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「ん?お前は?」
じっと相手を見ながら考えていたら、相手が話しかけてきた。
「俺は、蒼鬼だ。このバカ狼のリアルフレだ、お前は?」
「ちょっww貴方様もバカ狼扱いですかwww私泣いちゃうww」
俺は、相手にプレイヤーネームを言い、こちらからも名前を聞いた。何故か相手は、呆然としている……いや、呆然としたふりをしてる。少し待つと見えないように少し口がニヤケて、死狼に喋る。
「お前…友達居たんだな。」
「ちょっと待って!?俺、前に友達居るって言わなかったっけ!?」
相手は、笑わないように必死で迫真の演技をし、それに、見事に死狼は掛かった様で、こっちも必死だ。相手は記憶を探るフリをして、あたかもすぐに思い出した様に喋りだす。
「あぁ、てっきりお前が見栄を張ってるのかと…」
「友達の一人や二人は居ると思って!?」
さて、ここら辺で混ざって混ぜてみるか。思い立ったが吉日、今やろう、すぐやろう。俺は、まだやってる漫才に混ざる。
「そうか、お前俺しか友達居ないのか。可哀想に。」
「なんで!?今入ったらややこしくなるよね!?しかも、俺が友達沢山居るの知ってるよね!?」
こいつは、こういう性格だからすぐに馴染めて、友達が沢山居るのは知ってる。だが、あえて知らないを通す。そうこうして10分位、漸く満足し、自己紹介も終えて、バールがチキンの串焼きを持ってきた。バールはチキンの串焼き店主の名前だ。
だが、バールが持ってきた、チキンの串焼きがおかしい。どう見てもチキンを1匹丸ごと焼いて串に刺した物だ。
「何だこれは?」
「何ってウチの看板メニューのチキンの串焼きだが?」
メニューの名前を、チキンの丸焼きに変えれば良いんじゃないか?隣を見てみると、美味しそうに死狼がチキンの丸焼き(串焼き)に齧り付いてる。
俺も、意を決してチキンの丸焼き(串焼き)に齧り付く。醤油の甘辛い味とこんがり焼けた肉の味に、ピリッとした唐辛子の粉末、噛めば甘い肉汁が出てきてうまい。5分位で食べ終え、満腹ゲージもMAXになっていた。
俺は、100Gをバールに渡す。ちなみに、このゲームでは1Gが10円の値段なのでチキンの丸焼き(串焼き)はリアル換算で1000円だ。
バールにお礼を言い、フレ登録をして死狼とその場を後にした。




