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87.いざクエストへ!行きたくねぇっ!

「という訳だ」


「はぁ、どうでもいいけど、結局何を受注するのよ?」


凶夜達(と言っても今回はクラリと2人だが)はギルドの受付に居た

宿屋でクラリが延々と駄々を捏ねるので仕方なく、一回やれば大人しくなるだろうと連れてきたのだ


「一番簡単なので頼む」


「…と、言われてもねぇ…うーん」


「凶夜さん!何をヘタレてるんですかっ、もっとこう…そうっ!世界を闇に陥れようとしている感じの敵がいいんじゃないですかね!?」


「お前、完全に魔王のそれじゃねーか!絶対行かないからな…いいかよく聞けよ。今回はお前がどぉぉーーーしてもっつーから仕方なく行ってやるんだからな、散歩レベルのクエストにしておけ」


「じゃこれで」


おもむろにクラリが壁に貼ってあるクエスト用紙を剥がす


「はいはい、邪眼龍の討伐ね。こいつは相手の存在を消してしまうという伝説がある龍で…」


「おい、ちょっと待て」


「じゃ、受領しま…」


「そぉいっ」


フォリンが今まさに受領しようとしたクエスト用紙を勢いよく奪い取る


「あぁっ!何するんですか!」


「何するんですか!じゃねーよ!こっちのセリフだボケェ!!」


そのまま勢いに任せて用紙を破り捨てる


「お前、毎度毎度いい加減にしろよ!?対応するこっちの身にもなってみやがれ!しかもなにこれ邪眼龍?散歩レベルで龍ってお前頭湧いてんのかぁ!」


某狩ゲーでも最後の方に出てくるような名前の魔物選びやがって。ていうかなんで伝説がある龍の依頼がギルドの掲示板にしれっと貼ってあるんだよ!


…いや、まさかそんな物騒な名前の魔物が村の近くに居たりはしないよな?うん、この話は忘れよう…


「ちょっとー」


「あ?」


「依頼用紙代、100ゴルドね?」


「は?」


思わず間の抜けた返事を返してしまった

そんなこちらの様子を無視して、すかさずフォリンがにっこりと、手のひらを差し出す


「依頼紙が無料タダだとでも?」


有無を言わせぬ迫力がそこにはあった


「はい……」


「クラリ」


「わ、わかりましたよぅ…じゃあカエルで、カエルでいいですよもう」


カエル…そういや魔眼の練習相手に使ったとか言っていたな…

いくらアホの子のクラリと言えど、流石にそれなら大丈夫だろう


「うん、それなら まぁ」


だが、俺はこのとき忘れていたのだ

以前にクラリが「怪光線を撃ったりするんですよ」と言っていた事を。









「ああぁぁぁ、助けてくれ! おい見てないではやくっ」

 

「しょーがないじゃないですか! 魔眼は相手の目を見て発動するものなんですから、ていうか凶夜さん自分でなんとかできるでしょ、何涙目で逃げ回ってるんですか」

 

 さっきから全力で逃げている俺を見て、クラリがため息交じりに呟く

 

「お前がどうしてもクエストが受けたいつーからビックカエルのクエスト受けてやったんだろーが、任せてください雑魚です!とか言ってただろーが! 後でぜってー泣かせてやるからな」

 

「なっ、そんな言い方酷くないですか!? …あ、あー、集中出来ないなぁ、これはまだ時間がかかりそうですねぇ」

 

「てめぇっ!」

 

 村の外の広大な草原から少し歩いたところにある水辺、そこは美しい草花が生息し、見上げれば青い空が広がる、平和な日本であれば休日に観光客で溢れるであろう素敵な場所だ

 …そう、ここが日本だったらだ…だがここは異世界、そんな素敵スポットにも、およそ5メートルはあろうかという巨大なカエルが餌を求めてぴょんぴょんと跳ねている

 

 …そして俺はそのカエルから全速力で逃げ回っていた

 

 一方クラリは少し離れた所から俺を追いかけるカエルをひたすら見つめている

 魔眼は相手の目を見なければ発動出来ないのは分かるが…これ、俺が囮になってたらクラリとカエルの目が合うわけがないよなぁ、魔眼…発動出来ないんじゃないか?

 

 いつまで経っても発動しない魔眼とは裏腹に、カエルは確実に俺を追い詰めていく

 

「すまん、俺が悪かったから早く助けてくれぇっ、さっき気が付いたんだけどコインがないんだよ! 今俺はスロットが使えないんだよぉ!」

 

 そう、コインが無いのだ、凄く重要だから2回言わせて貰う

 

 今回もクエストを受けてカエルを見たとき「うわぁ、なんだこれ俺の知ってるカエルじゃない…こわい」と恐怖を感じたものの、「まぁスロットがあればなんとかなるだろ」って思ってました、正直なめてましたすんません

 

 スロットのレバー倒しても何も起こらなかった時の恐怖はホントもうヤバかった、まさに蛇に睨まれたカエル…いや、カエルは向こうなんだが

 

「はぁ、しょうがないですね、いいでしょう! 見せてあげましょう、私の本気ってやつをっ…へぶっ」

 

「へぶ?」

 

 カエルから逃げながらクラリの方を横目で見る、…さっきまで俺の事を馬鹿にしていたクラリの姿はそこには無かった

 

 何が起こったのか分からなかったが

 その疑問は一瞬で解決した、よく見なくてもそこには俺を追いかけているカエルとまったく同じ個体が居たからだ……そりゃそうか、カエルだもんな1匹いたら他にもいても可笑しくない、討伐依頼数が1匹だったもんだから油断していた

 

 そう、そして…クラリが姿を消して、そこにカエルがいるということはつまり…

 

 分かっていながらも、恐る恐るカエルの口元へ視線を向ける

 

 うわぁ…もごもごと口を動かしとる…

 

「だぁぁぁ、お前が食われてどーすんだぁぁぁ! こんな魔物で全滅とか洒落にならねーぞぉぉっ」

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