1話 新たな人生
男に生まれて17年。
私は真面目に生きてきたつもりです。
学生という身分、勉学に励み、自己研鑽に費やしてきました。
逆に言えば遊びがなかったと言えばいいでしょうか。
わかりやすく言えば頑固だったのです。
他人の主張を聞きもせず、自分の自由の邪魔をするなと排他的な面があったことを素直に認めます。
しかしです、それで理不尽を許す理由にはなりません。
学校帰りの青信号、制服を着こみ学生カバンを持って歩く私に突っ込んできた乗用車。
信号が変わってから左右確認をして渡ったはずなのに、気付けば体は宙に舞う。
運悪く頭からの落下。
あぁ、これは助からない。
そう考えていた私が最後に見たのは、まるで寝起きと言わんばかりに辺りをキョロキョロ見回しているおば様でした。
──────
私は死んだはずでは······?
なぜ死人に意識があるのでしょう。
信じてはいませんでしたが、幽霊と言われる存在にでもなってしまったのでしょうか。
「いえ、貴方の魂をここにお呼びしました。放っておけばそのまま消滅していましたよ」
もしやあなたは思考を読んでいますね?
創作物で読んだことがあります。
死後に話しかけてくる思考を読む存在は、善悪抜きにして大体が神でした。
あなたはどこかの神でしょうか?
「なかなかどうして、転生させてしまったなら帰ってくることがないはずですが、どうしてこちらの予定を先読みするかのような創作物が世に溢れているのでしょう。そちらの世界の神は随分と皮肉家なようですね」
不穏な単語を聞きました。
私の場合死後の転生ですが、転移させる物語もありました。
もしやそういった方々もこちらに帰って来れていないのでしょうか?
帰ってこれるならばこのようなジャンルの読物が生まれてもおかしくないと考えられますが。
「他所のことは分かりませんが、私の世界に来た異世界の方は基本的に永住しています」
見知らぬ方を悪く言うつもりはありませんが、もしや叛逆を企む神や魔神だったりしませんか?
転生や転移した方々がみんな戻らないとは不自然だと思います。
「善悪の判断から論じてもいいですが、そんな不毛な事をしても時間の無駄でしょう。1人例を挙げるなら、こちらの世界の方が住みやすいと言ってくれましたね」
あなたの言うことも正しいですね。
勝手な事を考え、申し訳ございませんでした。
話を遮った側から言うのも変ですが、本題の方を宜しくお願いします。
「貴方も混乱していたと思う事にします。本題は流れからしてわかりますね? 私の世界に招待したいというお誘いです。不遇の死を迎えた方に聞いていることなのですが、選ばれるのは一定以上の能力を持つと認められた人間に限ります。貴方は見事その一人に選ばれたというわけです」
ふむ、つまり不遇の死を迎えた者達の中でも優れた方だったというわけですね。
それにしても言い方が気になりますね。
能力とは具体的には何を指すのでしょう。
「貴方の世界の常識に則って例えるなら、ただの学生が法則の異なる異世界のサバイバルがこなせると思いますか? ちなみにある一定から上の年齢の方は異世界の法則に慣れること無く拒絶反応で精神病にかかって大抵死にます。一応貴方の世界と違って魔物なんかがいるような世界ですので、思考を止めれば危険に囲まれます」
それなら確かに死ぬでしょう。
私は頑固ではありますが、環境に合わせた柔軟な思考ができないと言う意味での頑固ではありませんので。
着の身着のまま放り出されてもある程度なんとかできる自信はあります。
「問題はそこです。私の世界は貴方の世界の電気と同じくらいの価値を持つ魔法が存在しています。いくら貴方のように知識を蓄えた方でも魔法が無ければあの世界では生きづらいでしょう」
それではあなた自ら魔法についてレクチャーして頂けるのですか?
流石に完全記憶能力を持ち合わせていませんので、一度の学習では習得できないかと。
「分かりました。まず貴方には『完全記憶能力』を与えます」
······お手軽に言っていいのですか?
あれは先天的なものだと記憶しておりますが。
「貴方は転生するのです。これくらい造作もありません。ユニークスキル扱いで与えます。それと誤解なきよう言っておきますが、完全に記憶できる能力ですからね?」
······?
分かっていますよ?
それより1つ宜しいですか?
あちらの知識を直接私に詰め込むことはできませんか?
「できます。しかしそうすると貴方が意識した時にしかその記憶が呼び覚まされることがありませんが」
今すぐに知らなければならない事を口頭で、いつか必要になることを詰め込みでお願いします。
度々の図々しいお願い、聞き入れていただけないでしょうか?
「それでは1つ条件があります。『念写』というスキルがあります。このスキルと『完全記憶能力』で、刻印魔術師として魔王を倒してきてください」
······分かりました。
しかし魔王に悪い所がないのなら殺しませんがいいですか?
「まぁいいでしょう。倒してくれさえすればいいです。貴方には私の加護として魔力の成長速度上昇と刻印魔術以外の魔術の消費魔力増大を付与しておきます。くれぐれも刻印魔術を宜しくお願いします」
ちょっとまっ······。
私はその加護はただの呪いではないのか、と聞くことができずに意識が暗転した。
あぁ、またも理不尽に世界は回る。
──────
確かに転生とは言われました。
けれどある程度成長した精神を持って赤ん坊になるのは辛いものがあります。
「ライトは気味悪いくらいに大人しいな」
「あなた、実の息子に向かってなんですかその物言いは」
この世界における父と母、ガイルとマーレです。
聞いて驚くことでしょう。
この夫婦、今年で21と18なのです。
話の中から情報を集め、神からもらった知識と照らし合わせる事でわかりました。
「まだ私が当主ではないが、いつかは私が跡を継ぎ、この子がセブラス男爵家の跡取りとなるんだ、もう少し普通の子がいいと思うのもおかしくないだろう?」
「······つまりあなたはこの子が不満と?」
このやり取り、産まれてから数日置きにやっています。
父に関しては腹立たしい思いもあるが、母のおかげで反抗せずに済んでいます。
反抗できたとしても精神的になんですがね。
「マーレ、いい加減に聞き分けろ。貴族とはこんな一面があると知っていて嫁いできただろう」
「はぁ、そうですね。精々ライトが大人になった時、私だけは嫌われないように務めることとします」
そう言ってしばし睨み合いを続けていたが、ガイルが折れて無言で退室しました。
マーレは微笑みを私に向け、優しく頭を撫でてくれます。
産まれてまだ2ヵ月、私はまだベビーベッドから降りることすらできないので、他の部屋での2人の様子は分かりませんが、できる限り気にかけようと思っています。
第2の生を受けてできた両親ですし、今度はちゃんと親孝行をしたいと思ってもいいじゃないですか。
私は異世界に来ても真面目をやめられないようでした。
──────
夜。
授乳からげっぷを経て、寝かしつけられました。
私は中身が普通でないので夜泣きはしたことがありません。
それを分かっているため、マーレはこの部屋の自分のベッドでぐっすりと眠っています。
私が産まれてから1ヶ月は夜に安眠できないようで、隈を作りながら精一杯家事をしていたマーレも、私の夜の安定具合をやっと信じられたのか、ここ最近は熟睡できているようです。
けれど不安はなくならないのか未だに私の部屋で寝るのは止められないみたいです。
ガイルのように自室で寝てもいいと思いますが、マーレとガイルが一緒に寝るのならここでずっと寝泊まりして欲しいと思ってもいます。
存外私もガイルの物言いに頭に来ているようです。
「ま、まー、まーり。まーりぇ。まーむ!」
決して母を英語で呼びたい訳では無いです。
母の名を最初に呼ぶための発声練習を行っているのです。
「ま! ま! まー! まー! りぇ! れぃ! れ!」
まの発音は早い段階から出来ていましたが、なぜかれの発音が上手くいかないのです。
マーレからすれば可愛いのでしょうが、名前はしっかり間違えず呼びたいと思うのは真面目さからでしょうか。
「『マーレ······やはり日本語なら気持ち悪いくらいにはっきり発音できますね。私、今は赤ん坊なはずですが』」
そう、今練習していたのはこの世界のこの地域の言葉。
ガルドラーク王国に属する村の一つ、我が家の当主セブラス男爵が治めるミレントンです。
ここでは母国語としてバルガ語、第2母国語として様々な国で用いられるニギーラ語を学ぶことになります。
まぁ、神によって知識として得てはいるんですが。
練習を伴って得たものではないので、口に出して確かめるまで正しさが判断出来ません。
ガイルとマーレが毎朝行う口喧嘩が言葉の勉強に役に立っていて、ある意味でありがたいです。
「『それにしても神が言っていたスキルの判断は10歳になってからとは······。このスキルは両親をがっかりさせてしまうんじゃないでしょうか』」
完全記憶能力と念写。
著作権の侵害ならやり放題の能力です。
特に印刷技術が発展していない世界では、コピーのような事ができるのはかなりの強みでしょう。
しかし戦闘力が重視される世の中で縁の下の力持ちと呼ばれるような能力は、貴族ではなく平民が持つことが喜ばれます。
貴族として産まれてしまった私としては戦闘系スキルの方が喜ばれたと密かに落ち込んでいました。
「『神の知識、割と役立ちますね。この世界の人間の平均保有スキル数は5ですか。調べてみたら案外強いスキルを持ってるかもしれませんね』」
神は能力を2つ与えてくれたようです。
それは元々持っていたはずのスキルを阻害しないでしょう。
上手く行けばかなりの数のスキルを保有できると考えられます。
「まーり! ······まー······れー。まーれ!」
「はぃぃぃ!」
「『うぇっ!?』」
私とした事がみっともない声を上げてしまいました。
できる限り小声で練習していたはずなのですが、マーレから急に返事されてしまいました。
流石に私でも驚きます。
それにしても起きる音が聞こえません。
恐らく寝言でしょうが今日のところは大人しく寝ておいた方がいいかもしれませんね。
魔力操作の練習は明日からにしましょう。
──────
それから毎日の様に夜になると、発声と魔力操作の練習を行いました。
勤勉な性格は治っていないようです。
五十音の発音は既にできるようになりました。
もちろん五十音とは日本語に例えてみただけで、バルガ語にもニギーラ語にも五十音の概念はありません。
十分に言葉を扱えるようになったと言えるでしょう。
私まだ生後3ヶ月未満ですが。
魔力操作に関しては神の知識をフル活用しました。
魔力を操作することは魔法を使う上で必須技能らしいです。
けれど魔力を操作する練習は、発動箇所に魔力を集める程度で大抵満足するらしいです。
魔力をうまく使えば身体強化もできるというのに、魔法に身体強化があるからと練習を怠る傾向にあるとは。
私はそんな半端は許しません。
まずは体内で魔力を完全に制御できるように訓練をしようと、魔力を正確に把握することを始めました。
神の加護で魔力の成長速度が上昇しているはずです。
使えば使う程魔力が増えると考えてもいいでしょう。
ならば毎日魔力を使い切る方がいいのではないでしょうか。
確か魔力を全て使い切ると気絶すると知識にありました。
ならば寝る前に全て放出すれば好きなタイミングで寝れるということ。
これを利用して私は毎日体感で22時まで練習しました。
ちなみにこの世界に時計はなく、日の傾き具合で判断するアバウトな鐘が鳴るくらいです。
私は最終目標を、細胞一つ一つの魔力強化として努力を重ねました。
──────
私も3歳になりました。
前世から数えれば20歳です。
精神的にはお酒もタバコも解禁です。
私は神からもらった知識の探求に時間をかけるため、両親には普通の赤ん坊のように振舞いました。
しかしそれは私の主観で、という話であり一般的ではなかったようです。
「ごめんね、ライト君。あなたが普通と違うからと言って私たちの子供なのに。ガイルったらあなたを気味悪がって近寄ろうともしないの。周りと違うのも個性でしょうに」
「まぁ仕方ないですよ。私も流石に不自然だと思いますし」
そう、とっくにマーレには本性がバレていた。
赤ん坊が寝る時間など大人からすればそこからが本番です。
なのに毎夜発声練習と魔力操作の訓練なんかやっていれば、いつか気付かれるのは必然でした。
そして私は隠し事が嫌いです。
隠さなければ命に関わる様な重大な事柄でなければ話してしまってもいいと思っています。
なのでマーレにだけは、「ライトと呼ばれる私は神に転生させて貰った異世界人の魂があります。しかしあくまで私はあなた達の息子です」としっかり伝えてあります。
ガイルに話すかはマーレに任せました。
恐らくマーレは話していないだろうと思います。
前よりこの部屋に入り浸る時間が増えたマーレが話すことのほとんどが、ガイルに関する愚痴であるところから察せました。
家族の情あれど、貴族の立場を優先しようとするガイルが大人しくしているはずがありませんしね。
もし本当のことを知ったら良くて勘当、悪くて処分でしょう。
元からいなかったことにされるのです。
まぁ今やこの家で私より強い人間などいないのですがね。
「ライト君聞いてるー?」
「聞いてますよ、マーレ」
マーレの事は最初母上と呼ぼうとしました。
そうしたら可愛くないと一蹴され、ママと呼ぶことを強要されてしまいました。
ふざけて付き合う分にはいいのですが、真面目に日常的に呼ぶのはむず痒くて無理でした。
そしたら2人の妥協点が呼び捨てになったのです。
3歳で母を呼び捨てにするのはどうかと思いますが、母と感じる心があっても、前世の記憶からして歳の近い友達の感覚が抜けきらないのです。
母でありつつ魅力的な女性です。
「マーレ、少し静かに。父が来ました」
「······っ! わかった、また後でね?」
マーレはそう言って私を抱きかかえます。
3歳でありながら魔力強化で肉体を育て始めている私の体は、筋肉の量が多いため普通の子供より重いはずです。
少し申し訳ない気持ちになりながら、寝た振りをしてマーレとガイルの話を聞きます。
「マーレ、ライトのお披露目をしようと思う」
「えっ! いくらなんでも早すぎるわ!」
「分かるだろう? この歳で社交の場に出しても問題ないくらいライトは賢いと」
「······でもまだ子供よ。私ですら21歳になったのに未だに社交会に慣れないのに」
「君は元々そういった事とは無縁の世界にいたからだ。子供のうちに経験しておけばこれから楽になる」
私はガイルの思惑を正しく理解していました。
24歳になったガイルは当主代理としての仕事を始めました。
カルドラークの中では大きめな村にあたるミレントンでは、ガイルのお披露目にそこそこいい身分の方々が足を運ぶことでしょう。
そこで後継の存在を知らしめて、その優秀さから将来性を見せる事、そこから私の婚約者を探す事を兼ねているのだろうと。
約束されたレールの上を歩いているだけのガイルはこの社交会が事実報告という意味しか持たず、主役は私だという事です。
まぁ嫁をとるのではなく婿養子として、政略結婚に使おうと考えているのでしょうが。
残念な事にマーレはその辺に気付いていません。
この純粋さでよく貴族の家に嫁げたものです。
ガイルが他所に女を作っていることにも気付かないのではないでしょうか。
マーレを悲しませたくありませんが、ガイルの行動は夜中に訓練していた私には筒抜けでした。
こっそりと部屋を抜け出し、書斎で勉強していればそういった手紙くらい見つかります。
徹底して隠蔽しているので忍び込まれていることには気付いていないでしょうが。
完全記憶能力には助けられています。
「父上、私なら問題ありません」
「ライト君!」
「······そうか。いつの間にか起きていたか」
「盗み聞きのような形になってしまい申し訳ございません。ですが母上では話を蹴ってしまうと思い、口を挟ませていただきました」
「相変わらずだな。お前の事だ、心配するだけ無駄だろうが、しっかりと務めを果たしてくれ」
「かしこまりました。良縁がある事を期待しております」
最後の私の言葉に渋面を見せたガイルは、すぐに部屋を出ていきました。
相変わらずなのは父の方です。
気味悪がるのもいい加減にして欲しいです。
「マーレ、あなたはもう少し人を疑うことを覚えた方がいいです」
「どうしたの急に」
「貴族は様々なしがらみがついてまわります。例えば跡取りについてですが、私が仮に婿養子に出されたとします。その時マーレはもうひとり男の子を産まなくてはいけません。しかしガイルとマーレは仲が悪い」
「それって······」
「えぇ、ガイルは他所に女がいます。書斎で勉強していた時に手紙を見つけました。恐ろしいことに子供がもう1歳だそうです」
「つまりライト君が産まれてすぐできた子供って事?」
「そうですね。そしてそんなタイミングで子供ができるのは明らかにおかしいんです。確かに全く泣かず無表情の多い子供だったと思いますが、その程度のおかしさで他の女に手をつける理由にはなりません」
マーレは返事をしませんでした。
見れば目尻に涙が溜まっています。
しかし私は言葉を止めるつもりがありません。
「元から手を出していたんですよ。私なんか関係なく、普通に浮気です。マーレの事を裏切っていたんです。マーレにその女が側室だと宣言することなく庶子を作ったことが何よりの証拠です」
マーレは私を胸に抱き締め泣きました。
啜り泣きで我慢していたマーレの頭を撫でてやると、すぐに声を上げて泣き始めました。
まだまだ若い女の子で、日本だと大学生でもおかしくない年頃です。
愛して子供まで作った相手が裏切っていたなど、純粋に育ったマーレには鋭い刃となって心を抉ったことでしょう。
私はそんなガイルに尽くそうとするマーレを見ていたくなかったのです。
とても浅はかな事だとわかっていますが、マーレがどんな選択をしてもいいと思って全てを話しました。
あとはマーレの心の強さを信じて待つだけ。
私、ライトはマーレの息子なのですから。
──────
私は10歳の誕生日を迎え、スキルの鑑定を行いました。
何とも狙ったかのようなスキルのオンパレードに、若干顔がひきつってしまったと思います。
私はこれから家に帰りマーレと共に旅に出ます。
仮面夫婦をあれから7年も続けたマーレには後で沢山褒めてあげましょう。
これからはガイルの事は忘れ親子2人で幸せな生活ができると心が踊ってしまいます。
私は鑑定をしてくれた神殿を後にし、早々に馬車に乗り込みました。
馬車はすぐに動き出し、セブラス男爵家に向けて走り出します。
それを見送る神官は硬い表情をしていたと思います。
『名前 セブラス・ライト
種族 人間
性別 男
年齢 10歳
職業 щимкцчм(勇者)
スキル
速読
速筆
罠作成
罠設置
罠隠蔽
錬金術
鍛冶
念写
ユニークスキル
лкклцлпкпк(魔法作成)
ппккплщчощ(完全記憶能力)
加護
スィーリアの加護
職業隠蔽
ユニークスキル隠蔽
加護内容隠蔽
окщцчпклим(魔力成長速度増大)
щкцчилимчл(刻印魔術以外の消費魔力増大)
』
──────
それにしても日本語で勇者やら何やら書くとは、神も隠蔽にしては雑な事しますね。
他にもこの世界に来る人間がいると話をしたというのに。
鑑定結果のことをマーレにどう説明するか考えながら、私は慣れ親しんだ自室の扉を開きました。