77.まぜこぜにゃ
「だぁぁぁぁ!うっせぇええええ!」
短髪で目つきが非常に悪いその女は
ドゴンッ
と、その手に持った分厚い本でマディを容赦なく叩く
「ふにゃぁっ」
「ったく、なんなんだよお前さんは?人の世界にいきなり現れやがって」
「意味わからんにゃ…何もいきなり叩かにゃくても…」
「ああん?」
「ひぇっ」
どうやら悪いのは目つきだけでは無いらしい
(一体にゃんにゃんだにゃ…)
銀色の短髪で、目つきが悪く、格好は闇に溶け込む様なローブ?を纏っている
(まぁ、格好だけを見るにゃら一般的な魔法使いにゃんだけど…)
以前にも似た様な格好をした人間は見たことがある。魔法と呼ばれる古代文字を使い、不思議な現象を起こす事が出来る事から’魔法使い’と呼称されていた。確か…人間にしか魔法は使えなかったはずだ
(でもにゃぁ…光ってるんだよにゃ、こんな特徴は見たことも聞いたこともにゃいし…)
単純に自分の知識不足で知らないだけかもしれないが
「あ~ん?テメェ、何をジロジロ見て嫌がるんだ? 溶かすぞ、コラァ!」
「にゃっ!?せ、せっかく、ここまで来たのに それは勘弁してくれにゃぁ!」
「あ?そういや手前…あぁ成る程な、家主は誰だい?」
「や、家主??」
「~~ああもう、察しが悪くていけねぇなぁ」
女は頭をくしゃくしゃとかくと
「だから、お前をここに寄越した神は誰かって聞いてるんだよ、溶かすぞクソカスが」
「…へ?」
思わぬ出来事に膠着する
(なんでこいつが神様を知ってるにゃ?? 私はそんな事…一言も言ってにゃい…あっ、もしかして)
「漸く分かったか?」
「か、神様…にゃ?」
「そーだよ、でもなぁそんな事はどうでもいいんだ。 家主を教えろ、そろそろ我慢の限界だ」
その手には、開かれた本と、その丁度真ん中に薄暗く光る黒い球体が…
「にゃぁぁぁぁ、何するつもりにゃっ」
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「…まさか神様に出会い頭に殺されるとは思わなかったにゃ」
あの後、目覚めると目の前に同じ様に神様が居た
ただ違ったのが、マディが死ぬまでの事を覚えている点
なんでも、神様や転生した者はマディが死んでも一部の記憶を引き継げるという事だった、そして自分のこれまでの事を話、今に至る
「いやぁ、悪りぃ悪りぃ でも生きてるんだしいいじゃん」
「ぜんっぜんよくにゃいにゃ! 一体何の神様なのにゃ、そんな神様聞いた事にゃいのにゃ!」
「死神」
「…」
「なんだよ、その「あー」みたいな表情、どろっどろにするぞ?すぐするぞ?今するぞ?」
「や、やめるにゃ! わかったわかったにゃ」
「まぁいい、ともかくだ さっきの話を聞く限り お前をここにぶっ飛ばしたのはフリッグだな、ちなみに愛と結婚と豊穣の女神だ」
「嘘にゃ」
キッパリと、そして自身に満ちて言い切るマディ
「残念ながら、ズサンでワガママで、食っちゃ寝してても女神なんだ」
「現実は残酷にゃ」
というか、死神さんは知り合いなのだろうか
「まぁ、それは置いておいて お前には色々してやらねばならん、この借りはフリッグに返してもらうから、心配するな」
「いっその事、殺ってしまっても構わにゃいにゃ」
「お前…結構酷い奴だな、死神の素質があるかもしれん、と」
そう言うと、死神は本を広げる
魔法陣が空中に広がりマディを包み込み
「なんかこれデジャブにゃんだけど…」
「まぁ、待て 今からお前にいくつか伝える事がある」
死神は本をパラパラと捲り
「まず、お前の能力についてだが、神速じゃ無いな」
「え?」
「と言うか、能力と言うか…呪いの類だ」
本をつらつらと読み上げる
「いや、いやいやいや ちょっと待つにゃ」
「なんだ?質問は受け付けないぞ」
そのまま何事も無かったかの様に続ける
「しかもかなり強力なものだな、私はお前を一目見た時に分かったが、繰り返しって呪いだ、目的を達成しない限り永遠にお前は死ぬ事は出来ない、と同時に達成すると即死する」
「あの野郎にゃんて事をしてくれたにゃ!」
マディがそんな絶望的な事実を知った、その頃
「くちゅんっ、あーまた誰かが私の美しさを噂してるわねl、モテるって罪!」
件の神様はごろ寝しながらポテチを食べていた。