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お菓子作り~あるいは、勝負のバレンタイン~

作者: 八谷響

 ――あの人、お菓子は好きじゃないんだよなぁ。

 板チョコを湯煎で溶かしながら、私は悩んでいる。バレンタインデーだからいちおうチョコは渡すつもりだけど、彼は甘い物が得意ではないのだ。なんだかんだ言いつつ、食べてはくれるんだけどね。

 どうせなら好物を、とも思うんだけど、いつも何を作っても淡々と食べる人だから張り合いがない。完食はしてくれるんだけどね。根は優しい人だから。

 何だか悔しい。こんなに好きな人なのに、彼の一番喜ぶものすら作ってあげられない。

 悩みながらも手を動かしていたら、チョコレートケーキができあがっていた。あとは冷やしてから、ラッピングするだけ。

 手を洗ってリビングに戻ったら、彼からメッセージが届いていた。

『14日、空いてる。この店予約した』

 素っ気ない文章と一緒に、お店へのリンクがついていた。開いてみて、絶句する。滅茶苦茶おしゃれなダイニングバーだった。

「……悔しいなぁ」

 呟きとは裏腹に、頬が緩むのを抑えられない。

 びっくりさせるのも喜ばせてくれるのも、いつも彼のほうが上手なのだ。


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