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Silent Chain  作者: 砂上楼閣
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第33話〜進化

「また森に帰れるなんて思ってなかった…」


「本当に、助かったんだな」


「ああ、聖獣様と同胞に感謝を…」


下からは救出された獣人たちとコウユウの部下たちの声と祝杯の声が届いてくる。


ここはコウユウたちの拠点の一つで、助け出された獣人たちは一度ここで保護してから補充の人員と交代する形で集落に護送されて行く。


驚いたことにコウユウはこの大陸の各種獣人たちの長たちからも一目置かれる立場らしく、部下の割合的には犬人族が3割、残りは多種多様な種族といった具合だ。


ちなみにほとんどが男性だが、2割は女性。


奴隷生活で傷を負った子供や女性には男性より女性の方が適任だからだろう。


あらゆる種族の部下を持ち、信頼も厚く行動力のある好青年。


中性的な容貌と柔らかな雰囲気のせいか嫉妬などは芽生えすらしない。


ある種恐ろしい才能だ。


「さすがですね。みんなあなたのことを信頼してる。いずれは獣王に、なんて噂も聞きました」


「そんな大層なものではありませんよ。あの方たちと旅をしていく中で同胞たちを助けて回る機会があって、それで便宜を図ってもらっているだけですから」


人脈は重要だが、やはりコウユウには仁徳がある。


ユウキもたった数日行動を共にしただけで、ついつい彼に頼りたいという気持ちを抱いてしまうほどだ。


これがカリスマというやつなのかもしれない。


苦笑いしていとコウユウの表情が凛と引き締まる。


「ここ数年は落ち着いてきていますが、同胞が奴隷として拐われることが増えてきています。帝国が滅びた混乱による奴隷狩りの時ほどではありませんが、それでも集落ごと襲われることも増えています」


愁いを帯びたコウユウの瞳からは同胞を思う意思がうかがえた。


この世界では人の命は軽くて、そして人権なんてものも保証されていない。


前に見た開拓村の奴隷たちも最低限の生活は保証されていたらしいが、動けなくなればそのまま見捨てられる。


昔よりは亜人差別が見直されたそうだが、それでも獣人たちのような亜人は最低限の生活すら保証されていないところが多い。


「帝国が滅んだ今、いくつかの国が力をつけてきています。国力をつけるために労働力が必要となれば人族より頑強な獣人を欲しがるのは想像して然るべきでした。今後も我らの活動は続いていくのでしょうね」


「その一つがこの先のラスアート王国、ですか」


「ええ。分かっているだけでも相当数の同胞が奴隷として連れ去られています。そして勇者保有国でもある。さらに最近ようやく転移者の痕跡も見つかりました。次の奪還作戦と合わせてラスアート王国内でユウキさんをサポートするのが我々の仕事です」






「わふぅ…」


「チョコおつかれ」


拠点に戻って暫くするとチョコが「つかれたぁ」と言いそうな顔で戻ってきた。


テトテトテト、ポフッ。


お気に入りのクッションの上で丸くなるチョコ。


側から見ると一段だけの鏡餅のようだ。


「わふっ」


どうやら奴隷として捕まっていた子供達の相手をしてくれていたらしい。


いつもはモコモコでフワフワした毛糸玉のようなチョコの体毛が心なしか萎んで見える。


チョコは獣人たちからとても可愛がられているのでほぼ引っ張りだこ状態だ。


ここ数日ほどはここの獣人たちにちやほや構われて心なしか大きくなったようにも見える。


増毛しただけかもしれないが。


ムニムニムニ…


「わふっ?」


ムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニムニ


「わ、わふぅっ⁉︎」


実に素晴らしいムニムニに進化していた。

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