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38.魔王候補って一体なんなんだよ!?

「だめだめだめぇぇぇぇですわぁぁぁ!まったく!ぜんぜん!だめだめですわ!」

 

 アプリの指先から連続で放たれた光は、真っ直ぐにスロットマシンへ吸い込まれ、爆音と共に消滅していく

 

「うおおぉぉ!?お前っ、スロットマシンがあんだから普通に魔法打っても無駄だって分かってるだろーが!?いくら効かないって分かってても、心臓にわりーんだよ!撃つのやめろ!今すぐに!」

 

「ふふふ…私ぃ、じわじわ殺るのが好きなんですのぉ」

 

 アプリは口元に人差し指を当てて『それと』と付け加える

 

「嫌がらせも大好きですのよぉ?」

 

 スロットマシンの(かげ)に隠れているせいでアプリの姿は見れないが、恐らく自身を抱いて身悶えているのだろう


(『はぁー、これこそ愛ですわぁ』とか聞こえるし)

 

「変態でサディストとか、かんっぺきに終わってんな」

 

 どうしようもないこの状況に毒づく凶夜

 

(それにしても、何でスロットの魔法が発動したりしなかったりバラツキがあるんだ?何か条件でもあるのか…?)

 

 

 

 ---違和感

 塔に連れてこられてからの戦いを思い返す

 アプリには何回試しても、一度も魔法が発動しなかった

 スロットマシン自体を投げて回避されるのはともかくとして…

 だが、襲いかかって来たアプリの部下の男にはすんなり発動したんだが…

 

 

 

 …アプリにだけ?

 

 

 

 そうだ、アプリの部下には発動したんだ

 今までだって、発動しなかった事なんて無かったじゃないか

 

 とすれば…試してみる価値はあるか

 

「スロット!」

 

「あらぁ、またですの、そろそろ無駄なのを分かってはどおかしらぁ、あぁ、もうすぐですわぁ、もうすぐキョウヤ様がワタクシの愛の信徒にぃぃぃぃぃ」

 

 ガリガリガリガリと頭を掻く

 

「勝手に言ってろっ、俺の考えが正しければ…」

 

 対象をアプリでは無く、自身に限定

 

 くるくる と回るバレルを見据え、ボタンを止めていく

 

 そして、最後のボタンを弾く様に叩くと

 

 …タンッ

 

「ははっ、やっぱりな!俺の予想は正しかったようだな?今までよくもやってくれやがって!レッツショータイムだぁ!変身!」

 

「は?」

 

 凶夜の姿が光に包まれ、何時ぞやの路地裏で見た、全身が琥珀色のライダースーツが現れる

 

 

「…気が付きましたか…」

 

 さっきまで、けらけらと笑っていたアプリの表情が一転し、スッと無表情になる

 

「考えて見れば可笑しな話だ、アプリ。お前にはスロットマシンの魔法が発動しない…正直 理屈は分からないが、それが事実だ。つーか、お前わざと戦いを長引かせてるだろ?お前が俺を本気でどうにかしようとしてたんなら、この事実に辿り着く前に俺はとっくにお前に殺されているはずだし」

 

 そう、炎属性の敵に炎の魔法は効かない、ゲームではよくある話だ

 スロットマシンから出る魔法に属性なんて無いと思い込んでいたからな…思いもよらなかったが、これくらいしか考えられない。こんな単純な事に気がつかないなんて我ながら情けない…

 

 スロットが使えない俺なんて、唯の一般人と同じだからな。それにアプリからしてみれば牢屋の時点で、どーとでも出来たはずだし

 

「いいですわぁああ、よぉぉぉぉくお気づきになられましたわぁああ!流石キョウヤ様ぁし、しぃびれますわぁぁぁぁ」

 

 髪を振り乱しながら絶叫する

 

「けれど私がキョウヤ様をどうにかできるなんて、買いかぶりすぎですわぁ、あぁ…たしかにぃ、気づかせてあげたのはわざと…わざとですわねぇ 言ったじゃないですかぁ? 私、嫌がらせも…大好きですのよぉ?」

 

 ぜぇぜぇ、と肩で息をしながら、ぐるりと首だけを動かし、凶夜へ振り向く

 

 焦点を凶夜へ合わせ眼を見開くと「それにぃ」と言葉を続ける

 

「理屈は分かっておりますのよぉ? 貴方、キョウヤ様はぁ…魔王 いぇ、その候補なんですわよねぇ?」

 

 

 …!?

 

 

「何故? というお顔をなさって…ひっじょーに分かり安いですわぁあああ、あぁ今日はなんてっ素晴らしい日ぃなんでしょぉおぉ」

 

「やはりやはりやはりぃぃぃ」と、アプリは頭を掻きながら地団駄を踏む

 

 なんで、こいつがその事を知っている? たしかにギルドで発行した証明書にはそんな物騒な事が書かれていたが

 あれは、誰にも…そうミールにもクラリにもギルド職員にだって見せていないはずだ

 

「なぜなぜなぜぇえ?? ええ…実は、私も候補なのですわぁ、最もーーー」

 

 興味は無いですけれども

 

 と、自分は魔王になるのでは無く、作る事に命を捧げていると

 

 アプリコット・ミレーヌはそう言い放った

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