表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/111

22.エクストリーム・ゴロツキ

だめだ……。    最近薄々感じてはいたんだ……。  こいつら、全く使えないのでは? って。


「そ、そ、そういう凶夜さんは……どうなんですか!? 人のことを棚に上げて!」


 生意気にも、何の情報も手に入れてこなかったクラリに言われるとは。余計にムカつくが。  まぁいい、聞いて驚くがいい! 俺の成果を!


「俺か?  俺は直接会ってきたぞ?」


「……へ?」


 意味を理解していないのか、クラリが素っ頓狂な声を上げる。  フフフ……これから俺が言う内容を聞いて、とくと驚くがいい!


「だからな? 俺は教団の奴とじかに話をしてきたって言ってるんだ!」


「「ええええぇぇぇーーーー!?」」


 予想通りのいい反応だ。これだからドヤ顔はやめられない。


 横から聞いていたミールが、心底驚いた顔、いや、信じられないものを見る目で尋ねてくる。


「キョ、キョーヤ?  偵察なんだよ?  ねぇ、偵察の意味って分かってる?  頭大丈夫?  ついに湧いちゃったの?」


 ん? これ、もしかして称賛じゃなくて馬鹿にされてるのか?


「そんなことたぁわーってるよ!  んなのこそこそ嗅ぎ回るよりも、直接聞いたほうが早いに決まってるじゃねーか! 現地現物、これ基本な!  それとお前が今、俺の頭が可笑しいって発言した事は忘れないからな! メモったからな!」


 ミールとクラリは「教団の人間と話す機会なんてないはず」「そもそも、教団の人間もそこらの冒険者なんて相手にしてくれないはず」とか、色々ぶつぶつ言っている。


 ……こいつ等、俺の話を聞いてねぇ……。


 まぁ、そもそも狙って行ったわけじゃなくて、偶然助けた相手が教団の奴だったってだけなんだが。  それは言わぬが花というものだ。


         ◆  


 ――――――話は数時間前に遡る。


 あーあー。調査って言ってはみたものの……何をどーすりゃいいんだ? はぁ……。


 クラリとミールに取り敢えず「教団について片っ端から調べてこい」と言って放流し、早3日。  大した情報も集まらず、こうして村をぶらぶらして、たまーに小銭を拾ったり、あの「惚れ薬」について詳しく聞こうと、アイテム屋のおっさんを手伝ったりする日々が続いている。


 これじゃニートと変わんねーなぁ……。  などと思いながら凶夜は、ふらりと路地裏に入った。


 ここは、いい具合にゴロツキ共がたむろしていて、酒瓶や、折れたナイフが転がっており、なんとも言えない「ザ・異世界の治安悪い地区」感があるため、先日から凶夜のお気に入りスポットになっていた。


(いやー、いるねぇ。ギルドの奴らも荒くれ者感があっていいけど、やっぱ異世界つったら路地裏だよなぁ。  幸い俺のステータスは、素早さと腕力だけは一端の戦士くらいはあるから、絡まれても余裕で倒せるし)


 ちなみに、凶夜は先日もいちゃもんつけて金を奪おうとしてきた奴を、逆にボコボコにして慰謝料を頂いた。正当防衛&臨時収入。先に手を出してきたのは向こうだからしょうがないよね?


(自分で言うのも何だが、俺の素早さはちょっとしたレベルだからな。  握力も平均よりあるし、遠心力を利用して相手を投げ飛ばす……なんて事もお手の物だ。  というか、それくらいしか出来ないが……。いやぁ、こないだ壁に投げたら『ゴスゥッ』っていい音したんだよなぁ。実に爽快だったな)


 誰か絡んで来ないかなぁー、と不謹慎極まりない事を考えながら、鼻歌交じりに路地裏を歩いていると――。


「やっ、やめてくださいっ!!」


「へへっ、こんな所を1人で歩いているなんて、襲ってくださいって事なんだろおぉ?」


「あ、あにきぃ、次は俺に回してくださいよぉ! 我慢できないっすよぉ!」


 お、テンプレイベント発生か?  凶夜が角を曲がると、そこにはいかにもなチンピラ二人組と、壁際に追い詰められた女性の姿があった。


「分かってるって、ちょっと黙ってろよ、オメーは。  え? あ? ……うわあああああああぁぁぁぁぁ!?」


 俺は迷わず、リーダー格とおぼしき「あにき」の背後に音もなく忍び寄り、その腕を掴んだ。  そして――


 ゴシャアアアアッ!!


「おー、昨日より爽快な音立ててるな。結構結構」


 凶夜はあにきと呼ばれる男の腕を掴むと、独楽コマのように遠心力いっぱいに回転を加えながら、壁へと豪快に放り投げたのだ。


「あ、あ、あ、ああああああ! テメぇぇぇぇ!  よくもあにきおぉぉぉぉ! 壁の染みみてぇな真っ赤なトマトにぃぃぃぃ!!」


「あー、ちょっと強く投げ過ぎたわ。めんごめんご」


 弟分なのか、手下というべきかよくわからないが、ほぼ上裸で腰蓑らしきものしかつけていない男が、懐からナイフを取り出す。


 女が襲われてたから取り敢えず助けに入ってはみたものの……なんだこいつ変態か?  つーか、その腰蓑のどこからナイフ出したんだよ……。四次元ポケットか?


 うへぇ。


「へへ、今更びびったって遅いぜぇ! その顔、ズタボロにしてやるからなぁ!」


 ナイフを持ったことで優位になったとでも思っているのか、このクズは。だとしたら救えないな。文明の利器に頼る野蛮人め。まぁ俺も防御力は紙だから当たったらそれなりにやばいんだが。


 凶夜はまるで道に落ちている生ゴミを見るかのように、男を一瞥する。


 うーん、あの女性が心配だな。  このクズは興奮して冷静さを失ってるから、人質を取るとか何するか分からんし……。  取り敢えず挑発して、女から引き離すか。


 めっちゃめんどいが……この状況自体は、これはこれで面白いのでよしとしよう!  子供のころ以来の久々のヒーローごっこだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ