はじまり
第2話 はじまり
はじまりは多分小学生。
父が私に『 ちょっかい 』をかけてきた頃。
昔でいうA以上B未満。
でも父が大好きで、とてつもない幸福感からソレを許していた。
一緒のベッドで寝て手を繋ぎ、抱きつきながら眠る幸福感。
幸せな日々だった。
♢
それは中学生に上がるまで続いた。
なんにも違和感を感じてはいなかったが、母の冷たい目を今でも忘れられない。
だがそんな幸福も長くは続かなかった。
まだ父と一緒に風呂に入っていた中学1年生の頃。
父『大人になるとココにしこりができるんだよ』
無知な私は触るのを許してしまった。
普通は触らない。なんだかモヤモヤする。
何かがおかしいと思い始めた頃に
母『 初潮もきてるし、もう中学生なんだからお父さんとお風呂は恥ずかしいものよ』
違和感を感じていた私は、すんなりその言葉を受け入れ、父との入浴を拒否するようになった。
入浴を拒否したことで、父は狼狽えていたが私は裸を見られることにとても嫌悪感を抱き始めた。
その頃から、家族共用の部屋を出て自室で寝るようになった。
そして1人になると思い出すのだ。
あの幸福だったはずの日々を。
ソレの意味を理解してしまったために、一気に奈落の底に突き落とされた感覚が押し寄せ、父への嫌悪感でいっぱいになった。
『 気持ち悪い 』
ただそれだけ。
幸福が不幸へ変換された始まりの日。




