83.奇跡の生還!自由は我が手に!
しっかり…
しっかりし…て
「しっかりしてってば!」
「だぁぁぁっ、はっここは…?」
気が付くと、そこは見慣れたギルドの一室だった
「あれ?どーして、確か、俺は地下牢で…ってフォリン?」
レッドと鉢合わせた事、ミールとクラリと出会い難を逃れたが衛兵に襲い掛かられた事を思い出す
「どういうことだ?」
「あー、まぁ言いたいことは色々あるでしょーけども」
そういうと、フォリンは真剣な面持ちで
「掻い摘んで言うと、何者かがアプリコットを奪取したのよ。それで貴方のお仲間さん達の証言であのレッドって検察官が今回の首謀者って事になったわ…アプリコットも尋問の最中に魔王について何か言っていたらしいし、恐らくあの2人は指名手配になるわね」
「証言…そうか、ということは…」
確かに、あの場にはミールもクラリも居た
「そ、あなたは晴れて無罪放免って訳」
「う」
凶夜は天井を見つめ
「う?」
「うぉぉおぉおおお、ほんっとうによかったああああ! 死ぬかと思った、今回ばかりは、もしくは脱走して身分を隠して放浪しなくちゃいけないかと…俺は自由だぁぁぁ!」
半泣きになりながら声高に叫ぶ
「いや、私も悪かったのよ。レッドってのに脅されていて、ギルドマスターとしてあなたを雇ったのに、こんな事になって…本当にごめんなさい」
フォリンがしおらしいなんて、珍しい だが今の俺には余裕がある、あの絶望的な状況から抜け出した事を思えば
「まぁ、気にするな、済んだ事だしな。今の俺は心が広いからなんでも許せそうだ…」
そういえば…気になることを言っていたな、証言だっけか? クラリとミールはどこに行ったんだ?見た感じここには居ないみたいだが、ギルドの広間にいるのか?…というか俺はいつからここに…
「なぁ、俺はいつからここにいるんだ?」
「ざっと2日間ってところね、衛兵に捕まった時に頭を強く打ったらしくて」
「そうか、それが原因で…」
「いや、それは特に、そのあとに「叩けば治るんだよ!」とか「凶夜さん、しっかりしてください!」とか、貴方のお仲間が頭を叩いたり、あとここまで運んでくるのに引きずってきたのが原因らし…」
「がぁぁぁぁぁぁ!あいつ等はホント毎回毎回碌な事しねーな!どこいきやがった!ぶっころしてやる!」