52.無慈悲な判決
「…ということで私の方から話す事は特にありません。ですが、これだけは言わせてくださいっ 被告人は性格は最悪ですが…決して悪人ではありません!」
くうぅ っと自らの顔を手で覆うフォリン
「おいっ、そうじゃねーだろ!?ちゃんと俺がギルドの為に働いたって事をだなっ!」
ライムはフォリンの発言を聞き、凶夜へと向き直ると
「被告人は性格が最悪なのですね?」
「それいる?ねぇ?今それ必要?」
「ほらっ、そういう所が!」
フォリンがちゃちゃを入れる
「うるせーっ!そもそもお前が真実を話せば済む話だろーが!ほら!今回の事件の真実を!聞かせてやれよ、ほらぁ!早く!俺を助けて!」
「うっ、それは…」
(なんで、頑なに拒むんだ?話せない理由でもあるのか…?)
確かに依頼は極秘ぽかったが、今は俺の命の方が大事だろうがぁ!
(人でなしめ、死刑になったら化けて出てやんぞコラァ)
「フォリンさん…見損ないました、流石にそこまでする人だとは思いませんでしたよ!このままだと凶夜さんが死刑になってしまいます、そう凶夜さんがっ」
クラリが、立ち上がりフォリンを糾弾する
(コイツ…っ、俺だけに罪を着せて殺そうとしてやがるな…死刑になったら絶対道ずれにしてやるからお前も覚えてろよ)
「うっさいわね!こっちにも事情ってもんがあるのよ!」
「開き直ったんだよ!?」
「大人は汚いですね!」
…もうなんなのこの子達
クラリはさっきまで俺に罪を着せようとしてたくせによく言えるな。まぁ、とりあえずフォリンが役に立たない事はわかったが
「さぁ、もうよいでしょう」
レッドが両手を広げ、傍聴人へと語りかけるように続ける
「彼は性格が最悪で、魔王を誕生させる為に不正に村の塔を占拠し、性格が最悪な事が原因で、幼少期を蟻を潰して過ごし、いつしか人間も同じようなものだと思うようになって今回の凶行に至ったのです」
(おい、性格の下りおかしいだろ)
俺がとんでもないサイコパスに仕立て上げられている
「ふっ…論破っ!」
突如、クラリが声を上げる
おぉ…、何処をどう論破出来るかわからないが言ってやれ!俺は無実だっ!
「今の供述には重大な矛盾があります…」
「弁護人は手を上げて発言するように…とはいえ、重大な発言です、続けてください」
ライムもまったく検討がつかないのか、クラリの発言に興味があるようだ
いうなれば、俺達に与えられたチャンス…
これを掴み取れば、大逆転もあるかもしれない。クラリ言ってやれ!いけぇ!ごーごー!
「…?」
おい…まさか?
「?…皆さん、何を待ってるんですか?裁判続けてもらっていいですよ?…あ!これ言ってみたかっただけなんで、なんか今だ!このタイミングだ!って思ってぇええええ痛い痛い痛いぃぃぃ」
「この馬鹿がぁあああああ」
俺は、全力でクラリにアイアンクローをかます
「クラリ、何考えてるんだよ!」
「…こほん、レッドさん続けてください」
ライムが呆れながら咳払いをし、レッドへと発言を促す
「あーっはっはっは…いやぁ失敬。…更に、彼は駐屯していた団員達へも魔法による攻撃を加え、それはもう酷い惨状だったそうです、いやはや人間とは思えない所業ですねぇ。もはや被告人自身が魔物なのでは?という声も上がっております」
俺に押さえつけれていたクラリがビクッと震える
「…クラリ?」
「凶夜さん、絶対に助けてみせますから…」
そう言うと俺からスッと目を逸らす
「なぁ、前半は誤解だとしてもだ…後半は確実にお前のせいだよな?な?」
「いや…なんのことですか?」
こいつ…自分だけ助かろうとしていやがるな…
「モーイイデショ? チャバンニハアキアキデース ヒコークニンハ シケーイデショー?」
今まで、見物していたシ・ハイニンがツルリとした頭をペシリと叩き、立ち上がる
「そうですねぇ、裁判長?」
「貴様等、神聖な裁判を…うむ」
「被告人 響 凶夜、貴様の度重なる非人道的な行為…被告人の訴えは妥当。」
傍聴席からは
やっぱりな ひそひそ
俺は初めからわかってたぜ… やだやだ
あの目、性犯罪者の目よ、こわいこわい
等と勝手な発言が飛び交う
「静粛に、被告人は有罪ーーー」
ごくり
凶夜達は喉を鳴らし、なんとなく先が分かる判決を待つ
「ーーー死刑とする」
「出来レースだあぁぁぁぁぁ!なんなんだこの超適当な裁判は、証拠!証拠持って来いよおぉぉぉぉーーー!!!!」




