私の分岐点
「やあ、待たせたかい?」
「ううん。私もさっききたところだよ」
日曜の昼下がり。
カフェで1人、アイスカフェ・オ・レを飲んでいると、スラリと背の高いモデル風の女性が声をかけてきた。
うん。
私の親友、みっちゃん。
店内に入ってきた時から圧倒的なオーラを放ち、それまで喧騒に包まれていた店内は静寂へと変貌していた。
白いTシャツにブラウンのハイウェストのロングスカート姿で、一見すると私ですらモデルさん? と勘違いしてしまいそうなみっちゃんは、トールサイズのレモネードをトレイに載せて私の正面に座った。
「みっちゃん、最近それにハマってるね」
ストローを口に含み、上品にすするとニッコリと微笑みながらトレイに置いた。
「ああ。甘さと酸っぱさが絶妙でね。暑さで衰えがちな活力を取り戻せるのさ」
そう言いながら、証拠を見せつけるようにもう一度ストローを咥えた。
「ふふふ。わかるような気がする。それって今年の夏一推しの商品なんでしょ? 私も今度はそれにしようかな」
「……そうだね。友人と一緒に来るといいよ」
「……えっ?」
なぜゆうくんと一緒に?
「ん? 憑き物が取れたような表情をしてるから綺麗な身になってきたのかと思って。違った?」
思えば、みっちゃんはこうくんとの偽りの関係には否定的だった。そんな回りくどいことをする必要はないって。
「憑き物って。まあ、みっちゃんの言いたいことはわかったけどね。……その、ご指摘の通り、こうくんと別れました。みっちゃんにはいろいろ心配かけちゃってごめんね」
「まあ、陽菜乃がおかしな行動をするのはいまにはじまったことじゃない。それよりも今後のことだ。別れたってことは友人を諦めることが出来なかったってことだろう?」
「……うん。やっぱり無理だった。だからね、まずは全部話そうと思う。話して謝ってから考えるよ」
ストローでミルクをかき混ぜながら色が変わるグラスの中を眺める。
ひょっとしたら、いまの関係が壊れてしまうかもしれない。嫌われて、顔すら合わせてくれなくなることだって考えられる。
でも、それは本来ならばもっと前に訪れていたこと。逃げて先延ばしにしてきたのは他ならぬ私だ。
「陽菜乃のしたいようにすれば良いよ。私から言えることは一つだけ。友人は優しい子だから、陽菜乃の気持ちもちゃんと考えてくれる。だからこそ、誤解がないようにしっかりと伝えないといけないよ?」
ゆうくんが優しいことなんて、みっちゃんに言われなくてもわかってる。それをあえて言うということは、なにが誤解を生む可能性があるということだろう。
「うん。私の気持ちも全部ひっくるめて話すよ」
すでに覚悟はできている。
ここが私の分岐点だ。
「憑き物とは、うまく別れられたのかい?」
「みっちゃん、言い方。まあ、拗れるような間柄じゃないからね」
「そうだね。でも、その決断、もう少し早い方がよかったかもしれないよ」
「どうして?」
「今日は真理亜とデートのはずさ」
「えっ?」




