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55/106

55.アイツら、どんどん増えるよな

 くそっ…あいつ等

 

 気がつくと凶夜は見慣れた場所へと連れて来られていた

 

 アプリに軟禁され、事件に巻き込まれた場所…まったくいい思い出のない…そう、地下牢である

 

 そして、前回の様にベットの上に寝かされている

 起き上がって初めの感想は、掃き溜めの様な地面に寝かされていなくて良かったなぁ

 これ、もしかしてタイムリープしてる? だった

 

 それにしても、法廷で屈強な男達に引きずられて行く途中から記憶が無い

 気絶させられたにしては、どこも痛く無いから不思議でしょうがない

 

 殴られて気を失った訳じゃ無いって事か?

 法廷では何も口にしていないから薬系でも無い…と思うし

 

 思いつくのは魔法かスキルくらいなもんだが…

 

 あぁ、でもスプレー的な薬って線もあるな 顔にプシュって

 …プシュってやって意識失うレベルの薬とか嫌だなぁ

 ま、考えてもしゃーないか

 

 周りを見渡すが特段変わった所は無い

 極々普通の牢獄だ

 

 遠くから、人の声が聞こえる気がするが、ここにはアプリも捕まっているはずだから

 そっちの尋問か何かだろう

 

 はぁ、まさか人生で2度も牢屋に入る事になるとはなぁ

 

 しかも、嵌_められてだよ?

 俺の思い描いていた異世界生活とは程遠い

 

 とととと

 

 凶夜が自らの不運を呪っていると足元に1匹のネズミが現れた

 

「なんだお前? 悪いな、生憎お前に挙げられそうな食べ物は持ってないんだよ」

 

 尚もネズミはこちらを見ながらチューチューと鳴いている

 他のネズミと縄張り争いでもしたのだろうか、右目は傷で閉じており、左耳も欠けているように見える

 その相貌は歴戦の戦士を思わせるかの様ではあった、が

 

 だからどーした、所詮はネズミだ

 

「何も無いんだって ほらさっさと行けよ」

 

 今は唯のネズミの相手をしている場合じゃない

 何せ、こっちは死刑を言い渡された囚人…

 どっかのバカ共のせいで、生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている最中なのだ

 

 凶夜はシッシと

 足でネズミを追い払う

 

「誰もお前みたいな顔面偏差値の低い奴に期待してねぇぜ」

 

 ガタッ

 

「だ、誰だ!?」

 

 突如聞こえた声に思わず立ち上がり、辺りを見回すが声の主は一向に見つけられ無い

 

「つーか、お前分かって無いのか? まさか…とか神妙な顔して言うつもりじゃねーだろうなぁ? シラケるから、顔も悪くて頭も悪いとかどんな罰ゲームだよ、ふはは、あーっはっはっは」

 

 声の主は以前こちらを馬鹿にした様に語りかけ続ける

 

 …分かっていない? んなわけないだろ?

 俺だってそこまで間抜けじゃない、結構な数のアニメやラノベを見ているんだ

 初めの受け答えで'何'が喋ったかなんてある程度想像はついてる

 

 ま、確証は無いけど

 

 なんせ、声が頭に直接響いているのだ、これで場所を特定しろって言うほうが難しい

 

 

 --------姿を見せずに語りかけていれば、だが

 

 

 予想が正しければ、そいつは非常にすばしっこいはずだ

 普通にやったら逃げられてしまう

 

 だから、ちょっと一芝居打った訳だ

 

「ほほぅ、馬鹿にしやがって…くそっ、一体どこにいるんだー、一体誰が何処から喋っているんだー(棒」

 

 凶夜は尚もキョロキョロと辺りを見回す

 

 ………恐らくは、声の主であろう目標に向かってジリジリと近づきながら

 

「あはははは、マジで気がついて無いでやんの、こいつぁグレートなマヌケっ……ギャッ」

 

 一瞬の油断を見逃さず、凶夜はそれの尻尾をそのまま勢いよく踏みつける

 

 まぁ、千切れても生えてくるだろ、たぶん

 

「ほーう? で、誰がマヌケだって?」

 

 足元の’それ’に目を向け、今度は凶夜が語り掛ける

 

「き、貴様ぁ! 騙したなっ ひ、卑怯めがぁぁああ」

 

「聞こえんなぁ? あれぇ、こんなところに都市指定の害獣がいるじゃ無いか プチッと潰しておくかなぁ?」

 

「ひぃっいぃぃぃぃぃ」

 

 凶夜の足元で必死にバタつく声の主は

 

「わわわ、わかった、と、と取引、取引をしようじゃないか?」

 

 1匹のネズミーーー

 

 の魔物だった。

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