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Not.color  作者: 六甲寺
3/4

1章 3


「う…くはっ…」


いやな夢を見た


ステルス迷彩に身を包んだ敵に基地を壊滅させられる夢


なんとも縁起が悪い


少し前にも似たような夢を見た気もする


まぁ最終的には俺も含め全員死ぬというこの上なく縁起の悪い夢である

まったく…どうせならもっとおめでたい夢を見やがれ、俺の脳味噌


眠気も醒めてきたところで思った事を口にしよう


「ここ…どこだ…?」


ベタベタな台詞だがしょうがないだろう


なんせ、俺、坂波秋耶はまったく見覚えの無いコンクリート打ちっぱなしの部屋の堅い床に寝かされていた

それもご親切に布団に寝かされていた



そんな事どうでもいい


まずは状況確認


見覚えの無いコンクリート打ちっぱなしで中心に布団がぽつんとしかれているという恐ろしくさっぱりした部屋


見渡すとドアを見つけた


今時珍しい木造のドア


近寄ろうとしたらキィと物悲しい音を上げて開いた


敵…!?


「お~、起きたッスか?」


入って来たのはなんというか、残念な男だった


年齢は俺(18歳)より少し若そうで体はカッチリしている顔立ちもそこそこよい青年


だが


なんなんだ…そのゴーグル


悲しいかな頭に掛けているゴーグルが全てを台無しにしている


奇抜なデザイン、けばけばしい配色、フレームに羅列されている悪趣味なフォントで書かれた文字などなど


それが青年の頭の上で異様なまでに存在感を放っていてせっかくのスタイリッシュな見た目は完全に劣化し朽ち果てている


「えー…大丈夫スか?」

大丈夫な訳ないだろう


目の前には敵


こちらは丸腰


圧倒的不利


「いやいや身構えないでくださいよ、別にとって食おうってわけじゃないッスから」


「あー、そうかい。そうやってだまし討ちだろ?やれるもんならやってみやがれ」


「えー…もしかして〝那草〟さんからなにも聞いてないって言う事ッスか?」


「誰だよそいつ俺は知らねぇ、だから早くここから出せ」


青年はため息をつき頭をボリボリ掻いた


「説得も無駄そうッスね」


と言い青年は少し身を屈め飛び出した


一気に間合いを詰められ右の拳が飛んでくる



こちらとてただやられる訳にもいかない


青年の右ストレートを捌きカウンターを狙う


たが、顎に違和感を感じた


な……?

気付くのがかなり遅かった


というか気付けなかった


顎の数センチ下にいつの間にか青年の目一杯加速した拳があり


青年の拳はさらに加速して


ゴシャッ


いつの間にか俺の顎を粉砕していた


「あぐっ…!?ごふぁ!!」


どう切り返した?


まず、切り返し事態無理なはず


そうこう考えてるうちに俺はその場に崩れ落ちひれ伏していた


「あー…すいません、やりすぎたッス」


本当にな!!


声にならない訴えをぶつける

すると、相手に伝わったようで


「すいませんッス…大丈夫ッスか?」


「大丈夫じゃねぇよ!!

大怪我だぞ!?下手すりゃ治らねえぐらいの重傷だぞ!?顎骨砕けるなんて普通…」


あれ……?


俺…顎砕かれたはず…


「その様子じゃ大丈夫そうッスね」


青年は素早く俺を拘束する


だが、そんな情報は頭で処理されず貫通していく


「おい…俺の…俺の体はどうなってんだ…?」


まずそこだ


なんで俺は顎骨が…


「本当に何も聞いてないみたいッスね

それら諸々あっちで話すッス」


そして俺は拘束されたままズルズル引きずられていった


___________

赤朱団本部


軍が大きいのと比例して基地もデカくなるのか


本部はとてもデカかった


赤朱団総司令部


人員配備は兵士だけでも約26万人そこに諜報部員約9万人そして一般市民は数える気がしない


まぁ、この基地は近隣ではかなり大きな基地だ


その中のとある休憩室の一角


中澤郁斗とNeRoは手に入れた第27基地に関する書類を広げていた


「集まった書類はこんな感じだそっちは?」


「人員データに監視カメラの映像と定期連絡の音声、あとそれらの情報を元に当時の現場の被害状況のレイアウト」


「なかなかだな…さて、」

始めようかと言い掛けた所で


「この作業にどれだけの意味があるの?」


とロリっ娘パートナーが口を挟んだ


このロリっ娘は仕事を頼めば報酬を求めてくる

それもいやらしくこんな感じに回りくどい言い方で



「ナッツクリームドーナツ3つ分くらいかな」


「…………………」


無言でじっとり睨んできた、これでも足りんか欲張りめ


「じゃあそれにロイヤルティーでどうだ」


「むー」と唸りを上げ少し悩んだ後


「ナッツクリームドーナツ4つで」


と言ってきた


安いんだか高いんだかよくわからねぇお子様だチクショウ


「で、死体と人員データを照合した結果は?」


「えぇ、やっぱり一人足りないわ


名前は坂波秋耶、階級は新兵」


「逃走か?」


「いいえ、周りに外に逃げた痕跡はなかった

なぜ、どのような理由で逃走したのかは不明よ」


「監視カメラの映像は?」


「なんの変哲のないただの映像


普通に襲撃の様子が映されてるわ」


NeRoはその映像をパソコンに表示してみせた


敵が数名のチームで基地内を殲滅していくさまが映し出されていた


敵チームはざっと8人

武装は大半が突撃銃(アサルトライフル)短機関銃(サブマシンガン)散弾銃(ショットガン)を持った兵士が少し


格好は浮浪者のような格好だ


「無軍籍の人間の集まりか…?」


「そんなとこでしょうね」


無軍籍


傭兵という意味でも使われるが最近では無国籍という意味でも使われている



「にしても………」


こうもあっさり殺られるものなのか?


たしかに最近は力のある無軍籍者が増えてきているが…


「なーんか引っかかるんだよなー」


と、呟き郁斗は煙草をくわえディスプレーを眺めながら思考の海に沈んでいった



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