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89.粘液は落ちない流れない

「凶夜さん、このままでは引き下がれません、次こそは…」

 

「もう行かないからな」

 

 何が悲しくて自分から粘液まみれになりに行かなきゃならんのだ

 これはリベンジですよ!と張り切るクラリの言葉を遮り、強い意志で拒否を示す

 

「まぁまぁ、ギルドとしては、魔物の討伐をしてくれた方がありがたいんだけどねー」

 

 村に戻った俺とクラリはフォリンを交えてギルドのテーブルで駄弁だべっていた

 周囲がこちらをチラチラ伺っているのは、フォリンが業務放棄して俺達のテーブルにいるからなのか、それとも俺の名前が売れてきたからなのかは微妙なところだ

 

 このギルドはクエストの受注はもちろん、仲間の募集、軽食の提供、簡易な冒険グッズの取り扱いまでなんでもござれだ。広く浅いのでちゃんとした冒険の準備をしようと思ったら村の道具屋や武器屋に行ったほうがいいし、飯も定食屋に行ったほうが遥かに美味い、言うなればここはマンガ喫茶やカフェみたいなものだろう

 

「ほ、ほら!フォリンさんもこう言っている事ですし…」

 

 こいつは、あんな目にあったのにまったく懲りて無いらしい。ビックカエルの粘液は思ったよりも臭く、そして取れ辛かった。魚臭さが中々取れないイメージをして貰うと分かりやすいだろう。村に戻って速攻で宿の風呂に行ったが風呂に臭いが移ってクレームになり金を取られる羽目はめになってしまった

 

「お前な、風呂の掃除代金でカエルの討伐報酬とどっこいどっこいだったんだぞ?あれじゃいくら倒しても稼げねーし、下手すりゃマイナスだ」

 

 どぅむどぅむを倒して得た資金もこのままでは無くなるのも時間の問題だ、せめて金を払わなくても住める場所を用意しなければ…宿に居続ければそれだけ宿泊費がかかるし

 

「むー、じゃあなんか強いの倒して稼げばいいじゃないですか。凶夜さんだったら余裕ですよね?」

 

「余裕…ねぇ」

 

 確かにちょっと前までの俺であれば、もしかしたら恐怖心とかだけなんとかすれば、それも可能だったかもしれない

 

「それは無理だな」

 

「そういえば、カエルの時も逃げ回って最終的に棒でカエルを突き殺してましたけど、魔法はどうしたんですか?」

 

「ちょっとした事情で使えなくなったんだ、いやホント、どうしたらいいかもわからなくて途方にくれているところだ」

 

「えぇ…寝たら回復したりしないんですか?魔力だったらそれでいけるはずなんですが…」

 

 何それ初耳。確かにRPGとかそうだったなぁ…最近ゲームと現実の区別がつかなくなってきて怖い。これがゲーム脳ってやつか…だけど寝てもコインは回復しないんだよなぁいやまじでどうにかしてほしい

 

 スロットが無い俺なんてそこいらの一般冒険者と同じだからな。いやレベルが上がり辛い分もっと弱いかもしれん

 

「そういう病気あるみたいよ?役に立たなくなる系の」

 

「別に役に立たなくはねーわ!てか、それだけ言うと不能みたいだからやめろ!」

 

 くすくすとフォリンが小ばかにしたように笑う、こいつ絶対分かって言っていやがるな糞ビッチが

 

「にしても困りましたね、うちのチームは私の魔眼と凶夜さんの魔法が主力ですし」

 

 こいつさらっと自分を前に出してきやがったな…まぁでもあながち間違いでもないか?魔眼は今やかなり強力なスキルではあるわけだし

 

「ねぇ、なんか誰か聞けそうな知り合いとかいないの?」

 

「むしろお前ギルドマスターだろ、こっちが聞きたい…あっ」

 

「どうしました?」

 

「心当たりあるかもしれん」

 

 そういや、俺もよくわからないこの力を俺より知っていそうな奴がいたじゃねーか、なんで今まで忘れてたんだ

 

「クラリ、酒場にいくぞ」

 

「え?この時間じゃやってないんじゃ…」

 

「いいからこい」

 

 待ってろよ…マディ・スカーレット

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