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Act. 9-18

 

いつも応援ありがとうございます!卯月です!

 

お知らせがあります。

ただ今、アルファポリスで青春小説大賞が開かれています。

これに腐敵もエントリーしてみました。

開催期間は11月いっぱい。この間、アルファポリスのいつものWEBコンテンツ投票マークが、青春小説大賞投票マークになります。

腐敵を応援してくださる方は、是非投票をよろしくお願いします♪

投票システムは実はよくわかってないのですが、アルポリの市民ID持ってないと投票できないのかな?

いつもの1日1クリックはできなくなったのか、とか、気になることは色々あるんですけど、まだ調べきれてません。ごめんなさい。(汗)

もしよければ、これを機に、アルポリに市民登録してみては・・・ってナニ勧誘してるんだ。(笑)

市民の方の投票は100ポイントも入るのですよ〜!(いじきたない? 笑)

 

というわけで、よろしくお願いします。m(_ _)m

 

ではでは♪

 

<<<< 栗子side >>>>

 

 川田君が自分の負けを認めた次の瞬間。

 

 

 パン! パンパンパン!

 

 

 思わず何事かと目を見張る。

 

 軽快な破裂音と共に、舞台の上から突然、あたし達の頭上にカラフルな物が降り注いできたのだ。

 

 

『見事犯人逮捕! おめでとうございます!』

 

 

 呆然とするあたし達。

 

 横一列に並んだキャスト達から食らった物は、クラッカーから放たれた紙吹雪だった。

 

「いやぁ〜ここまでぴったり全てを言い当てられるとは思いもしませんでしたよ。種明かしお見事です。頑張ってシナリオ書いた甲斐がありました」

 

 にこっと相好を崩して言ったのは刑事さんだ。

 

 この人がシナリオを書いたんだ。なんか意外。

 

「本当によくここまで頑張ってくれました」

 

 部長も賞賛の言葉を送ってくれる。その横から山崎君が、

 

「俺、犯人にされたらどうしようってドキドキしてたよ。釈明ありがとなー」

 

 ひらひらと手を振って言う。早川君も、

 

「よく俺に引っ掛からなかったな。俺、一番のミスリードだったのに。やっぱセリフが少なすぎたかな?」

 

 と明るくおどけてみせて、場内は一気にわいわいムードになった。

 

 えっと。なんかよく分かんないけどレース終了?

 

 犯人逮捕の証はどうなったのかな?

 

 質問を言い出しにくい状況だなーと思ってると、その心中を読んだかのように刑事さんがパンッと手を打って空気を止めた。

 

 再びよく通る声を場内に響かせる。

 

「これにてレースは終了! 優勝おめでとうございます! ――と、言いたいところなんですが」

 

 ぴくっとあたし達四人は刑事さんに注目する。

 

「残念ながらまだレースは終わってません。そう――犯人逮捕の証を手に入れないといけないのです。それを最初に手にしたペアが優勝、でしたよね?」

 

 やっぱり。まだ逮捕の証が残ってた。

 

 緊張感を取り戻したあたし達を舞台上から見下ろし、刑事さんは微笑を浮かべながら続けた。

 

「さて、証はどこにあるのでしょう? そのヒントは、実はあなた達が持ってる物に隠されてるのです」

 

 え? あたし達が持ってる物?

 

「! 台紙か!」

 

 朽木さんにぐいっとシール台紙を引っ張られる。

 

 つられてあたしの首も引っ張られた。痛い。

 

「これが最後の二枚になります」

 

 舞台からかがみこんで手を差し出してくる刑事さん。

 

 渡されたシールを貼り、次の言葉を期待する目で、刑事さんを見上げる。

 

「全て集まりましたね? 四角い空欄に、きっちりとずれないように貼りましたか? それなら読める筈です。この光を当てさえすれば」

 

 そう言って刑事さんがポケットから取り出した物は、ニ本の青いペン。

 

 最初、ボールペンかと思ったけど、よく見たらペンライトだ。それを朽木さんと祥子が一本ずつ受け取り、早速シールに投射してみせる。

 

 青白い光がポッと灯った。

 

 すると、不思議なことが起こったのだ。

 

 水色で数字が書かれてた台紙の白いシール。

 

 その水色の数字が青白い光の中で消え、代わりに新たな水色の文字がきらきらと光を反射して浮かび上がったのだ。

 

 朽木さんと肩を寄せ合い、光る文字に見入る。

 

 書かれていたものはこうだ。

 

 

『犯人逮捕おめでとう諸君! さぁ最後の仕上げといこう。証は私が持っている。これを最初に奪った者に真の栄冠が与えられるだろう! シャーロック・ホームズ』

 

 

 しゃーろっくほーむず〜〜?

 

 なんでいきなりホームズが出てくるんだ?

 

 署名の横にはパイプの絵が描かれてる。これが証なのかな?

 

 しかしホームズといえば、確かどこかで一度見かけた気もするのだ。

 

 レースの最初の方で……最初……。

 

 

 途端、頭の中で、最初のステージでの出来事がフラッシュバックした。

 

 

「司会者!」

 

 思わず声をあげる。

 

 皆も思い出したらしい。顔を上げて頷いた。

 

 そうだ。持ってたのは登場時の僅かな時間だったけど。

 

 ホームズに扮した司会者は、確かにパイプを手にしていた。手品でマイクに換えるまで、パイプをくゆらせていたのが、今、鮮明に思い出された。

 

 

 あれが逮捕の証だったのか!!

 

 

 それを理解した瞬間、あたし達四人は一斉に後ろを振り返った。

 

 駆け出し、座席の間を階段を我先にと走りぬけ、赤い扉を勢いよく開く。

 

 目指すはグラウンドのステージ。

 

 考えてみればゴールはあそこしかあり得ない。昔からスタート地点はゴール地点でもあるのだ。

 

 ホールの外に出ると、大観衆が一斉にこちらを向いた。

 

 それにも一瞬びくっとしたが、それより驚くべきことがあった。

 

 ホールのエントランスから、まるで突然現れたかのように。大観衆の間を開いて作られた道が、真っ直ぐ広場を突き抜けていたのだ。

 

 よく見るとスタッフ達が観衆を抑えてる。

 

 ここを通ってけってことか!

 

 あたし達は躊躇なくその道をなぞり出した。

 

 大観衆の歓声が響く中、息を切らせて走り抜ける。広場の道は終端で横切る道路に繋がった。右に曲がり、大通りに向かう。大通りを北に辿ればグラウンドだ。

 

 ホールからグラウンドまで、そんなに遠くはないはず。走って3分ぐらい?

 

 でもずっと全力疾走は、あたしはともかく祥子がキツイ。勝負は勝負だけど、そんな勝敗のつけ方はあたしだって嬉しくない。

 

「祥子ちゃん! こっからは俺に任せて!」

 

 と、それに気付いたのか、高地さんが声を大にして叫んだ。

 

「グリコ! 証を取るのはペアのどちらかでいい!」

 

 続いて朽木さんも叫ぶ。

 

 そういえば、そんなルールだったっけ。

 

 じゃあこっからは純粋に個人の足の勝負なんだ。

 

 頷く祥子に親指を立ててみせる高地さん。

 

 少しだけ振り返ってあたしの目に合図を送る朽木さん。

 

 二人が前を向き直った次の瞬間。

 

 

 二人との距離が、一気に開いた。

 

 

 背中がみるみる遠ざかる。風が温度を増した気がした。

 

 凄い! 本当に速い!

 

 既にその実力を見せてくれた高地さんのスピードはある程度予想していたけど、朽木さんまで超人的な速さだ。

 

 二人のスピードはほぼ互角に見えた。背中が均等に遠ざかっていく。

 

 速すぎて、あたしなんかとても追いつけない。

 

 だけどこのまま追いかけていきたい。本気の朽木さんを見ていたい。

 

 動け……もっと動けあたしの足!

 

「お菊ちゃ――ん! がんば――っ!」

 

 ん?

 

 その時、不思議な声援が耳を掠めた。

 

 周囲を見回す。声援のほとんどは朽木さんと高地さんへのものだったが、その中から微かに聞こえた声は、場違いな名前を叫んでた。

 

 お菊ちゃんて……。

 

 怪訝に思った矢先、声援の正体が判明した。

 

 道路の両端に並ぶ観衆の中。あたしに向かって手を振る明らかに怪しい集団が前方にいたのだ。

 

 周囲の人が驚いて間を空ける。彼らの異様な姿に少し怯えるように。

 

 あたしをお菊ちゃんって呼ぶ人達といえば、確かにこの人達しかいない。

 

 そこにいたのはドラキュラ、落ち武者、ミイラ男――その他大勢、お化け屋敷の面々だったのだ。

 

「頑張れお菊ちゃ――んっ!」

「行け行け――っ!」

「ゴールはすぐそこだ――っ!」

「優勝を狙え――っ!」

 

 ぶっ。

 

 なんでその格好のまま来るかなぁ?

 

 お化けの扮装で必死に手を振ってくる異様な集団。やけに野太い声を揃えて『おっきっくちゃぁーん!』とか不気味な声援まで送ってくれる。

 

 なにやってんのあの人達。可笑しすぎる。

 

「にひ♪」

 

 頬が緩む。可笑しくてたまらない。

 

 嬉しすぎるよみんな!

 

「まっかせて――っ!」

 

 気付けば、Vサインで叫んでた。

 

 

 

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