表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

決戦

大きな机の後ろで、椅子が回転する。そこに座っていたのは魔王...いや、高級スーツに身を包んだ中年の男性だった。


「僕は...魔王を倒しに来たんです」タカシは躊躇いがちに言う。


男性は微笑む。「そう、物語通りにね。でも、ここでは私はCEOさ」


「CEO?魔王企業の?」


男性は軽く笑う。「魔王企業。悪くない響きだ。でも違うんだ。この物語全体のCEOさ」


「物語?」


「ああ、君はまだ気づいていないのかい?」CEOは立ち上がり、窓の外を指さす。「見てごらん」


窓の外には、無数の物語が浮かんでいた。本、映画、演劇、すべてが混ざり合い、渦を巻いている。


「我々は皆、物語の中の存在なんだ」CEOは説明する。「君が勇者で、私が魔王...いや、CEO。そう設定されているからね」


タカシは混乱する。「でも、僕には自由意志が...」


「あるのかい?」CEOは問いかける。「君がここに来たのは、物語がそう決めていたからじゃないのかな。それとも、君自身がそう決めたのかい?」


その瞬間、オフィスが溶け出す。タカシは再び、白い空間の中にいた。


「違う!」彼は叫ぶ。「僕は自分の意志で行動している!」


すると、空間に亀裂が走る。そこから、色とりどりの光が漏れ出す。

タカシは亀裂に手を伸ばす。触れた瞬間、彼は無数の可能性の中に投げ込まれた。


彼は勇者として魔王と戦い、

彼は魔王として世界を支配し、

彼は王として国を治め、

彼は農夫として畑を耕し、

彼は宇宙飛行士として銀河を旅し、

彼は作家として物語を紡ぐ。


無限の人生、無限の可能性。すべてが彼の中に流れ込む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ