78.呪いにゃ
「と言う訳でこの世界に手前の居場所はありません、時空の彼方に吹っ飛ばすわ」
「いやいやいや、それは可笑しいにゃ」
「あぁ、とても愉快だろう」
にっこりと穏やかな笑みを浮かべる死神
「そんな今日1番の笑顔で言われても困るにゃ、そーいう意味じゃないにゃ!!」
「はい、質問は受付ませーん」
「違うにゃ抗議にゃ!」
ちらりと、こちらを見るとため息をつき
再度本へと視線を移す
「いや、そもそもここは俺の作った世界であって手前が探してる神殺しなんていないんだって、だからここにいてもしゃーないの、理解した? あんだーすたん? 」
「にゃにゃんだってー! じゃぁ、フリッグはこんなところに私を飛ばしたのにゃ」
「手前の話を聞くに、詠唱ミスったんだろうなぁ…たぶん呪いもその影響だろ、アイツはロクデナシだが目的を達成するために呪ったりする奴じゃねーよ」
と死神は呟く
この言い方を聞くに意外に信頼があるのかもしれな…
「そんな仕事熱心じゃねーしな、たぶん神殺しも正直どうでも良さそうだし」
「…ドくずにゃ」
でもなかった
「さて、これから俺が手前を飛ばす世界は、正真正銘 神殺しが存在する世界だ、あと転生した奴が何人かいる。お前は転移だったか、まぁ似たようなモンだがな」
転生…自分だけがこんな数奇な運命を辿っている訳じゃない
なんとなく分かってはいたが、改めて言われると複雑な気持ちだった
「ああ、大丈夫大丈夫 そいつらは全部俺が送った奴らだから、まぁ手前と絡んでくる奴はいねーよ、転生者ってのは大体くそ強いスキルを持たせてるからな お互いに不干渉になるようにルール決めをしてあるんだよ…あぁ、1人だけは別か」
死神は出会ってから今まで見せたことのない真剣な表情で
「1人だけな、スキルの中でも強いとかいうそういうレベルじゃないスキルを選んだ奴がいたんだが、代わりに俺とスキルの記憶を消させて貰ったんだよ、そのスキルを選ぶならそーするぞ?ってな それでも、本人がいーって言うもんだから………なんか変な奴だったなぁ…まぁ、そういう訳だからそいつに関しては俺の管轄外になる」
「それって色々大丈夫にゃんか?」
「あぁ、スキルの使い方も何もかも覚えて無いだろうからな、要するに ここに来た手前より酷い状態で知らない世界に飛ばされたってところだ」
「それは地獄にゃ…」
自分はまだ転生の記憶を持っていたから自我が保てたようなものだ、もし気が付いたら洞窟に居て、生き返りを繰り返したかと思うとても正気ではいられないだろう
「じゃぁ、そろそろ飛ばすぞ、最後に1つ覚えておけ」
マディの体を淡い光が包み込み、空中へ浮かぶ
「お前の呪いは、世界の強制力ってやつにも影響される、要は正しい歴史を正しく導けなければ、死んだときと同じように繰り返してしまうって事だ、よく覚えておけ」
「え、それってどうゆう…にゃぁぁぁぁぁ」
マディがそう言いかけた時
ばひゅーんと、空間から勢いよく弾き飛ばされた音だけが洞窟に響いた
「なんか目的を持って転生する奴が多いな、昔はそーでもなかったんだが…チートスキル持たせたアイツも「やらなければならないことがある」とか言ってたな…まぁ記憶を無くしてりゃ世話ねーわ」
さっきの獣人、大丈夫かなぁ…ま いいか めんどくせぇ