Act. 16-8
いつも読んでくださって、どうもありがとうございます!
とうとう腐敵も、PV150万を突破しました!!(>∀<)
多くの人に読んでもらえるのって、本当に幸せですね♪
拍手やランキングをポチしてくださってる方々、どうもありがとうございます!
皆様の暖かい応援に、いつも励まされてる私です♪
どうか最後まで、グリコと朽木を見守ってあげてくださいね。
あと、厚かましいお願いなのですが。
腐敵のイラストを募集しています。
もし、描いてくださるという方がいらっしゃいましたら、この「小説家になろう」の作者あてメッセージか、もしくはWEB拍手コメントに、返信用メールアドレスを添えてご連絡ください。
WEB拍手コメントはIDを持っていなくても送信できますので。
それで、もしかしたら、イラストをくださった人のなかから、腐敵の挿絵などをお願いする人を選ぶかもしれません。
あ、でも、そんなに構えなくても大丈夫ですよ!(汗)
どんなイラストでも、絵をいただけるのって本当に嬉しいので、気軽に送ってくださると嬉しいです♪
よければ、どうぞよろしくお願いします。m(_ _)m
ではでは。お待たせしました。本文をどうぞ~!
<<<< 栗子side >>>>
それからみんなせっせと働き、あっという間にお昼が過ぎた。
あたしは約束どおり、ランチにステーキセットを賀茂石さんにおごってもらって大満足。これでスタミナばっちりだよ♪
午後も目印や矢印を所定の場所の壁に貼り付けるという作業を終え、あたしは肩のこりをほぐしながらツリーに向かった。
あーあ。まだ若いみそらでピップエレキバンとか貼りたくなっちゃうこりようだよ……。
空は午後から急にどんよりしてきて、太陽を完全に隠してしまった。
雨は夜からって予報だったのに。この調子じゃ夕方には降りだしちゃうかもしれない。最近すっきりしない天気が多くて困ったもんだ。
「ん?」
あたしはふと後ろを振り返った。なんとなく、誰かがついてくる気配がしたのだ。
ってゆーかついてきてた。今朝、校門前で見たがっしりした体格の男の人が、普通に後ろから歩いてきてて、立ち止まったあたしの横を通り過ぎていった。
あはは。尾行なんてされてるわけないか。映画の見すぎってやつ?
あの人、やっぱり大学の関係者だったんだ。もしかして明日ホールでコンサートする予定の楽団の人かもしれないな。
などと思いつつみんなが集まってるツリーの下に戻ると、賀茂石さんが今朝セットしてた機械類に電飾のコードをつなげているところだった。
「あ、もしかしてライトつけるんですか!?」
「うん。イルミネーションの最終チェック。切れてるところがないか確認するから見てて」
「はいはい! 見てまーす!」
一足先にこの手の込んだイルミネーションを拝めるなんて、企画側に立つ者の役得だよね♪
ツリーの下から数歩下がって、てっぺんまでよく見渡せる位置に立つ。庄司さんもあたしの反対側からチェックしようと木を見上げている。
「スイッチ・オン!」
賀茂石さんのかけ声と共に、明かりが点された。くるくるくる。まわるように点滅する七色の優しい光。
これがクリスマス・イルミネーション――とっても幻想的で、時にロマンチックで、時に可愛らしい。
わかっていても数秒ごとに変化していく光のダンスについつい見惚れて、チェックという目的を忘れてしまいそう。
きっと恋人達もこのツリーを前にすれば、ムード満点で寄りそいあっちゃったりなんかしちゃったり。
『朽木』
『拝島』
そんでもって熱い抱擁を交わし、燃え上がる二人は互いに見つめ合い熱いキッスを――――はっ! いかんいかん!
妄想はあとあと! 真面目に仕事しないとね。
「えっと……てっぺんの星おっけー、上のラインおっけー、まんなかおっけー……」
心を入れ替え、ぶつぶつと確認結果を口にしながら上から順々に見ていく。大丈夫。全部カンペキ……っと、あれっ。下の方にある星の光の頂点、光ってないな。
もう一回、じっと目を凝らしてよく見てみる。うん、やっぱり光ってない。
「賀茂石さーん。電球切れてるっぽいところありましたー」
「え? ホント? どこどこ?」
やってくる賀茂石さんに、光が切れている箇所を指差しで教えると、賀茂石さんは手にしたビニール袋をがさがさと探り始めた。
「えっと、あそこの電球は……あったこれだな。交換しないと」
「あたしが行って交換してきますよ。はしごはどこですか?」
「えっ!? 大丈夫!? 結構難しいし危ないよ?」
「電飾の電球交換はうちで何回かやったことあるから大丈夫ですよー。あそこなら位置も低いし、へーきへーきです。高いところなら慣れてる人にまかせちゃいますけど」
言いながらあたしは機械の横に寝かされている脚立をよっこらしょっと持ち上げた。おっと意外と重い。
ふらつきそうになったところを庄司さんに支えられた。
「男の仕事は男にまかせてりゃいいんじゃないのか?」
「自分にもできることを女だからって遠慮するのもつまんないじゃないですか」
二人でそれぞれ脚立の両端を持って、電球が切れてる箇所の下に運ぶ。組み立てると、早速あたしは賀茂石さんから替えの電球を受け取り、するすると登り始めた。
朽木さんのストーキングのために木に登って写真撮ったりなど普通にやってたあたしだ。このくらい朝飯前でござる。
でもさすがに脚立のてっぺんまで行くと下を見ようとは思わない高さで、少し背中がひやりとする。
ふと横を見ると、ホールの隣にある建物の窓の中が見えた。教室らしい机と椅子が並んでる様子がばっちりと。
……意外と近いんだな、隣の建物。道路を挟んだ向こうにあるんだけど、ホールの正面の建物よりはよほど近い。
その建物はさっき目印を貼りに行った場所で、イベントで使う場所のひとつである。
……あそこからだとこのツリー、よく見えるだろうなぁ。特に三階あたりから見ると、全体がキレイに見渡せそう……。
宝探しイベントが終わるのは4時。ツリーの点灯は6時。
あそこの部屋なら――――
あたしはふむ、と考えた。朽木さんにステキなクリスマスプレゼントをあげれるかもしれない。
考えれば考えるほどウキウキしてきて、あたしはクリスマスソングを鼻唄に、にまにまと電球交換をした。
新品のソケットがバッチリはまる。電気がついてるままこれをやろうとして、火傷したお茶目な子供時代を思い出した。
あの時はさんざん怒られたっけ、市兄ちゃんに。
懐かしい昔に思いを馳せながら、作業終了、ほっと息をついて辺りをぐるりと見渡す。
と、ホールから少し離れた場所にあるベンチ。ホール前の大通りに面したベンチなんだけど、そこに今朝から二度も見かけているミリタリージャケットを着た例の男の人が座っているのが見えた。
本を広げて読んでる風なんだけど、なんであんな場所で……と思った瞬間、動いた首があたしの方に向けられた。
え? あたしを見てる?
ぎょっとして目を凝らしたが、男の人の顔はすぐにまた本の上に戻る。
はは。まさかな。クリスマスツリーで作業してる様子が物珍しくて観察しちゃっただけかもしれない。
あんないかついおじさんにストーカーされるような美人女スパイでも何でもないただの腐女子だし。
あたしは気のせいだと思うことにして、その男性から視線を外した。
と、今度は、ホール正面にある薬学部実験棟の入り口あたりに、こちらをじっと見つめる黒髪長身男性の姿を見つけた。
おっ。あれはまさか……朽木さん! 朽木さんだっ!
上着のポケットに両手を突っ込み、微動だにせず立ち尽くすそのすらりとしたお姿。ビンビン漂うイケメンオーラが、朽木さん以外の何者でもないことを物語っている。
なんで休日なのに大学に……てゆーか、あの視線、あたしを見てない?
も、もしかして、何か言いたいことでもあるのかな!?
あたしは矢も盾もたまらず、はしごを滑るように駆け降り、交換した電球を賀茂石さんに押し付けた。
「ちょっとおトイレいってきます!」
「え? あ、いってらっしゃい」
そしてダッシュで朽木さんのもとに向かう。
朽木さんと喋れる。朽木さんと喋れる。朽木さんと喋れる!
だけどあたしが近づいてくるのに気づいた朽木さんは、慌ててあたしに背を向けた。
なんで!? どうしてそこでためらうわけ!?
文句でもいい。怒鳴り声でもいい。ちゃんとあたしの目を見て話して欲しい。
逃がすもんか! あたしは全力疾走で朽木さんを追いかけた。
逃げないで、朽木さん。そんなの、全然らしくない。
お父さんから逃げたってかまわない。
でもあたしからは――あたしから逃げるのだけは、イヤなんだ。
あたしは何されても気にしないのに。怒ろうが殴ろうが襲ってこようが、全力でやり返して笑ってやるのに。
逃げるな。逃げるな。逃げるなっ!
どんな感情も全部受け止めるから――
あたしから逃げないで、朽木さん。