75.推測にゃ
「これで…きっといけるにゃ!自分を信じるんにゃ。やればできるはずにゃ…頑張れ私!」
自分が出した推測を信じ込むように自分自身に言い聞かせる
準備は整った
大蛇を倒し、その口を確認する
人 1人が入れるくらいの大きな口を
(きっといけるはずにゃ…いけるはずにゃんだけど…うぐぅ…この蛇臭いにゃぁ)
マディの推測は酷く単純明快なものだ
靄に取り込まれた自分は死んでしまった。だが、この洞窟の生物はどうなる?
この洞窟がもし奴の寝ぐらなら’他の生き物がいるわけがない’そう考えたのだ
そして大蛇なら、自分が中に入っても十分な大きさがある。ならば…
’自身が大蛇の中に入れば、靄から守られるのでは無いか?'
我ながらとんでもない発想だが、可能性が無いよりはマシである
(ぬめぬめのどろどろにゃ…)
大蛇の口には体液がしたたり、その濃密さを物語っている、ここに入れば粘液まみれになる事は必死だ
しかし、靄がマディの元へ届くのは時間の問題だ
「ええいっ、もーどうにでもなれにゃあああ」
ずむり、と右足から大蛇の中へと入っていく、ずみゅみゅと嫌な音を立てながら尚も体を沈めていく、大蛇に自分から喰われるなんて、世界中探してもこんな物好きはそうはいないだろう
(ふにゃぁぁぁ、気持ち悪いにゃぁ…)
しかし、こんな所で立ち止まっている訳にはいかない
數十分かけて、丁度 頭まで潜り込んだ時
スアァァァ
と、一陣の風が吹いた
(きたにゃ!)
意を決して大蛇の中へ潜り込み、両手で中から口を閉じる
(靄が散るのはそんなにかからないはずにゃ、奴が洞窟から飛び立つまでのほんの数分、我慢比べにゃ)
どれくらい経っただろうか、マディは大蛇の口の中からひょっこりと頭を出して周りを見渡す
実際には数分かもしれないが、マディには永遠に感じられた時間がやっと終わったのだ
「っっいやっったぁにゃあああ!! もうこれ不意打ちとかにゃいよね? 助かったのにゃあぁあああ!」
自身の推測が当たった喜びと、死の連鎖から逃れられた喜びから歓喜の声をあげる
(さっさと水辺まで行って、こんな所からおさらばするにゃん)
全身は粘液でベトベトだがそんな事は気にしてはいられない、いられない…が、もし余裕があれば水浴びでもしようかなと考え、その場を後にした
(はぁ、お日様が恋しいにゃ…)




