1章 2
第27基地壊滅の連絡を受けてから約32時間後
現場に到着した中澤郁斗は驚愕した
「オイオイ…この基地正面玄関があるぞ?
今時珍しい…あ、だからこの基地に空間振動できなかったのか」
驚いた~などと口を開けてみる
「そんな訳無いでしょう、アホなの?少尉?」
半ば呆れた声が耳に届く
隣を見るとちっこい少女もとい部下…というより相棒が蔑むような半眼でこちらを見ていた
「つれないねぇ…冗談に決まってるだろう?」
「あなたが言うと冗談じゃなく本気で言ってるように聞こえるわ
ていうか冗談なんて思いつく頭があなたにあったのね…」
酷いねぇ…と中澤は顔をしかめる
中澤郁斗
赤朱団本部に所属している
階級は少尉
本部の中でもなかなか鼻の利く逸材
年齢よりも老けて見られたりする
隣のはNeRo
諜報部の部員だがリーダー以上の権限を持っていたりする
年よりかなり若く見えるが侮る無かれ
彼女は10歳で赤朱団のデータベースにハッキングやらクラッキングやらを複数回に渡り成功させ果ては一部隊を使って基地まで連行させられ無理やり雇わされたのだ
現在の年齢は16歳だがどう見ても12で成長が止まったように思える言わばロリだ
ちなみに本名は誰も知らない
「で…どうなんだ?NeRo」
「近くに落ちてた金属片を見る限り恐らくC4で壁を吹き飛ばしたようね」
ちっこい手で金属片をひらひら見せつけてくる
「C4?古いなー、映画で見たことあるけどプラスチック爆弾だっけ?それでここまで…」
「まぁ、無理もないでしょうね…結構老朽化してるみたいだし」
「オイオイ…手ぇ抜くなよ…あのマッスルブルドック…」
「でも今回死んだんでしょ?当然の報いってところね」
こいつが老朽化するのは精神年齢だけか…むしろ老朽化するのか…?などとボンヤリ考えつつ
「なんでこいつら応援要請しなかったんだ?」
「応援要請は出してるみたいよ」
「じゃあ、色々おかしいぜ?定期連絡は問題なく応答できてた、それがいきなり襲撃されたからって応援要請がこっちに届かない訳…」
ましてや最近の物は故障はそうそう無い筈
「そして、おかしいことに応援要請はたった一回きりよ」
となると考えられるのは二つ
二度目の応援要請の前に全滅したか
何者かの情報操作か
前者は考えづらい
ともなると
「あと…」
「ん?」
「死体が足りないのよ…一人分だけ」
ほぅ……
「これは…調べてみようか…」
と真剣に言い
「…………………」
ただ冷たい視線を感じるだけだった