から生じた怒りが薄れ、罪と孤独が顕在化し、彼との対話を欲求してもそれは不可能だと確信したために。
彼は決して悪くない。
勇気を持たず、彼と会うことをやめた私が悪いのだ。
あの日以降、山田や谷口とくだらない日常を過ごし、田部さんと行為に及び、輪郭を持った記憶を頭に刻んだ。だが、それによって彼への意識は消えることはなかった。むしろ、楽しい記憶を刻み込むたびにそれは一層鮮やかになった。
ことさら、指定校推薦で大学受験を終えた私にとってその作用は深刻であった。同じように受験を終わらせた彼らと遊んでいても、かつて彼と遊んでいた時に覚えていた充足を思い起こさせたのだから。
今年の春、私は大学生になった。
通学の度、私は最良の友人の家の前を通る。そして、カーテンが閉め切られた二階の一室を一瞥する瞬間に、自ら切り落とした友情の輪郭を捉える。
これは夏の陽光に満ちる今日も変わらない。
「大介、いまもギター弾いてるのかな」
私は陽炎が繁茂する道の最中、彼の家を一瞥し、二度と癒えない渇きが一瞬だけ潤ったことを感じ、それに懐古の充足を覚える。
おわり




