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42/106

42.その名はクラリオット・ノワール

瓦礫が落ちきり、その場は凶夜達と自警団に扮した教団と思しき一味が塔の入り口付近で対峙する形になった


「はわわ、なんですかなんですかぁああ、めちゃめちゃ一杯いますよ。明らかにさっきより増えてる気がします!」


情けない声を上げて取り乱すクラリだが、手にはしっかりとレイピアを握っているあたり自分を見失っては居ないのだろう


にしても’はわわ’とか言うやつ初めて見たわ

どうしてこんなになるまで放って置いたんだ親よ…


「クラリ、露骨なキャラ作りは身を滅ぼすんだよ。唯でさえ濃いのに、それ以上詰め込んだら爆発するんだよ」


「ええぇ…急にどうしたんですかミールさん…」


「反省するんだよっ!」


自分の事を棚に上げ、クラリに文句を言う、露骨なキャラ作りってお前

俺から言わせて貰えばお前も大概だぞミール


それよりもだ


「お前等、随分と余裕だな…んなこと言ってる場合じゃないぞ。まずはこの状況を打開しねぇと」


「キョーヤ。スロットとか言うのがあるんでしょ」


「あぁ、でもアプリには効かないんだよなぁ…」


そういや、ミールとクラリに合流してなんとなく空気が緩んでいたが、全然なんも解決していないな、うん

そもそも、こいつらがアプリに勝てるとは思えん


そうなるとアプリが居ない今のうちに逃げるのが最善なんじゃねーか?


「一体全体、どーするんだよ?」


「凶夜さーん! 敵がだんだん距離を詰めてきてますよぅ はやくーっ」


クラリの悲鳴の様な叫び声が上がる、そろそろ限界の様だ

こうしている間にも教団の連中はじりじりと凶夜達へ詰め寄って来ている


しょうがない、ここは一時撤退するしかないか、幸い教団の連中にはスロットが効くはずだし

いくら数がいるからといっても、逃げ道を作るくらいわけはない


「よし」


凶夜がこれからの方針をざっくりと決め、行動へ移そうとした その時



「何がぁ?'よし'なんですのぉ?」



不意に背後から、声が聞こえる


つい先程まで俺と戦っていた、最低最悪の奴の声が。


ゾクリと悪寒を感じ咄嗟に声の方向へ振り返り、それと同時に二人に指示を出す


「ミールっ、クラリっ そいつから離れろっ!」


「あぁ…そんなぁ。私はこんなに愛しているのにぃ酷いですわぁ。キョウヤ様ぁ…はぁ」


「ひっ、キョーヤこの人…アプリコット?キャラ変わってるんだよ!」


「綺麗な人が狂ったら怖いんですね…キョーヤさん何したんですか…」


「うっせー何にもしてねぇよ!つーか、もっと他に感想あるだろお前等!」


アプリは、特に何もせず、ただ立っているだけだ

こちらに攻撃を加えてくる気配も無い、一体何を考えているのかわからないが


しかし、今なら


凶夜はこのチャンスを逃すまいと、反射的にアプリと距離を詰めるべく駆け出す

意外にもすんなりとアプリの懐に入る事に成功し、そのまま 変身時に生成した鉄パイプをアプリ目掛けて振りかざした


しかし、アプリはそれを見ても、微動だにせず むしろ何処か余裕を持って微笑んでいる様に見えた


なんだ…俺の動きについてこれていないのか?

多少の違和感を感じながらも、凶夜はそのまま鉄パイプを全力で振り下ろす







「なっ」


鉄パイプはアプリに直撃する手前でその動きを止める


「ふふ…あはは、あははははぁ キョウヤ様ぁ?学習しないんですのぉ?でも殿方ってそういう所ありますわよねぇ?可愛いですわぁ…ねぇ」


!? 言い知れぬ不安を感じ、直ぐにバックステップで距離をとる


今の感触、弾かれた? いや物理的に止まったって感じだった、アプリは何もしていない様に見える



まさか…



「変身もダメなのか…!?」


いや、ちょっと考えれば分かる事だ。この変身もスロットから発せられる魔法なのだ



しかし、これは不味い

変身での攻撃も通用しないって事は実質、俺には手が無いって事になる


依然として、俺達の背後には教団と思しき信者達が構えている、だがアプリがいるからだろうか距離を詰めてきたもののの、一向に攻めてくる気配は無い


「凶夜さんっ!」


凶夜の攻撃が効かない事を察し、下がったタイミングに合わせて、クラリが前に飛び出す


「さぁ、喰らうがいいです…我が漆黒の力をっ」


そう言いながら、手を右目へと添える


「? あなた…あぁ、キョウヤ様に纏わりつくゴミですのね 視界に入らなかったのでわかりませんでしたわぁ」


「おい、クラリ下がれ! そいつはお前が思っているよりヤバイんだっ!」


「無茶なんだよっ!」


「凶夜さん、ミールさん 心配しないでください、これでも私 レベル15なんですよ?」


二人へニコリと笑い、クラリはいつもの様に詠唱を始める


「我顕現せり、闇夜を見通す魔眼よ、我望むは我覇道に立ち塞がりし、愚者の真実を…・」


(私だって、みんなの役に立てる筈です、相手の強さ…いや弱点くらい見つけてやりますっ)


「あらぁ、魔眼ですのぉ…あはは、つまらないつまらないつまらなぁぁあああい そんなゴミみたいな魔法で私とヤりあうなんてぇオコガマシイぃぃぃぃ」


アプリは指先をクラリへと向け


「死んじゃっていいですわぁ、愛の信徒にも あなたみたいなのは不要ですからぁ」




指先から光を放つ




「クラリッーーーー」


「!? 見極めっ、ああぁっ」




その光はクラリの心臓を貫き、空中で弾ける


瞬間、ドサリとクラリが地面に倒れ

地面を大量の血液が染めていく


「あーっはっはっは まずぅ一匹ぃ」


その場にはアプリの笑い声だけが甲高く響いた


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