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15.深淵を覗く時、相手もこちら側をなんちゃら

「ここが、ちょむちょむの生息するっていう洞窟か」

 

 ドラゴンの影響がまだ残っているのか、洞窟までの道中に他の魔物に遭遇する事も一切無く辿り着いた。かなり拍子抜けしたものの、そこは素直に喜ぶべきか

 

 なので、ここまでは特に何の問題も無い…はずだったのだが

 

「キョ、キョーヤ クラリがそこで倒れてるんだよ…大丈夫なのアレ?」

 

 そう、肝心のクラリの体力がまったく無かったのだ

 道中も、何回も何回も休ませてやったのに…さっきから洞窟の入り口で倒れて駄々をこねている

 

「いや、あと5分でいいんです。後生ですぅ…休ませてくださぃ」

 

 はぁ?「もやし」って言われている俺ですらこれくらいなら余裕なんだが?

 というか「もやし」って言ってるのは仲間と駄フォだけであって、俺は認めてないけど

 

「どうしようか?」

 

「とりあえず、こいつのために来てるんだし、待ってやろうぜ。活躍出来なかった時に疲労を言い訳にされてもかなわんし」

 

「ありがとうございますぅ。でもそんな言い訳しないですよ!さりげなくディスってますよね? 謝って!私に謝ってください!」

 

「うるせーこの偽魔眼が」

 

「なっ、偽じゃないですよ! 今、言ってはならない事を言いましたね!」

 

 はぁ…そもそも、体力が無いって事自体がかなりマイナス要素だろうに…

 

 

 数十分後

 

 

「ふぅ、何をグズグズしてるんですか?さぁお二人とも行きましょう!」

 

 すっかり回復したクラリがのたまうが

 

「おい、そんなんいいから!早くこっちを手伝えぇぇぇ!!」

 

「あ、キョーヤ!そっちいったんだよ!そっち!」

 

 俺の頭目掛けて、黄色い物体が飛んでくる

 サッと避けると、それは勢い余って洞窟付近の大岩に激突した

 

 突如、大岩が轟音と共に砕け散る

 

「うぉぉぉぉーーー!?あぶねぇぇぇ!」

 

 あんなのを喰らったら頭がパーンッてなってまう!

 

「ひえっ」

 

「『ひえっ』じゃねーよ!クラリ!早く仕事しろ!」

 

 

 

 そう、俺達はちょむちょむに襲われていた

 

 

 

 ーーー

 

 数分前

 

「とりあえず、蹴り技がやばいんだよな?俺は防具なんて付けてないから一発でアウトか」

 

「ううん、防具を付けていてもアウトだよ、まともに蹴りを受けたら即死だね」

 

「なぁ、今更だけどやっぱ止めないか?どう考えても一撃受けたら死ぬ相手とか洒落にならないんだけど…」

 

「まぁ、そこまで素早い分けでも無いし、大丈夫だと思うんだよ…多分」

 

 俺達は倒れているクラリを放置し、これから戦うちょむちょむの対策を練っていた

 

「なんか、今聞こえなかったか?」

 

「え?特に何も聞こえないんだよ」

 

「キョエェェェェェェーーーー」

 

「いや!今絶対、聞こえたろ!」

 

「うん、なんか鳴き声みたいなのが聞こえたんだよ!」

 

 これは、よろしくない展開だ…

 俺の不吉センサーが警報を鳴らしている、絶対に良くない事が起きる

 どうやら、声は洞窟から聞こえてきているようだ。段々と近づいて来ている気もする…

 

「ミール」

 

「うん、戦闘態勢なんだよ」

 

 クラリは相変わらず倒れているが、とりあえず放っておくことにした

 

 暫くすると、洞窟無いから『どどどどどどどっ』という足音と共に身長170センチ程の鳥人間が飛び出してきた、全身が鳥の毛に覆われており、頭はまんま鶏のそれだ。

 こうしてみるとやっぱり魔物ってちょっとグロいなと思ってしまう。名前は割りと可愛いのに

 

 ちょむちょむは、クラリに気がついたのか一瞥するとゴミを見るように視線を反らし

 こちらへ目を向ける

 

 死んでいると思ったのか、脅威だと思わなかったのか定かではないが、クラリを攻撃してくれればその隙に倒せたんじゃないかな?と、ちょっと思ってしまう

 

「キョーヤ、流石にそれはちょっと…」

 

「いやいやいや、流石に俺もそこまで外道じゃねーわ!」

 

 何を考えてるか読まれたっていうのか?ミール恐ろしい子!

 

 そうこうしているうちに、ちょむちょむは奇声を発しながらミールへと突撃してきた

 そして、ジャンプする体制になり、土を踏み込むが

 

「きょえぇぇぇえ、っと、っとああぁぁぁーーーぶばぁぁああ」

 

 土が予想以上に軟らかかったのか、踏み込み過ぎたのか、ジャンプする体制のまま盛大にずっこけた

 

「…なんだこいつ、てかいま明らかに喋ってなかったか?」

 

「うん…それに僕が見たことがある固体よりも一回り大きいし、というかちょむちょむってもっと可愛かった気がする…」

 

 数秒して、ちょむちょむらしき魔物は

 恥ずかしかったのか、さっと立ち上がり、体についた土をささっと払った

 こちらを見て二人と目が合うちょむちょむ

 

 そして一言

 

「何じっと見てんだゴラァ! 見せモンじゃねーぞ!!つーか人が困ってたら助けるもんだろ!?そんなのもわからねーのか!このゴミくず共がぁ!」

 

 と、口汚く罵ってきた

 

 何言ってんだコイツという気持ちもあるがそれよりも

 

 え?喋れるんですか

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