4.火吹きドラゴンと力の使い方
よろしくお願い致します。(/・ω・)/ほいー
「どぅわぁぁぁぁあああ!!」
凶夜は追われていた。
「ギャアアアオオオオオ!!」
「ぎゃああああああああ!!」
奴が叫ぶ度、大地は悲鳴を上げ、凶夜の足を鈍らせる。 これならまだ、ヤクザなお兄さん達に追いかけられていた頃の方が幾分かマシだったなぁ、と。震える足にムチを打ちながら凶夜は思った。 何せ、あっちは鋭い爪で切りかかって来ることもないし、ましてや炎なんて吐かない……もちろん空を飛んで追いかけてきたりもしないからだ。
「ったく、どうしてこうなったぁぁぁぁぁーーーあっ、ちょまっ!」
――さかのぼること数十分前。
「きょきょ、キョーヤ!」
「と、とりあえず、お、おち、おち、落ち着け」
上空に突如として現れた影に俺達は慌てふためいた。それがいけなかった。 影の主は、俺達の声に”気が付いて”しまったのだ。 このまま通り過ぎてくれる事を願った俺達の願いは空しく、奴は急旋回して俺達の目の前に降りたった。
「最悪だ……終わった……」
凶夜は眼前に聳え立つ”ソレ”を見て呟く。
ドラゴンのイメージといえば、巨大なトカゲに羽を生やしただけ――。 アニメやゲームなら、「戦ってみたら意外に大したこと無いなぁ」とか思うものだが、実物を前にするとその威圧感は凄まじいモノだった。 長い年月を感じさせる苔のついた鱗、肉食獣を思わせる様な鋭い牙、獲物を狙うハイエナのような鋭い目。それらを全て兼ね備えた生き物が目の前にいるのだからたまったものではない。 これならまだ、ライオンの群の中に放り込まれる方が幾分かマシなんじゃないだろうかと本気で考えてしまう程だ。
「きょ、キョーヤ……」
ミールがふるふると震えながら凶夜の服の袖を掴んでくる。
「だ、大丈夫だだだ……」
自分でも何が大丈夫なのか、まったくもって分からなかったが、ともかくミールを安心させようと、酷く自信のない声で応える。 一体どうしたらいい? 凶夜は自問する。 俺だけならまだしも、ミールは助けてやりたい。いや、もちろん俺も助かりたいけど……。
「ぶもおぉ」
ルークが情けない鳴き声を上げる。
そうだ、と凶夜は思い出す。確かミールは地面に潜れると言っていた。 ならばこの状況からも脱出する事が出来るだろう……そもそもこの様な状況が想定されたからこそ、偵察役にミールが選ばれたはずだ。
「ミール、地面に潜って逃げる事は出来るか?」
「出来るけど、ルークは潜る時は1人しか潜らせられないんだよ……2人乗るともう1人は土の中で窒息しちゃうから……」
申し訳なさそうに答える。
……それどんなスネ夫? 脳裏に、「このルークは1人乗りなんだ」と言う声が再生される。 だが今はそんな場合では無いとかぶりを振り、とんがり口の生意気な少年を打ち消す。
(それだと俺は逃げられないな。くそっ……そんな都合よくいかないか)
「こうなったらミール、お前だけでも逃げ……ってあれ?」
凶夜が「ここは俺にまかせて逃げろ」とミールへ言おうとして後ろを振り返ると、さっきまでそこにいたはずのミールは忽然と姿を消していた。
「あるれぇー?」
思わず、きょろきょろと辺りを探してしまう。 少しして遠くから「がんばってー」と声が聞こえた。凶夜が声のした方を目を凝らして見ると、そこには豆粒くらいの大きさのルークと、それに跨がったミールが居る。 いつの間にそんなところに……と視界に違和感を感じ、足下を見ると地面には……ちょうど人大の穴が開いていた。
(あの野郎っ、自分だけ早々と逃げやがったな……)
いやいやいや……逃がすつもりではあったから、あれで良いと言えば良いんだが、なんかこう釈然としない。
改めて、凶夜とドラゴンは対峙する。 仲間に見捨てられた俺をみて、心無しかドラゴンがニヤリと笑った気がしたのは俺の気のせいだと思いたい。
――そうしてこうして、今に至る訳である。
「ガァァァァァ!!」
ドラゴンは大きく息を吸い込み凶夜を見る。その動作は誰がどう見ても……。
「これ絶対火吐くって! 火ぃひぃ! 絶対死んでしまうっ!」
どたどたと必死に走るが、こうしてる間もドラゴンは息を吸い込み続けている。 凶夜もただ逃げてる訳じゃない。唯一の攻撃手段であるスロットマシンをどうにかして出そうと必死に念じる。
……が、どうやっても出てこないのだ。さっきはあんなに簡単に出てきたのに、今はウンともスンとも言わない。
どうしたらいいんだぁぁぁーーー!! 何が出現条件なんだ!? 俺の命の危険か? なんか覚醒とかそう言う感じなのか? だったら、今まさに命の危機なんですけどぉ? 覚醒してもいいくらい追い込まれてるんですけどぉぉぉぉ!?
ドラゴンの呼吸が止まる。 これはもう一刻の猶予も無い。きっともうすぐ炎が来るだろう。 恐らく……生身の人間が受けたらこんがり肉の出来上がりだろう。「上手に焼けました!」とか冗談じゃない……下手をしたら骨も残らないかもしれない。
「くそぉぉぉ!、あの変なスロットマシンがあればなんとかなるかもしれないのにぃっ!!」
ピコンッ。
「へっ」
軽快な音と共に、凶夜の前に救いの神……もといスロットマシンが現れた。
「まさか、スロットって言葉がキーなのか!?」
ピコンッ。
凶夜がスロットと口にすると、もう1台のスロットマシンが現れる。
(言えば言うだけ出てくる……のか? 何それ、有難みがまったくねぇが……)
この事実に気が付くとほぼ同時にドラゴンの口から炎が漏れ、凶夜へ目掛けて炎を吐く体制に入る。
万事休す――。
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