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88/106

88.綺麗な湖?

「ぐうぅ…うう…、うぇぇぇん」

 

「…もう泣くなよ。ほらお前の言う通りあのカエル雑魚だったし…無事でよかったじゃねーか、な?」

 

 目の前には地面にうつ伏せになり、両腕で涙を拭う、もはやカエルの粘液と涙の区別もつかないような状態のクラリの姿があった

 

「う、うぇぇ…ありがとうございますぅ…ぐす」

 

 あのカエルが本当に雑魚で助かった

 一時は俺の冒険もこれまでか…短い異世界人生だった、とか思ったりもしたが、人間にんげん死に物狂いになればなんとかなるもんだな

 俺は咄嗟とっさに落ちていた鋭い木の棒を片手にカエルを全力で突いた、これがハマったのかカエルは物凄い音を立てて爆発した、なんていうかパァァァァンッって感じで

 

 (あれはトラウマものだな、ミールがいなくてよかった)

 

 その調子で2匹とも破裂させた事で、クラリを助ける事が出来た訳だが

 

「この惨状は見るに堪えないな…」

 

 破裂したカエルの内容物でさっきまで美しかった水辺はちょっとした地獄絵図になっていた

 

「ぐす…ゆ、ゆるせません…たかがカエル如きが私をた…食べるなんて…」

 

 ようやく泣き止んで、体育座りをしていたクラリがぶつぶつと独り言を言っている

 

「な、なぁ 今日はもう帰ろうぜ?依頼は1匹だったから、もう達成した訳だし…というか一刻も早くこの場から離れたいんだが」


 なんかそわそわする、ここら辺を管理してる人とかに見つかったら掃除しろとか言われそうだし…管理してる人がいるのかは知らないが

 

「いえ…この私を粘液まみれにするような不届きもの許す訳にはいきません! この由緒正しい魔眼族の末裔である私がこんな事で引き下がるなんて一族に顔向け出来ませんよ!」

 

 大丈夫、お前は酒場で出会ってからずっと一族へ顔向け出来るような状態じゃないからな…ていうかその設定まだ生きてたのか…

 

 そう言うとクラリは俺の静止を振り切って、遠くに見えるカエルへ全力で走っていく

 

「おっ、おい!クラリ!」

 

 結構な距離があったはずなんだが、割とすんなりとカエルの目の前に立ち、何やらポーズを構えるクラリ

 あれは大丈夫なのだろうか?離れて見ていても結構な体格差があってカエルが雑魚だと分かっていても心配になってくる

 

 少しして、カエルと見つめあったままだったクラリがポーズを変えた

 詠唱が終わったのか?ついに魔眼が発動する時が…

 

「あっ」

 

 刹那、ひょいぱく という音と共にクラリが消えた

 

 …口をもごもごと動かすカエル

 

「あんのっ、馬鹿野郎がぁぁぁぁぁぁ」

 

 ………俺はクラリをもごもごしている本日で3匹目になるビックカエルを全力で爆発させ、粘液まみれで動かなくなったクラリを背負い…たくはないので、引きずって本日の討伐依頼を完遂させた

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