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25/106

25.争いは何も生み出さない

「というわけだから。今夜は帰らねぇわ!」

 

「『というわけだから』じゃないですよ! 凶夜さんっ、本当に真面目にやる気あるんですかぁっ?」

 

 クラリは正義は我にありと言わんばかり胸を張り言い放つ

 

 自分の事を(たな)に上げてよく言うなコイツ…

 少なくとも、怪しい店でショッピングしてただけの奴には言われたくない

 

「あのな? 俺がただ遊び…童貞を捨てたいが為に!夜の酒場へ!お前らとは比べ物にならない美少女に!会いに行くと思ってんのかぁ!」

 

 だん!と勢いよく机を叩くが


「むしろ今の台詞に全てが集約されている気がするんだよ」

 

「ほんと、クズの極みですね。特に美少女の(くだり)には熱が入り過ぎていて若干引きます」

 

 2人の視線が痛い

 …普段からこんな感じな気もするけど

 

「…相手は教団の人間だ。かなり有益な情報が手に入ると俺は踏んでいる」

 

 それらをスルーして俺は続ける

 

「話を逸らされた気がしますが…わかりました、凶夜さんの言うことも一理あります。そこまで言うなら私達も同行しましょう!」

 

 そう言うクラリの横で、うんうんと頷くミール

 

「は?」

 

 思わず、心の声が漏れる

 こいつら分かってるのか?

 

 美少女と夜に酒場で2人きりなんて、俺の人生に一度だって無かった…いや今後もあるかどうかって出来事だぞ?

 

 そう、まさに夢だ。ドリームチャンスだ。エクストリームエロスだ。このチャンスを逃したら絶対後悔する。それをコイツ等なんて連れて行ったら…唯の情報収集で終わってしまうに決まっている!

 

 いや情報は必要なんだよ?必要なんだけどね…正直今はどうでもいいというか

 

「だめだ…!お前らを危険な教団の人間に合わせる訳にはいかない!」

 

 ドンッと机に拳を打ち付けて『くぅ…』と苦々しい顔をする凶夜

 

 数秒ーーー2人の反応が無いので、薄っすらと目を開けてクラリとミールの様子を伺う

 

 じとーーー

 

 そこにはこちらをジト目で伺う2人が居た

 

「キョーヤ」「凶夜さん」

 

「は、はい…」

 

 2人の圧力の前に思わず口ごもる

 

「そろそろ行きましょうか」

 

「なっ、だからお前らを連れて行く訳にはいかな…」

 

「キョーヤ」「凶夜さん」

 

「うっ、わーったよ…くそぅ」

 

 結局、2人に根負けして、同行して酒場に向かう事になってしまった

 

(くそ、まぁいい。まだチャンスは絶対あるはずだ)

 

「何か言いました?」

 

「い、いや…」

 

丁度(ちょうど)良いし、向こうでご飯も食べるんだよ」

 

「いや、ちょっと待てよ!そんな金は」

 

「キョーヤは相手の女の子にご飯代出させるつもりだったの?」

 

「なに言ってんだ、もち奢るに決まってるだろ? そんなところでケチな男だと思われたらその後がーーーはっ!」

 

 しまった、これは罠だ

 

「だよね じゃあ、ご馳走になるんだよ」

 

 と、いい笑顔で言い切るミール

 

 凶夜は肩を落とし、己の無力さを痛感する

 

 所詮俺なんてミールの掌で踊らされていたに過ぎないのかーーー

 

 こうして、3人で酒場へと向かう事になってしまった凶夜、果たして2人を巻いて美少女との甘いアバンチュールへ繰り出す事は出来るのだろうかーーー

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