5.この決着に祝福を
「グオォォォォォ!!」
ドラゴンの吐く地獄の業火ともしれない炎が、凶夜の全身を包み込むべく迫る。 紅の恐怖を前に、当の凶夜本人は(あ、これ死んだわ)と、ある意味悟りを開いていた。
「こんなん避けられるかぁー!」
「キョーヤ!」
炎は轟々と唸りを上げ、凶夜ごと辺り一面は火の海と化す。 周辺の草原は焼け野原となり、その威力が伺える。 あんなものに飲み込まれては、普通の人間であれば数秒と持たず消し炭となるだろう。 辺りに漂う熱風が、到底人間の敵う相手では無い事を物語っていた。
「あ、ああ……」
余りにも無残な凶夜の末路を目の当たりにしたミールは、声を上げることも出来ず、その場に崩れ落ちる。
僕を守るためにキョーヤが死んじゃった。 まだ出会ったばかりで……殆ど他人のはずの僕のために。僕を置いて逃げ出す事だって……いざとなったらルークを奪って自分だけ助かることだって出来たはずなのに……。 命を投げ出してまで人を助けるなんて。
「キョーヤ……」
「ぶもおおおぉぉ」
今まで凶夜に不遜な態度をとっていたルークも、悲痛な叫びを上げる。
「グアァァァ」
ドラゴンは満足したのか、一鳴きすると翼をゆっくりと動かし始めた。恐らく飛び立とうとしているのだろう。
そうだ、凶夜に助けてもらった命。 なんとしても生き残らないといけない。 一刻も早くこの場を離れ、村に報告しないと……。
ミールは震える足に鞭を打ち、地面に潜るようにルークに指示を出そうとした。その時。
ズザァ
盛大に土埃が舞い、馬車がミールの前に横付けされた。
ドラゴンにばかり気を取られていて、まったく気が付かなかった。いつの間にここまで接近されたのだろうか。 突如として現れた正体不明の馬車にミールが身構えたその時、馬車の中から煌びやかな鎧と盾、そしてそれと反するかのような質素な剣持つ短髪長身の男性が飛び降りてきた。
「あぶねぇっ、急に止めるんじゃねぇ! 止めるにしても、もっと優しく止めろよ……って、なんだありゃ」
「ふん、この私が馬車の運転をしてるんだから、感謝して欲しいくらいよ……それにしても醜いトカゲね。クライス、オクス、私が魔法で強化してあげるから、ちゃっちゃと蹴散らして来なさい」
その彼に対して、馬車を率いる獣に跨っている女性が答える。 やけに薄いローブであちこち肌が露出している長髪。一見して踊り子にも見えるが、その手にする禍々しい杖を見るに、恐らく魔術師の類だろう。
「ふぉっふぉ、ファラリオのねーちゃんや、あまり老体を働かせるもんじゃないぞい。それにあれはドラゴンじゃぞ? よもや知らん訳はなかろうて。あんな化け物に向かっていったら体がいくつあっても足らんわ」
そしてドワーフだろうか、やけに背の低い他の2人とは一転して小汚い男が、これまた自分の身長の倍くらいの木槌を担いで飛び降りてきた。
「ふん……冗談よ」
「冗談には聞こえなかったがのぅ」
オクスと呼ばれた老人が、白い立派な髭をやれやれといった感じでさすった。
「あれがドラゴンか……すっげぇ迫力だな……って、嬢ちゃん? 大丈夫か?」
クライスと呼ばれた男がミールに気がつき、安否の言葉をかける。
「あ、あなた達は誰……なんだよ?」
突如現れた集団に呆気に取られ、思わずドラゴンから目を逸らしてしまった。
「俺達か? 俺達はえーっと、国に雇われている傭兵? みたいなもんかな」
「そうじゃのぅ、それが一番しっくりくるのぅ。ちょーっちエルフの国に用があって大陸をこいつで横断していたところじゃ」
ドワーフが伸びきった白い髭を撫でながら、馬車へ目線を動かす。目線の先にはライガーが繋がれている。
「これって……」
ライガー。魔獣だ。 魔物の上位の存在である彼らはある程度人間の言葉を理解するという。その中のさらに上位種ともなれば人語を介すものもいるとか……。
主に馬車は馬が主流だが、中には魔獣を使うものもある。ライガーはその中でもかなり珍しい部類だ。貴族や王族といった位が高い者が好んで使うと聞いている。 この人達はきっとそれなりの地位を持った人達なのだろう。ましてやエルフは他種族に対して排他的と聞く、その国に入れるなんて……。
「グァァァァァァァ!!」
「えっ……?」
ドラゴンの突然の叫び声に思考が中断される。 ミール、馬車の一行がドラゴンへ目を向けると、小さくてよくは分からないが、何かキラキラしたモノがドラゴンの首の辺りに刺さっているのが見えた。
「何だ……あれは魔法か?」
クライスが呟くが――
「いや、魔法じゃ無いわね……アレからは魔力をまったく感じないもの。でもドラゴンにダメージを与えるなんてとんでもない威力である事は確かよ。私もドラゴンと戦ったことは無いけど、英雄級の魔法でもダメージが与えられるかどうかって話を聞くくらいだし……まぁ私だったらやれなくもないでしょうけど」
ふん、と鼻を鳴らしファラリオは目を凝らす様にドラゴンを、正確にはドラゴンの首に刺さっているモノを見つめる。
そして次の瞬間。 凶夜が居た辺り一面にも、ドラゴンの首に刺さっているものと同様の透明な破片がキラキラと舞い、そして消えていった。
「キョーヤ!?」
間違いない、アレはきっとキョーヤだ。そうに決まっている。一筋の願いを込め視線を送る。
「まさか……」
予想外の、しかし嬉しい出来事にミールの胸は喜びに高鳴る。
一方、ドラゴンの炎から無事に生還した凶夜はというと――
「やべぇええええぇぇ! ちょっとスロットマシンが邪魔だったから退けようとして振り払っただけなのにぃぃ! まさかあんなすげぇ勢いでドラゴンに飛んでいくなんてっ! 当たった? 当ったよね? グルルルとか言ってるし……すんません! すんません! ドラゴンさん! 怒らないで! 30円あげるからぁあぁぁああああ!」
ミールの心配を他所に、めちゃくちゃ早口で全力で後悔を叫んでいた。
――さかのぼること数分前。
ドラゴンが炎を吐く直前。 スロットを使う時間は無かったため、凶夜は1つの賭けに出た。
「スロットスロットスロットスロットスロットスロットスロット……」
ピコンッ ピピコンッ
(これでダメなら、もうダメだなぁ……うぅ、どうして俺がこんな目に……)
「スロットスロット……」
ピコン ピコン
人生でかつてこんなにスロットという言葉を口にしたことがあっただろうか。 もう一生分言ってしまうのではないかと不安になる。まぁ、言ったからなんだというところではあるのだが。
凶夜は一心不乱にスロットマシンを召喚し続けていた。 スロットマシンはそこそこの大きさと質量があるため、人を一人隠すくらいの面積は直に確保出来た。 問題は耐久性、これは何とも言えなかった。 以前、使った時は直後に粉々に砕けてしまったが、ならば逆に使いさえしなければ砕けないのでは? と考えたのだ。
まぁ、そもそもこの方法に頼るしか術が無かったのだが。これが見事にうまくいき、凶夜はギリギリのところで生き残る事に成功した。 炎を受けて分かったことだが、召喚したスロットマシンは非常に頑丈で、熱にも強かった。しかも、軽いので非力な凶夜にも軽々と持ち上げる事が出来た。
ただ不運だったのは、炎を防いだ後にすぐさま邪魔なスロットマシンを放り投げたら思いの外遠くまで飛んでしまったことと、その先に炎を吐いて満足し、今にも飛び立とうとしていたドラゴンがいた事だった。 もう少し付け足すならば、そのスロットマシンが思ったよりもドラゴンにダメージを与えた事も。
あんな軽いものが何でダメージなんて与えられるんだ?? と疑問に思ったりもしたが、もしかしたらスロットマシンが軽く感じられるのは俺だけなのかもしれない。
その後、放り投げなかった残りのスロットマシンは、少ししてから粉々に砕けた。 どうやら使わなくても一定時間、何もしなければ勝手に砕けるみたいだな。
(……もっと早く言ってくれよ)
――そして現在。
「グアアアアァァ!!」
ドラゴンは体を振り乱し、首に刺さったスロットマシンを振り払おうとする。
凶夜が生きていた事で興奮していたミールも、その光景を見て冷静になった。 反撃なんてせずに、あのままドラゴンを行かせるべきだったんじゃないか、と。
ドラゴンの大きさを考えると凶夜の使っている魔法(?)はあまりにも小さすぎる。 いくらダメージを与えられるといっても所詮小さい傷を与える程度にしかならず、致命傷には至らない。そんな事をしても、余計にドラゴンを怒らせるだけだ。
ミールは色々と考えていた。だが、そもそも全てが事故なのだから仕方がないのだ。別に凶夜だって好きで攻撃したわけではない。 もっとも、それをミールに知る由はないが。
「キョーヤ! もういいよ! 早く逃げよう!」
ミールは必死に凶夜へ言葉を放つが、
「うおおおぉぉぉ、これ絶対死ぬやつだって! セーブ! セーブしないと! クリスタル、タイプライター、冒険の書は一体何処に!?」
命の危機に、いっぱいいっぱいの凶夜にはミールの言葉は届かない。
「キョーヤァーーーー!」
凶夜より先にミールの声に反応したドラゴンが、標的を変える。 そのドラゴンの様子の変化に、凶夜も気がついた。
「セーブッ、セーブポイントは!? って……ミール! あいつまだ逃げて無かったのか!? てか、横の奴等誰だよ! あっ、なんかすっごい強そう! 俺を助けてぇ! って……」
「ガァァァッ」
ドラゴンが雄たけびを上げ、ミール達へと目がけて飛翔する。
「くそっ、ドラゴンが……向こうにはミールが……っ、こうなったらしょうがねぇ、腹をくくるしかないのか!? あーもうっ、ちくしょう……ちくしょうが!」
今の俺の出来ること何て限られている。……一か八か、スロットに賭けるしかない!
「おいっ、あのドラゴン、こっちへ来るぞ!?」
「へっ……冗談じゃないわ、私は無茶はしない主義なのよ! 時間を稼いであげるから、みんな早く馬車へっ」
ファラリオと呼ばれた女性が杖を地面に立て、魔法陣を描く。
「ああもうっ、もうすぐ目的地だってのに! 【我が呼び声に求め訴えたり! 土塊よ、生命を与えてあげる、力の限り戦いなさいっ!】」
地面から人型の土人形が10数体、ミール達を庇うように出現する。
「さぁ、全力で行くぜ! 光と闇の混血、今こそお前の出番だ! その力を俺に見せてみろ!」
クライスが剣を抜き、吼える。質素だった剣はその声に呼応するように光を放ち、煌びやかな大剣へと変貌していく。
「ふぉっふぉ、お前さん等、無茶はするでないぞ。ほら、お嬢ちゃんや、早く馬車に乗るんじゃ!」
オクスは素早く馬車へ向かい、出発の準備に入るとミールへと声をかけた。
「ガァァァ!!」
ドラゴンは驚くべき速度で飛行し、ミール達の前に降り立ち雄たけびを上げた。 その雄たけび一つで、ファラリオのゴーレム達は崩れ落ち、いとも簡単に土塊と化してしまった。
「う、嘘でしょ!? この私の魔法よ!?」
ファラリオが悲鳴を上げる。どうやら大分自信がある魔法だったのだろう。
「こっちだぁぁぁ、うぉぉぉらぁぁぁあ!」
すかさず、クライスが大剣をドラゴンの足へと振り下ろすが、鈍い音がしただけで、ドラゴンの鱗を砕くことすら出来なかった。
「うげぇ、マジかよ!? 硬すぎるだろ!」
「ガァァァァッ!!」
ドラゴンはクライスを尻尾で薙ぎ払う。その衝撃で地面が抉れ、地響きが走る。
「こ、こら、どこに行くんじゃ! ああ!」
ドラゴンに威圧されたのか、地響きで驚いたのか、ライガーが率いる馬車は制御を失い、オクスを乗せたまま何処かへと走り去ってしまった。
「ちょ、ちょっとちょっとちょっと! これは本当に不味いわよっ、実力が違い過ぎるっ……」
「ああ、万事きゅーすだな……」
最早、この状況から助かるイメージが沸かない。ミールは依然として自分へ向かってくるドラゴンを見て死を悟った。
「っ、逃げるんだよっ」
このままじゃルークまで犠牲になってしまうと思い、咄嗟にせめてルークだけでも、とミールはルークを力の限り突き飛ばす。 だが、所詮は13歳の女の子。ルークはそれを物ともせず、ミールを守るようにドラゴンの前へと割って入った。
「ルーク! やめるんだよぉ!」
ミールが叫んだ、その時。
「スロォォォォットォォォッ!」
ほぼ同時に、凶夜の声が草原に響く。
ピコンッ
凶夜の前にスロットマシンが召喚され、慣れた手付きでボタンを押しレバーを倒す。 その動作に既に一切の迷いはない。迷っている暇はない。
スロット発動自体にドラゴンを惹きつける何かがあったのか。 はたまた野生の感で'本当の脅威'に気がついたのか、それは定かでは無いが。 事実、ドラゴンは標的を凶夜へ変えた。
「ガァァァッ!!」
大気を吸い込み、炎を吐く準備に入る。
「バ、バカッ、どこの誰だか知らないけど、貴方だけでも早く逃げなさいっ! 1人でどうにかなる相手じゃないわ!」
ファラリオが叫ぶ。
タンッ
「また炎かぁ!? こちとら覚悟を決めてるんだ! そんな馬鹿のひとつ覚えにやられてたまるかよぉ!!」
しかし、その叫びもアドレナリン全開の凶夜の耳には届かない。
タンッ
ドラゴンブレスよりも先に、凶夜は3つ目のリールのボタンを押し終わる。
タンッ!
絵柄は十字架が3つ並び、スロットマシンのランプが激しく点滅する。
「さぁ、頼むぜ、信じてるからなっ!」
もう信じるしかない。神様なんぞがいるかは知らないが、今この状況を覆せるとすれば、それはこの未知の力しかない。
<フィーバー!
機械的な音声を発したマシンは以前と違い砕けず、
<ドラゴンを目標とし適正な魔法を選択しています…
(魔法を……選択?)
<ビッグボーナス! スーパーラッキー! ボーナスの範囲内に殲滅可能な魔法を発見しました!
(ボーナスの範囲内……殲滅可能な魔法……魔法はランダムに発動する訳じゃないのか?)
まぁ、そんな事は今いい! この場を乗り切れれば、なんでも構わない!
<ホーリーレインを発動します
凶夜が意味深な発言をするマシンを不思議に思ったのも束の間、空が輝き、巨大な光の矢がドラゴンに突き刺さる。
「うぉぉぉ、なんだあれ!? すげぇ、ファラリオ!」
興奮気味にクライスが問いかける。
「な、なにあれ!? めちゃくちゃな魔力波動じゃない!? ……そんなっ、嘘でしょ! ホーリーレインだっていうの!?」
当のファラリオは唖然とただその光景を見ていた。
「グオァアァァアッ……」
絶叫。この世のものとは思えないドラゴンの断末魔が草原を包み込んだ。
<ボーナス継続! 連続モード突入!
尚もマシンは音声を続ける。
「よくわからんがいけそうだ! ていうか全然コインが減らねぇ!? って、ARTか!?」
――アシストリプレイタイム。 リプレイ確率が大幅にアップしている状態。所謂当たりでは無いが、連続してコインが出る状態の事を言う。スロット初心者の凶夜もパンフレットで見覚えがあった仕組みだ。まぁ前回は当たらずに終わった訳だが。
マシンのボタンが輝き、凶夜はそれを追うように押していく。 その度に、空からドラゴンへ光の矢が落ち続ける。
「ガァァ……」
凶夜が丁度10回目のボタンを押した時、スロットは砕け、ドラゴンは息絶えた。
「はぁ……なんとかなったみたいだな」
ドラゴンはその場に崩れ落ち、今や動く気配はない。
「凄いんだよ……」
ミールはその光景に思わず言葉が漏らす。
(アイツ一体なんなの? ドラゴンを単独で倒すなんて……そんな事……あり得るの? しかも尋常じゃない魔力波動……あれは確かにホーリーレインだったわよね!?)
ファラリオはこう見えても高名な魔法使いの弟子だ。そんな彼女の師匠は英雄級の魔法を使いこなす国家魔法使いであり、嘗て国を襲ったドラゴンと戦った実績を持っている。だが、その師匠ですらも数百の兵士を犠牲にして、ドラゴンを追い払うのが精一杯だったと聞いた。ホーリーレインに関しては文献でしか見た事が無いが、過去に失われた魔法だったはずだ……。
(魔法の威力が大きければ大きいほど、魔法使いや魔術師が感知出来る魔力波動も大きくなる……ということは本当にアレは……いやいや、まさかね)
ファラリオはかぶりをふると、とりあえず考えるのを止めた。考えた所で何か分かるわけでもないし。とりあえず助かった事は間違いないのだからそれでいい。何より自分にはやらねばならない使命もある。
……まぁ、凶夜からしてみれば、ひたすらスロットのボタンを押してるだけだったのだが。
「なぁ、あんた凄いな!」
「ん?」
クライスが、凶夜へと声をかける。
「そういえば、あんた等はなんなんだ?」
勇者一行。凶夜がクライス達に抱いたイメージだ。煌びやかな優男とエロい格好の女魔法使い、この組み合わせでファンタジーと言えば、名うての冒険者か、勇者一行しかないだろう。 だが返答は凶夜の予想とは大分違って泥臭いものだった。
「俺達は傭兵さ、王国の任務遂行中なんだ。本当はあと馬車とドワーフもいるんだが、彼らは、さっきのドラゴンとの戦いに当てられて行方不明だな。ということで長居は出来ないんだが、お礼だけでも、と思ってな」
(お礼? まぁ、俺自身も危なかったから彼らのためにやった訳でもないしなぁ)
「いや……いいよ、俺も危なかったからさ、お互い様だ。ミールを守ってくれてありがとうよ」
(ミールとはさっき出会ったばかりとはいえ、子供が死ぬなんて目覚めが悪すぎるからな)
「ああ、あまり役には立てなかったがな」
クライスが、あははと笑う。なんかコイツはいいやつっぽいな、爽やかすぎて若干ムカつくが。
「ちょ、ちょっと、貴方、さっきの魔法モドキはなんなのよ!」
クライスと凶夜の間に割り込む様にファラリオが口を挟む。
(妙にエロい恰好のねーちゃんだな……うん、ありがとうございます!)
凶夜は目の前に手を合わせて拝むポーズをとる。 うん。何に、感謝しているのかは察してくれ。
「で、さっきの魔法か。俺にもよく分からないんだよなぁ……あれだ、パルプン○的なやつなんだな多分」
某国民的RPGの魔法名を出してみる。
(魔法モドキって言ってたか? でもスロットは魔法って言ってたしなぁ)
「いや、あれは魔法じゃな……え? ぱるぷ? 何それ? 聞いた事も無いわ……」
「ふむ」
そりゃそうか、いや……? 前にやったゲームで似た様な魔法名があった様な? ホーリーレイン……聖なる雨か、でもまぁよくある名称っちゃそうだし……。
凶夜の思考を他所にファラリオは一巡すると、これ以上考えても無駄と悟ったのか、溜息をついて、凶夜を見た。
「今は貴方も分からないっていうなら、仕方がないわね。私達も急いでいるし……今回は諦めるわ」
「ただし! 今度会ったら色々と教えてもらうわよ!」
そう言うと、馬車が走り去って行った方へ歩き始める。
「おい、待てよっ、わりぃな、また縁が合ったら飯でもご馳走させてくれ」
さっさと行ってしまうファラリオを追いかけてクライスが駆けていく。騒がしい奴等だったなー。
「キョーヤ……」
「おう」
出会った当初と打って変わって、こちらに気を使っている様な態度で話しかけてくるミール。
(あー、これはあれか、自分と同じくらいのレベルだと思って冒険してたら、自分より遥か実力者で恥ずかしいやら、恐縮してるやらって感じか。俺もネットゲームとかであったから分かるわ)
遠くから俺を見ていたミールには、俺が何やら空から光の矢が降ってくるような大魔法を唱えた様に見えているのだろうから、俺の事を物凄い魔法使いだと思っても仕方がない。
(異世界転移のチート野郎だから、その発想はあながち間違いではないんだけどな)
「ま、なんだ、俺はこの土地についてはドが付くほどの素人なんだ、だから頼りにしてるぜ、ミールよ」
少しお道化て、ミールへ改めて協力を申し込む。子供ってのは頼りにされてると思うと自信を持つもんだからな、たぶん。
「う、うん! まかせるんだよ!」
ミールは少し、はにかむ様に頷いた。
「頼むぜ」
どうやら凶夜の目論見通り、多少は効果があった様だ。先ほどの緊張はとれて、にこやかな笑顔を見せるミール。
(そうだよ、キョーヤはキョーヤなんだよ)
しかし、ドラゴンを倒すという離れ業をやってのけた光景を目の当たりにしたミールは、絶対にキョーヤを敵に回すのは止めようと心の中で硬く誓うのだった。
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