手と手
僕の背中には羽なんてないけど
君の手を握る手は僕にもあるよ
青色の春を脇目も振らず
走り抜けたあの頃の僕たちは
あの頃しか使えない魔法を
気づかないうちに使っていたのかな
君の気を引きたくって
君にだけ見つめて欲しくて
君のそばにいたくって
君にだけ認めて欲しくて
空を見上げてた君を見つめていた
君は気づいていたのかな
僕の右手には何も繋がれてない
強く拳を握っていた
お互いのことを何も知らず
声交わしたあの頃の僕たちは
あの頃しか歌えない音色で
淋しさを隠し歌っていたのかな
愛の形を見つけて
君だけと育みたくて
君だけを抱きしめたくて
君だけに抱かれていたくて
桜が咲く頃 淡色の季節に
初めて伝えた想いを
君は微笑んで僕の手を優しく
握り返して包み込んだ
繋がれた手のひら
それだけで強くなれる気がしたよ
僕の背中には羽なんてないから
空をはばたけはしないけど
君の手を握る手はここにあるから
もう淋しくなんかない
もう 途切れてなんかない